英国ロイヤル・オペラ2024来日公演
ヴェルディ/歌劇「リゴレット」
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:オリヴァー・ミアーズ
マントヴァ公爵:ハヴィエル・カマレナ
リゴレット:エティエンヌ・デュピュイ
ジルダ:ネイディーン・シエラ
スパラフチーレ:アレクサンデル・コペツィ
マッダレーナ:アンヌ・マリー・スタンリー
モンテローネ伯爵:エリック・グリーン
管弦楽・合唱:ロイヤル・オペラハウス管弦楽団・合唱団
まずは神奈川県民ホール。会館50周年という節目の年で、来年3月を以って再開未定の休館。設備老朽化によるとのことですが、きょう行っても全く古さを感じさせない素晴らしいホールなのですがね。
神奈川県は、費用をかけて大改修をやるまでもなく、ほかに新しい劇場も作ったしということなのでしょうが、もったいない。
個人的にも高校時代の吹奏楽コンクール県大会での思い出や、日本フィルの横浜定期、サヴァリッシュ/N響のそれは見事だったブラームスの交響曲第1番、そして海外の歌劇場の引っ越し公演での数々の名演などなど、ホールへ向かう街並みの品の良さ、山下公園の素敵な景色など含め、大好きなホールだったのですが。。。
休館までに何か想いで作りにまた来たいなと。
で、英国ロイヤルオペラ、チケット代、2割引きのカテゴリーで取ったものの、めちゃくちゃ高かったですが、それ以上の価値は十分にあった素晴らしい公演でした。
日本の歌劇場、歌劇団、オケともどもずい分と水準は上がったのは事実ですが、やはりROHとかのクラスになると、決して追いつけないような”何か”を感じてしまいます。
2002年からの音楽監督をひとまず終えたパッパーノの牽引力がもの凄かったです。
ピットからのオーケストラによる音楽の持ち上げ方が半端でなく、歌手陣は世界第1級なのですが、その音楽に楽々乗っていれば仕上がってしまうような安心感がありました。
歌手陣はいずれ劣らぬ、1級の旬の方たちが勢ぞろいし、完璧と言っていいでしょう。
題名役のデュピュイは、旬な分、役としては若い面もありましたが、素晴らしい声と演技で、リゴレットの内面を見事に表現していました。あと20年くらいは第一線でリゴレットをやれそう。
マントヴァ公爵のカマレナもよく通るテナーで迫力十分。オクターブ上げなどの冒険を回避していたのはちょっと残念でしたが、今後回を重ねる中でさらに調子をあげていきそうな雰囲気。
そしてそして、今回高額チケットを購入した理由のネイディーン・シエラ。もう感謝感激、素晴らしすぎて泣けてきました。
これぞ理想のジルダ、すべての音域で声が柔らかく、強い声から弱音まで完璧なテクニック。
第1幕「慕わしい人の名は」での弱音・高音も楽々、寝っ転がったりなど演技も含め自由自在。歌えるだけで精一杯のケースが少なくない中、完璧すぎてのけぞるしかありませんでした。
そして第2幕クライマックスに向けてのリゴレットの二重唱はデュピュイともどもノリノリ、最後の伸ばしも楽々オクターブ上げて喝采を浴びてました。
美しい容姿含め、ネイディーンに完全にノックアウトされました。
演出はいく分暗めの照明で、暴力的であったり性的な描写が多少きつめだったりと、それもこれもモンテローネ伯爵の「呪い」を強調するためのものだったのではないかと、説得力はありました。
やはりROH、素晴らしいです。「トゥーランドット」も見たいし、この「リゴレット」ももう一度見たいけど、さすがに金銭的に無理ですね。
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