我々が所属する関連業界団体には、(一社)日本溶接協会と(一社)溶接学会があります。そして我々の専門とする「ろう付」と言うとても狭い分野ではありますが、協会と学会どちらにも「ろう付」に関する委員会があります。協会では「先端材料接合委員会」、学会では「界面接合研究委員会」があり、我々はどちらにも所属して幹事を務めています。
先日、初めて日本溶接協会の定時総会に参加して来ました。普段お世話になっている、先輩であり、友人であり、一緒にろう付業界を盛り上げてきた戦友である先生が、栄誉ある「功労賞」を受賞したので、その授賞式に参加するのが一番の目的でした。
そこで、定時総会での報告を聞いていたのですが、来年2027年に協会と学会の統合に関する説明がありました。この話は事前に聞いていましたし、正式にアナウンスもされていましたので驚くことではありませんでしたが、その内容を始めて知ることができました。
要は日本溶接協会が溶接学会を吸収合併する形になります。それは運営資金的な部分が大きな理由であると考えられます。具体的な数値も示されましたが、協会と学会では会員社数がほぼ同じなのに対し、事業収益の差はなんと約43倍もありました。それの理由は、協会は資格認証などで一定の収益を上げることができるのに対し、学会は会員からの会費だけが収入源です。そのため運営内容も全く異なり、職員数も約20倍も違うことを初めて知りました。
実は、溶接の世界でこの様に協会と学会が分かれているのは日本くらいで、欧米や中国ではもともと学協会が一体となって活動しています。日本でのこれら学協会の成り立ちは詳しく知りませんが、日本溶接協会は経済産業省、溶接学会は文部科学省と、省庁が異なるのです。そのため、長い間同じような活動が別々に行われてきました。
ところが、日本の人口減少と少子高齢化によって、両者の活動がままならなくなってきました。特に溶接学会は人口の減少が学生数の減少につながり、つまり会員数の減少、収入の減少となっているのです。日本溶接協会でも人口の減少は大きな問題です。資格認証で収益を上げられていますが、最近では外国人の資格認証に力を入れて収益が維持できているそうです。
今回の協会による説明では、学会の吸収合併によりシナジー効果が生まれると言っていますが、個人的な見立てとして要は人口減少による両者生き残りのための合併です。しかし、世界的に見ると日本もやっと普通の状態になるので良いのではないかと思いますが、長い間このような状態が続いていたですから、他の分野でも同じことが起きているのではないでしょうか。人口減少と言う現実が長年変われなかった体制の変化のきっかけになったと言うことだと思います。
