役に立たない文型論 (2) | 英語学習雑感ブログ

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第4文型には、間接目的語に、直接目的語を「(して)あげる」という共通の意味を見いだすことができると、述べる人がいます。

結論から言いますと、嘘です。

 

I bought him a nice present.

I gave her a wonderful book.

She taught me how to remain calm.

 

確かに、上記の例は、これらの共通の意味がうまくいっているかのように思われます。

私は彼に、素敵なプレゼントを「買ってあげた」という意味で捉えることができますし、

私は彼女に、すばらしい本を「あげた」という意味で捉えることができますし、

彼女は私に、心を落ち着けたままでいるすべを「教えてあげた」という意味で捉えられます。

 

ところで、envy「妬む、羨む」という意味の動詞は、第4文型を作ることができるでしょうか。

実はできるのです。

I envy her her success.

I envy her her beauty.

しかし、これらは「(して)あげる」という意味を付けるのは、無理があると思います。

私は、彼女に、彼女が成功していることを、「妬んであげている」というのは奇妙です。

私は、彼女が、美人であることを、「妬んであげている」というのみ奇妙です。

envyは、心密かに思っている場合も表すので、いわゆる、「行為などが与えられている」「行為が行われてあげている」というのが、確認が取れないのです。

第4文型をとる動詞を、日本ではかつて「授与」動詞と名前が付けられていましたが、giveやteachのような動詞という意味で付けられていたようですが、ここであげているenvyはそのような解釈が無理なのです。

したがって、このような概念も文型論と同様に役に立たないものなのです。

 

 

これ以外にも、第4文型が無理な例はたくさん見つけることができますが、とりあえず、第4文型を「(して)あげる」という共通ニュアンスで捉えることができるという、メリットは、ないことが確認できただけで充分でしょう。

 

直前のアップでは、第3文型の例の方をあげてしまいました。

それを訂正しました。