先日2024年度溶接学会秋季全国大会に参加して来ました。場所は北海道科学大学でしたので、久しぶりに北海道へ行って来ました。この時期の北海道は気候が良くて気持ちいいですね。
ところで、今回は北海道開催と言うことで特別講演として地元北海道のインターステラテクノロジズ社の特別公演がありました。講演は代表取締役CEOの稲川貴大氏自らが登壇して頂きました。そのお話がとても面白かったので紹介します。
インターステラテクノロジズ社は、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、民間のロケット開発スタートアップ企業で、あのホリエモン(堀江貴文氏)も設立当初からスポンサーとして参画しています。
宇宙産業は2040年に100兆円を超える巨大産業になると予測されています。そしてこれから加速度的に進化し、インターネットで経験したような大きなイノベーションが起きると考えられています。宇宙は今後間違いなく、地球にとって普通の経済圏となり、宇宙利用はより日常的で気軽なものとなってくると話していました。
現在当たり前に使っているインターネットですが、海外との通信には未だに海底ケーブルが利用されています。ところが身の回りはどうでしょうか。皆さん、Wi-Fiなど無線通信を多用していると思います。同様に将来的には、宇宙空間の衛星を利用したインターネット通信インフラが一般的になってくるとのことでした。すでにインターリンクなどがこの事業に参入していますよね。
そのような中、インターステラテクノロジズ社は国内民間単独開発のロケットとして初めての宇宙到達を達成した会社です。ロケットと言えばJAXAが種子島で打ち上げているものがイメージできますが、実は打ち上げコストが非常に高いのだそうです。それは、宇宙空間を使ったビジネスに大きな足かせとなってしまいます。なので安価な国産ロケットの製造は、国としても経済戦略として非常に重要な位置づけなのです。
アメリカでもNASAだけではなく、スペースX社やブルーオリジン社などの民間会社がどんどんとロケットを打ち上げています。しかもこれまでより低コストで。世界的に宇宙空間は大きなビジネスの場として注目されています。中国やインド、欧州などは国家が主体となって事業を進めているようです。
実は北海道はとても地理的に有利なのだそうです。土地が広いのはもちろんですが、中でも大樹町は南東が太平洋で開けているので、地球の自転など考慮するとロケットを打ち上げるのに大きなメリットなのだそうです。また、インターステラテクノロジズ社の次世代ロケットにはメタンガスを燃料として使うのだそうですが、それは家畜の糞尿からメタンを取り出して燃料にするのだそう。とてもエコなロケットですよね。
インターステラテクノロジズ社はロケットを製作していますが、実は輸送業なのだそうです。つまり、ヤマト運輸や佐川急便と同じなのだと。もちろん、運ぶものと目的地とその方法が全く異なりますが。しかしそう聞くと少しだけ身近に感じられますね。
今回は溶接学会の特別講演とのことで、溶接学会各社の技術が宇宙産業に何か役に立てないかとの話になりました。溶接はもちろんですが、金属積層技術(金属3Dプリンター)はとても注目されていて、諸外国では実用化されているのだそうです。個人的には「ろう付」で宇宙産業に関われたらいいなと思いました。