マザー・イン・ザ・ハンティング・グラウンド感想② | 木島亭年代記

木島亭年代記

東北在住。
最近は映画も見てなきゃ本も読んでない。
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鹿子原 凜香(かごはら りんか)
兎月 茜(うづき あかね)
犬塚 蘭玉(いぬづか らんぎょく)
熊取谷 潤(いすたに うるう)
熊取谷 汐乃(しの)
熊取谷 千鶴(ちず)
雀野 紗子
獅子堂 将(ししどう たすく)
犬塚 一輝(いぬづか まさき)

この小説の登場人物は皆動物の名前を持つ。大半が名字についてるが、熊取谷 千鶴にだけ名前にも入っている。それぞれの動物は登場人物のキャラクターを象徴している。"熊を取る"獰猛さを持った汐乃に、鹿の子のように無防備な凛香は得物にされる。犬の名を持つ蘭玉は、汐乃に噛みついていく。獅子の名を掲げた将はどしっりと構え、筋のとおった強さがある。

クライマックスの直前まで、物語は章の名称に語り部のキャラクターの名前を掲げる。短い物語の中で主観が色々分かれると感情移入の面で少々弊害を感じるのも事実。村上春樹の云うところの"総合小説"のようなものを目指しているのかもしれないし、単にそれぞれの抱える問題をフューチャーしたかったのかもしれない。正直、うるう君以外のキャラクターは割りと"語られ"の中途半端な物語を持っている印象も受けた。

とは言うものの、ぐいぐい読ませる筆力があり、最初は読みきるのが不安だったが、一気に読ませられた。

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