【資産額より購買力】FIREシミュレーションの盲点──私が「円安・インフレ・年金」を織り込む理由
最近、「FIREにはいくら必要か」というシミュレーション記事を読む機会がありました。
記事では、現役時代の資産運用効果を考慮すると、
- 年収800万円以上なら50歳で約1億円の資産形成も現実的
- その後も100歳近くまで資産を維持できる可能性がある
という内容でした。
私は、この考え方に概ね賛成です。
現役時代の資産運用が将来を大きく左右するという点は、その通りだと思います。
しかし一方で、「FIREできるか」という入口のシミュレーションと、「FIRE後も安心して暮らせるか」という出口のシミュレーションは、別に考える必要があるとも感じました。
資産額ではなく「購買力」を見る
一般的なFIREシミュレーション(PLAN)では、
「何円持っているか」
の資産形成が重視されます。
しかし、私が重視したいのは(DO/CHECK/ACTION)、
「その資産で何が買えるか」
という購買力です。
例えば、2055年の1億円と2025年の1億円では価値は同じではありません。
インフレが進めば、同じ1億円でも買えるものは少なくなります。
つまり、本当に守るべきなのは資産額ではなく資産運用による、生活水準なのです。
円安は敵であり、味方でもある
私のシミュレーションでは直近5年間の
- インフレ3%
- 円安6.5%
をそのまま生活費に反映していました。
しかし改めて考えると、これは現実より厳しすぎました。
なぜなら、私が保有する資産の中心はインデックスのETFや投資信託(世界株式)だからです。
たとえばオルカンは海外資産であるため、円安になると生活費は上がりますが、同時に円建て資産価値も上昇します。
つまり、
円安は生活費を押し上げる一方で、資産価値も押し上げる。
長期投資家にとって、円安は一方的な敵ではありません。
そのため、実際に長期で意識すべきなのは、
- 国内インフレ
- 世界経済の成長率
- 年金の実質価値の低下
であると考えるようになりました。
年金は「ゼロ」ではない
もう一つ大きな違いがあります。
65歳以降は、公的年金で基本的な生活費を賄えることを前提としました。
もちろんマクロ経済スライドによって年金の実質購買力は徐々に低下していきます。
しかし、それでも年金という安定したキャッシュフローが存在することは非常に大きな意味があります。
つまり、
- 年金(フロー)が生活を支える
- オルカン(ストック)が不足分や将来の支出を支える
という役割分担になります。
これは「年金か資産運用か」ではなく、
年金と資産運用を組み合わせる
という考え方です。
30代から40代の超富裕層が不動産などのフロー資産を取得し運用するのは生活を支えるフローを買うということだったのが最近理解できるようになりました。
たとえ株が50%大暴落しても糧とすることができるからです。
年齢別に必要なオルカン資産を試算してみた
円安効果を資産側にも反映し、65歳以降は年金で基本生活費を賄う前提で試算すると、必要なオルカン資産は次のようになります。
| 現在年齢 | 必要なオルカン資産(目安) |
|---|---|
35歳 |
約9,000万円~1.1億円 |
| 45歳 | 約6,500万円~8,000万円 |
| 55歳 | 約3,500万円~4,500万円 |
| 65歳 | ほぼ0円(基本生活費は年金で賄う前提) |
この表は、
「老後までにいくら必要か」
ではなく、
「今の年齢から考えて、どれくらいのオルカン資産があれば安心してリタイア設計ができるか」
という目安です。
興味深いのは、現在35歳の億り人と、現在55歳の5,000万円でトントンだということです。
もちろん、旅行や趣味、住宅リフォーム、介護、相続などを考えれば、年金だけでは十分ではありません。
そのためオルカンは、生活費をすべて賄う資産ではなく、「人生の選択肢を広げる資産」と考えています。
ちなみに、資産残高計画は75歳手前から孫のこどもNISAに毎年60万支援する計画です。
私がたどり着いた結論
今回改めてシミュレーションを見直して感じたのは、
本当に重要なのは資産額ではなく購買力である
ということです。
- 円安は生活費だけでなく資産価値にも影響する
- インフレは現金の価値を確実に下げる
- 年金は完全ではないが、生活を支える重要な土台になる
- オルカンは世界経済の成長と円安の恩恵を受けながら、将来の不足分を補う
この4つを同時に考えることで、初めて現実的なリタイアメントプランが見えてきます。
「いくら持っているか」ではなく、
「その資産で何十年後も今と同じ生活を続けられるか」
これからの資産運用では、その視点こそが最も重要ではないでしょうか。

