小さな命が呼ぶとき / 2010年米 | TDR&MOVIE

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小さな命が呼ぶとき / EXTRAORDINARY MEASURES

ビジネスマンのジョンとアイリーンは、3人の子供に恵まれ、幸せな毎日を送っていた。が、彼らの子供のうち、ふたりは『ポンペ病』という難病に侵されていた。長くは生きられないという医者からの告知に愕然とする彼ら。少しでも、子供達の命を長らえてあげようと、その病について知りえる全ての事を調べる毎日のジョン。ある時、『ポンペ病』を研究するストーンヒル博士の存在を知り、それまでのキャリアを捨て、新薬を開発する製薬会社を起業する。

「ポンペ病(糖原病2型)」って、はじめて聞く病名でした。先天性疾患ということで、定期的な治療や闘病生活を強いられるようですが、今ではその医療薬が少しずつ開発、認可されているようです。まだ、その新薬が開発されていない頃の本当の出来事を映画化した本作。自分の子供のために、私財を投げ打ち、そしてたくさんの協力者の下、奔走した父親とその病気を研究する博士、そして家族の物語。

父親ジョンにはブレンダン・フレイザー。大きな身体で愛する子供のために奔走する姿は、正に父親そのもの。どんなにくたびれても、どんなに先が見えない状況だろうと、彼は希望に向かっていくのです。その思いが大きくなりすぎて、暴走することもあるけれど、それは子を思う親であったら、仕方のないことと納得せざるを得ません。彼が自分の子供達にいち早く新薬を試させたいのを咎める部分がありますが、彼が何のために自分のキャリアを投げ打って、子供達のための人生を選んだのか…ということを考えると、当たり前の行動だったりします。それを自分勝手的なレビューを書かれている方がいましたが…現実に直面したとき、親としての行動って考えると、どうなんでしょうね。

そして、新薬開発に尽力する博士にハリソン・フォード。偏屈な面倒くさいタイプのキャラを、独特の雰囲気で演じていました。笑わないんですよねぇストーンヒル博士は。ジョンの子供達が彼に対して、凄く人懐っこく接するのだけど、その温度差が、逆にクスっと笑わせてくれます。

劇中に、誕生日会のシーンが登場します。来年の誕生日会を開けるか…その姿を見ている、クラウリー夫妻の目には、涙が浮かんでいます。という、悲しい現実も表現しつつも、そのパーティーのシーンの中で、ポンペ病の娘や息子は、健常者のお友だちと共に、たくさんの笑顔でその時間を楽しむのです。そんな少し現実を見据えるという悲しいシーンでもあるのですけど、流石はアメリカ!的なものを垣間見ることも出来ました。病を抱える子供でも健常者と同じように楽しめるアミューズメント施設をしっかりと確保しているのです。
ボウリングやスケートのシーンはとても微笑ましく観ることができました。

同じ病に侵された子供を救うために、親同士が協力し合い、ボランティアやチャリティーを行うなど、たくさんの努力や苦労の結果、この治療薬を開発するに至ったわけですが、映画の中では、かなりリアリティに拘ったであろう、製薬会社の研究室の現実を表現したところもありながら、ある意味ドラマティックに描かれている部分もあったりと、半分ドキュメンタリー、半分エンタテイメントといった印象も受けました。でも、実際はもっともっと苦労を重ねていたと思います。医療が進んでいるといわれている今日でさえ、まだまだ治療方法の見つからない病はたくさんあると思います。この父親のように、子供のために絶対に諦めない…色々なリスクを背負っていく姿は、なかなか真似できないと思いました。

この作品はハリソン・フォードが出演と製作総指揮を兼ねていますが、最近の彼の作品の傾向はメッセージ性のあるものが多いように思います。特に、アメリカが抱えている、この作品のような医療問題や、前作「正義のゆくえ」のような民族や移民問題など、考えさせるテーマを多く取り上げています。ハリソン・フォードという人は映画という表現の場を、こうした考えさせる場にしている、数少ない俳優のひとりなのではと思う今日この頃なのでした。

監督 トム・ヴォーン
製作総指揮 ハリソン・フォード 、ナン・モラレス
原作 ジータ・アナンド
音楽 アンドレア・グエラ
脚本 ロバート・ネルソン・ジェイコブス
出演 ブレンダン・フレイザー、ハリソン・フォード、ケリー・ラッセル、メレディス・ドローガー、ディエゴ・ベラスケス、サム・H・ホール
上映時間 105分
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id336454/