■高校1年生レベルの理解力
相変わらず、英語の基礎に役立つとして紹介されている文型論ですが、これほど役に立たず、実害もたくさんあるものも少ないです。
文型論を基礎として教えると謳っている講座や本は、役に立たないと思って良いでしょう。
とりあえず、たくさんある例の一つを紹介しましょう。
次の文を考えてください。
Call me a taxi.
かつては、文型論などを主にして、
「私に、タクシーを呼んでください」
という訳は間違いであるとされていましたが(かつてはcallは第5文型しかとらないと思い込んでいる人が多かったのです)、これは
call a taxi for me.と同じような意味に解釈できるので、間違ってはいません。
ところが、A lot of my friends often call me and ask me to pick them up. I’m not a drinker and a regular driver.
と述べたあとで、
Call me a taxi.
と述べると
「私の友人の多くが頻繁に私に電話をしてきて、私に迎えに来るようにお願いするんだ。私はお酒を飲まないし、規則的に車を運転するのでね。私のことをタクシーみたいなやつってわけ」
という意味になってしまいます。
つまり、call me a taxiは第4文型しかないから前半の意味しかないということは決してなく、後半の使い方は、れっきとした第5文型なのです。
つまり、コンテクストをきちんと理解することが大切で、その上で、多義性を絞り込むことができることが大切なので、文型論などは何の役にも立たないのです。
ちなみに
Call me Taxi.
というと、第5文型の解釈の可能性が高いのですが、実は観光客などで冠詞という概念を持たない言語を母語とする人々からすると、この文を第4文型の意味で使っている可能性が極めて高いのです。
ここで英語を運用する能力がある人が、このコンテクストでは、aという冠詞を言いそびれているのだな、と理解して、タクシーを呼んであげるのが妥当な対応ということになります。
これ以外にも、文型論が役に立たず実害が多い例はたくさん見つけることができます。