トッパンホール23周年バースデーコンサート
~新ウィーン楽派への軌跡
シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 D898[周防、笹沼、兼重]
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D887《死と乙女》[クァルテット・インテグラ]
ベルク:弦楽四重奏曲 Op.3[クァルテット・インテグラ]
ブラームス:3つの間奏曲 Op.117[兼重]
シェーンベルク:浄められた夜 Op.4[周防、小川、中、田原、笹沼、佐山]
周防亮介(ヴァイオリン)
笹沼 樹(チェロ)
兼重稔宏(ピアノ)
クァルテット・インテグラ(三澤響果(1st ヴァイオリン)菊野凜太郎(2nd ヴァイオリン)山本一輝(ヴィオラ)築地杏里(チェロ))
インテグラの2曲が目当てだったので、3曲目の第2部終了まで聴きました。
最初のシューベルトのピアノ・トリオ第1番。
ヴァイオリンの周防さんを聴くのは初めて(金ピカのラメの衣装にはびっくり)。けっこうしっかりとした音でよく鳴ります。
攻める周防さんに対し、チェロの笹沼さんとピアノの兼重さんは受ける感じ。かと言ってバランスが悪いわけではなく、シューベルト晩年の傑作を楽しむことができました。いささか元気良すぎな感じもありましたが。
1回目の休憩を挟んで、クァルテット・インテグラの登場。いきなりの「死と乙女」。
思えばわずか3年半ほど前、第一生命ホールでインテグラの「死と乙女」を聴いて戦慄を受け「これは凄いクァルテットが出てきたものだ!」と思っていたところ、あれよあれよの間に、ミュンヘンのコンクールで第2位など、国内外で大活躍。
きょうはその「死と乙女」が聴けるということで楽しみにしてました。
この間に経験を積んだのか、鮮烈なとげとげしさは多少後退し、全体に丸みが出てきたように感じました。
前回は三澤さんのキレッキレのヴァイオリンが突出していましたが、きょうはその切れ味はそのままに、全体的にバランスよくレベルアップしたように思いました。
第2楽章の「死と乙女」の主題による変奏曲は、変奏が進むごとにどんどん音楽が深まっていき感動的。
終楽章の切れ味鋭いアンサンブルに会場も沸いてました。
これで十分お腹いっぱいになったのですが、きょうはこのあとにアルヴァン・ベルクの弦楽四重奏曲。20分強。これがまた見事な演奏でした。
2つの楽章からなり、調性はなく、とっつきにくいところ、各メンバーの技量、アンサンブルの素晴らしさに、食い入るように聴かされてしまいました。
インテグラ、この数年の間にもの凄く成長されているように思いました。
シューベルトにブラームス、バルトーク、ドビュッシーといったレパートリーに、新ウィーン楽派も加わって、今後ますます目が離せないクァルテットです。