東京春祭 合唱の芸術シリーズvol.11
指揮/ローター・ケーニヒス
ソプラノ/ハンナ=エリーザベト・ミュラー
メゾ・ソプラノ/オッカ・フォン・デア・ダメラウ
テノール/ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
バス/アイン・アンガー
管弦楽/東京都交響楽団
合唱/東京オペラシンガーズ
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブルックナー:ミサ曲 第3番 ヘ短調 WAB28
きょうは東京春祭⇒N響定期と独墺プログラムのはしご。どちらも充実の演奏を堪能しました。
ブルックナーのミサ曲第3番。傑作ながら実演の機会が少なく、ぼくも20年前の広上淳一/日本フィルの公演以来(2018年に故飯守泰次郎さんがやったようですが未聴)。
ブルックナー生誕200年のメモリアルということで久しぶりに日の目をみました。キリエ、グロリア、クレド、サンクトゥス、アニュス・デイの6曲からなり1時間ほどの大作。
まず特筆すべきは合唱のオペラシンガーズ。きょうは全員で70名ほどの人数。
ありとあらゆる場面での対応力が素晴らしく、冒頭キリエの弱音含め、指揮のケーニヒスは抑えるべきところはかなり抑え繊細な弱音を求めていましたが、見事に応えていました。
そしてハ長調に転じるグロリアそしてキリエでの輝かしく力強い合唱、引き締まったアンサンブルが圧巻でした。
ソリスト陣も強力。何といってもきょう一番の収穫はソプラノのハンナ₌エリーザベト・ミュラー。素晴らしい声、しっかりとした芯があって、力みなく大オーケストラ・合唱を楽々突き抜ける強靭さ。
そしてめっちゃ美人!シュッとしていて、キリっとした美貌で、もうオペラグラスでガン見してしまいました(ミサ曲でなにを)。
これはたいへんな逸材だと思い略歴を見たら、やはり各オペラハウスで引っ張りだこ、かつリートの世界でも大活躍で録音も各種あるという。このあとNHKホールに向かう途中、タワレコでR.シュトラウスの歌曲集を購入してしまいました。
テナーのヴォルフシュタイナー、バスのアイン・アンガーも万全の素晴らしさ。メゾソプラノのダメラウだけ、ちょっと見かけ倒れでしたかねぇ(きょうは不調だったか?)。
都響も弦楽器群を中心に引き続き好調。コンマスは山本友重さんで、随所に出てくるヴァイオリンソロが美しかったです。
指揮のケーニヒスはまさに職人。早めののテンポでグイグイ、オケと合唱を牽引していきます。持って回ったところは一切なく、堅実に音楽をくみ上げていくことで作品の巨大さを表出されていました。
合唱が入った東京文化会館はいつも以上にデッドになり、グロリアやキリエの最後、力強く「アーメン!」と締めてもほぼ残響がないのは致し方ないところではありましたが、実演の機会が少ないブルックナーの名作を高いレベルの演奏で聴けて満足しました。