グランプリ・コンサート2023
大阪国際室内楽コンクール2023 第1部門第1位
クァルテット・インダコ
ヴァスクス:弦楽四重奏曲第5番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」変ホ長調 作品74
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」ニ短調 D810
1stヴァイオリン エレオノラ・マツノ
2ndヴァイオリン イダ・ディ・ヴィータ
ヴィオラ ジャミアング・サンティ
チェロ コジモ・カロヴァニ
会社の同僚が主催者から招待券を頂いて、それが回ってきたので出向きました。
大阪国際室内楽コンクール、弦楽四重奏の部門で優勝したインダコのコンサートシリーズ(ちなみに第2位は、ほのカルテット)。
11月に入って全国11か所での公演で、きょうが最終日。オフの日もけっこうあったようで、中々良心的なスケジュール。全国各地の旨いもんでも食されたのかな。
イタリア・ミラノで結成されたクァルテットで、ヴァイオリン2名が女性、ヴィオラ・チェロが男性という構成。
まだ若い(どのくらい若いかは判然としませんが)団体ですが、その完成されたアンサンブルは見事でした。
腕の立つ若手だからと言ってバリバリ弾きまくるわけでなく、繊細な弱音を中心に落ち着いた演奏を聴かせてくれました。
最初のヴァスクスはラトヴィアの作曲家。これまで5曲の弦楽四重奏を書いていて、クロノス・クァルテットに捧げられたという第5番が演奏されました(2003年~04年にかけて作曲)。
2つの楽章で20分強ほど。しっかりと調性のあるふつうの音楽で、第1楽章は不安な心持ちを表現するかのように暗い。冒頭部分はバッハのシャコンヌへのオマージュみたいなメロディ。
第2楽章は、その暗い雰囲気が浄化されていくような音楽。まぁ、こういう作品もあるかな…という感じ。
インダコの真価が発揮されたのは次のベートーヴェンから。
第10番の「ハープ」は6月のCMG、エリアス弦楽四重奏団で鮮烈な演奏を聴きましたが、きょうもそれに劣らず、集中力に富んだ聴かせる演奏でした。
有名なラズモフスキー3曲と後期作品群との間にあって、以前はあまりパッとしない曲だなぁと思ってましたが、最近のクァルテットはこの作品の面白さをよく表現してくれます。
「ハープ」というニックネームの語源になった第1楽章でのピツィカートの受け渡しなんか、実にスムーズで聴いていて楽しくなりました。
4人の音のバランスが実に絶妙で、一人が突出することなく、柔らかくまとまったアンサンブル。若手とは思えない落ち着き。
1stヴァイオリンのエレオノラ・マツノの音色は抜群に美しく、技巧を要する場面でも決して力まない。あとチェロの音色もふくよかで、どこかイタリアらしい明るさも感じさせます。
後半の「死と乙女」も秀逸な演奏。第1楽章も一気呵成ではなく、かなり細かく表情付けをしていて個性的。
第2楽章の変奏曲は感動的でした。やはりイタリアだから歌心がある…と凡庸な感想もしたくなりますが、まさに歌心とアンサンブルが見事にかみ合った演奏でした。
アンコールは2曲。今のところ曲名が分からないのですが、1曲目は何かのポピュラー音楽のアレンジか。軽いノリのメロディラインが美しく楽しい演奏。
2曲目はチェロのカロヴァニ作曲の小品(上手な日本語で紹介)。こちらも楽しい佳品でした。
また注目のクァルテットが出てきました。