刀剣乱舞 ミュージカル 静かな海のパライソ感想1 | 木島亭年代記

木島亭年代記

東北在住。
最近は映画も見てなきゃ本も読んでない。
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色々あって、配信見た。


いやー陰鬱。まじ話が暗い。天草四朗時貞の話なんだけど、島原の乱で農民をはじめとした貧しい人々3万人が虐殺されると言う話で、救いはない。


そもそもこのシリーズの刀剣男子と言う存在は実在の刀を擬人化したもの(実在してない刀もあるが)で、存在意義は、謎のテロリスト時間塑行軍から歴史を守るって言うものなんだけど、歴史を守るってことは逆に言うと、人間の歴史を肯定する存在なわけだ。それって結構陰鬱な役回りで、なぜって人間の歴史なんてものは概ね陰惨だから。それをただただ愚直に支持しないといけない存在なわけ。彼らは選択のできない存在でただただ歴史が歴史通り動くことを手助けする役割でしかない。どんだけ醜悪でも彼らは歴史を変えちゃいけないのだ。要するに彼らに自由もなければ、思想や価値観というものが求められていないの。しかしそれでいて感情だけはある。彼らはいつも任務で人間というものに傷つけられる存在だ。ひどく残酷な立ち位置で存在しなきゃならん。


物語上それなりに救済らしき描写はあるものの、それって慣れるってことであって本質的な解放ではない。一方で一見思想や意識のない泥人形の様な無個性な時間塑行軍は、ある意味で自由だ。彼らは人間の都合には関係なく動く。歴史を変えさえできれば良いから、急にさっきまで敵側だった存在に加担したって良い。なんでも良いのだ。極めてアナーキーな立場だ。人間っぽさのある刀剣男子に自由がなく、人間っぽさが海無な時間塑行軍に自由があると言うのも皮肉だ。


刀剣男子は、文字通り磨り減って行く存在で、主に叩かれて存在意義を見いだす。ここでこの世界の中心である主という存在を考えると、なかなか興味深い。主は抽象的で、いわばシステムそのもののような存在と考えられる。


今日はこの辺で。