バニスター効果 | 東京ブレイズ二代目社長のつぶやきブログ

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世間ではあまり知られていない「ろう付」を生業に、日本の科学技術の下支えに本気で取り組んでいる、中小企業の2代目社長が日頃思った中小企業経営やろう付技術と業界、その他さまざまなことについてつぶやきます。

人間は知らず知らずのうちに、自分の心の中に勝手な限界を作り出してしまう生き物です。前例がないから難しい、今の自分には無理だと、仕事でもプライベートでも、そんな言葉を耳にしたり、自分自身で口にしたりしたことはありませんか。しかし、そんな私たちの思い込みを打ち砕いた非常に有名な心理現象があります。それが「バニスター効果」です。

 

かつて陸上界では、1マイル(約1.6キロメートルを4分未満で走ることは人間の生理的限界を超えていて、そんなスピードを出せば、人間の臓器が耐えられずに破壊されてしまうと、医学界をも巻き込んで本気で信じられていました。どれだけ優れたランナーであっても、4分の壁を破ることは不可能だと誰もが諦めていたのです。しかし1954年、イギリスの陸上選手であるロジャー・バニスター氏が、その不可能な壁を歴史上初めて打ち破りました。彼の記録は3分59秒4でした。

 

ここからが、このエピソードの最も興味深いところです。バニスター選手が1マイル4分の壁を突破した途端、それまで誰も超えられなかったはずの記録が次々と塗り替えられ始めました。なんと、そのわずか1年の間に何十人もの選手たちが次々と4分を切るタイムを叩き出したのです。人間の身体能力や筋肉が、この1年の間に突然進化して劇的に跳ね上がったわけではありません。変わったのは、選手たちの「脳の認識」だけでした。

 

絶対に不可能だという強烈な思い込みに縛られていたときは、いくら練習しても無意識のブレーキがかかってしまい限界を超えることができませんでした。しかし、誰かがその思い込みの限界を超えた時に、人々の心理的な限界がいとも簡単に外れたのです。不可能という鎖から解放された脳は、それまで発揮できなかった潜在能力を次々と引き出し始めました。まさに信じる力が現実を動かした瞬間でした。

 

このバニスター効果は、スポーツの世界だけに留まる話ではありません。私たちのビジネスや日常の挑戦においても、全く同じことが言えます。前例がないから、この企画は絶対にうまくいかない、うちの業界ではこのやり方は無理だ、自分には高度すぎるスキルだから学ぶだけ無駄だと、私たちは挑戦する前から勝手にできない理由を並べてあきらめてしまいがちです。しかし、それらの限界の多くは、実体のないただの思い込みにすぎないのかも知れません。

 

もしあなたが今、何か新しいプロジェクトや高い目標を前にして、自分には無理かもしれないと足がすくんでいるなら思い出してください。それは本当に物理的な限界でしょうか。それとも、ただ誰もまだやっていない(ように見える)からという心のブレーキではないでしょうか。最初の一歩を踏み出すのはいつだって勇気がいりますが、誰かができたという前例を作れば、その後に続く人たちのハードルは驚くほど低くなります。

 

もし周りに前例がないのなら、あなたが最初の「バニスター」になってみるのも面白いかもしれません。あなたが自分の限界を突破する姿を見せることで、次は同僚や後輩、友人たちの心理的限界を外してあげることにつながるからです。

 

でも、まず自分自身が心のブレーキを外してそのお手本を見せなければなりませんね。