(どうしよう?)

 皓一郎は自分の席で机にうつ伏していました。

 生徒会長である古村紗季に告白され、それを知らない副会長の小紫菜々愛にさっき告白されたのです。

 紗季の時は誰にも知られていなかったのですが、菜々愛の時はクラス全員が聞いていました。

「コーイチ、元気無いね」

 片言の日本語が耳に入り、皓一郎は顔を上げてその相手を見ました。

「やぁ! 私ハルミ・ユズブックといいます」

 ハルミ・ユズブックはのっけからハイテンションな喋りを見せます。

「あぁおはようございます」

 ハルミを見たまま、ローテンションで喋る皓一郎。

 ハルミ・ユズブックは、アメリカからやって来た留学生。

 日本人の父とアメリカ人の母を持つクォーターで、金髪に青い眼が特徴的。

「元気出さないとダメよ。それとも何かあった?」

 とハルミは色々心配してくれています。

「だっ大丈夫です」

 皓一郎は体を起こし、ハルミに大丈夫であることをアピールしました。

 実は彼女はアメリカのスパイとしてこの学校に潜入しているのです。

 何をスパイしているのかって?

「それは秘密事項です」

 と返事が来ました。
「皓一郎く~ん」

 帰り道、後ろから聞こえてきた声に皓一郎は立ち止まり、振り返りました。

「うわっ!」

 そこには巨大な人型ロボットが。

「皓一郎君、スゴいでしょ!」

 女性の声にただただ頷く皓一郎。

「ははは」

 女性は急に豪快に笑いました。

「これは私が作ったの。スゴいでしょ!」

 あまりのことにあっけに取られる皓一郎。

「谷田貝十和子、宜しくね」

 ちなみにこの谷田貝十和子、終始皓一郎の前には姿を現しませんでした。


「おは……」

 翌日教室に入ってきた皓一郎は、その場で固まりました。

 なぜなら皓一郎の席には、すでに一人の女子生徒が座っていたからです。

「おい、誰だあれ?」

 国府田晃伸が話しかけてきましたが、皓一郎の回りの固まりはなかなか氷解しません。

「こ、小紫先輩」

 皓一郎はようやく言葉を絞り出しました。

 頭頂部に小さい赤色回転灯を載せているのは、生徒会副会長の小紫菜々愛しかいません。

 小紫が皓一郎に気づき立ち上がりました。

「皓一郎君、私はあなたに惚れたみたいだから、付き合って」

「えぇ!?」

 皓一郎はなお一層固まりました。
 皓一郎が座って考えていると、大きな影が机に落ちました。

「どうした、転校生君?」

 それは国府田晃伸でした。

「いやあの…」

 皓一郎は国府田に話してよいものか迷いました。

「なんでもない」

 皓一郎は笑顔で言いました。

 国府田に言わない方を選んだのです。

「そうか。何かあったら言ってくれよな」

 国府田は皓一郎の元を去りました。


(どうしよう?)

 昼休みが終わっても、皓一郎は悩み続けています。

 古村紗季との約束で、告白したことを内緒にすることにしたのです。

 確かに副会長なら会長である古村とは一緒の時間を作れますが、それには同じ副会長である小紫菜々愛の目を欺かなくてはなりません。

(考えてもわからない)

 皓一郎は考えを中断し、勉強に集中し始めました。


「で決まった?」

 放課後、帰り支度をしている皓一郎に話しかけてきたのは、隠岐瑠華(おき るか)でした。

 彼女は生徒会役員で、皓一郎より一つ上。

「いやまだ決めかねています」

「男ならドンと決めちゃいなさいよ」

「なんですが……」

「何を心配しているのか知らないけど、男なら即決断あるのみよ」

「でも」

「でももヘチマもな~い!」

 瑠華の声は教室中に響き渡りました。

「分かりました。やります」

 瑠華の声に恐れをなしたのか、皓一郎は承諾しました。


 瑠華は明日の生徒会で正式決定するので、その時にきてほしいと言って、別れました。

(生徒会かぁ。それより会長とのデートはどうなるの?)

 余計な心配をしてしまう皓一郎でした。