「今日の話題は『いかに自分の保育園の子どもがかわいいか』で~す」

まとめ役のミホリンが乾杯の後に大きな声を出す。

 

 5人とも子どもが大好き!これは至福の時、それぞれにとってかけがえのない時間のお披露目会になる。そう、クラスの子ども達のことを

「ウチの子がね!」

と我が子のように話し始めるんだから。

 

 「今日ね、子どもが『かのんせんせいは、ありさんだね』って言ったのよ。何のことかと思ったらさ、この前『アリとキリギリス』の読み聞かせしたこと思い出してさあ。私がお給食を一生懸命子どもたちのテーブルに運ぶ姿を見てそう言ったみたいなの。もう感動よ。お話の内容覚えていて、そんなこと言えるなんて、すごくない?子どもの能力高いわぁ」

カノン先生?雅美は一瞬誰のことかと思ったほどだった。そうそう、コレエダは花音という名だったわ。

 「コレエダのとこ、いくつだっけ?」

 枝豆をつまみながらリリが聞く。

「年中」

「そりゃ、おもしろい年齢だわ。ウチは2歳児だから、まだおしゃべりが上手とは言えないんだけど、だからこそのかわいさがあるのよ。はい、ここで問題です。なんと言っているでしょうか?『びぶん!びぶん!』」

「質問です!場面を教えてよ」

まるで授業中のようにピノが手を挙げた。

「園庭に出ようとして靴を履かせていたとき」

リリが答える。

「簡単すぎる。『じぶん』でしょ?自分で靴をはきたいってことでしょ?」

「はい!正解!」

「そういえば昔、微分積分ってやったよね。私何にもわかってなかったわ」

と雅実が言えば、理系女子を自負するミホリンが

「ご説明いたしましょうか?」

と声を大きくする。全員から

「要らな~い!」

と拒否された。

 

 雅実が声を挙げた。

「『まちゃみつち』ってのはどう?」

「まちゃみの乳?それじゃあ、まちゃみの『よろちくびー』じゃん!」

リリのひと言に誰も笑わない。リリだけが、お腹を抱えていた。

「正解は『まさみ(せんせい)すき!』でした~」

 

「『はべる』は、なんでしょう?」

再度、雅実が聞く。これには答えるより先に全員が思い出として喰いついた。

「ねぇねぇ、『ありおりはべりいまそかり』って高校時代に古文とかでやったよねえ」

「なつかしい~。でもなんだっけ?」

「『なんちゃら活用』とかあって、すっかり忘れたけど、『はべる』と言われて急に思い出したわ」

「忘れたって言うより、当時も覚えていないし、理解もしていないんじゃないの?人のこと言えないけど」

そこからそれぞれの高校時代の話になった。その頃、5人は別々の学校に通っていたからそれはそれで面白かった。

 

 「すっかり話の方向は違ってしまったが、『たべる』が言えなくて『はべる』になっちゃう玲ちゃんがかわいいな」

雅実は心の中で1人酔っていた。

 

 あぁ、今日もよく飲んで笑ったな。この話題に終わりはない。明日からまた頑張ろうっと。

 

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