逢いたいときにすぐに逢えない。
遠距離恋愛のデメリットの一位らしい。
けれど、それはきっと近くにいても十分にあり得ることだ。
お互いに自分の仕事に信念や誇りをもっているなら尚更。
仕事と恋人どちらが大切なのかなんて愚問以外の何物でもない。
カテゴリーが全く違うものをどうやって比べろというのか。
生きていくために必要な物、生きていく術として必要な物。
キュヒョンに言わせれば、今までの事を思えば気持ちがあるだけで十分に嬉しい事だという。
シウォンの方がどうしていいものやらと戸惑うほどだ。
溜まっていた仕事に集中しているとソンミンが珍しい生き物を見るような目をこちらに向けた。
遠距離恋愛のデメリットの一位らしい。
けれど、それはきっと近くにいても十分にあり得ることだ。
お互いに自分の仕事に信念や誇りをもっているなら尚更。
仕事と恋人どちらが大切なのかなんて愚問以外の何物でもない。
カテゴリーが全く違うものをどうやって比べろというのか。
生きていくために必要な物、生きていく術として必要な物。
キュヒョンに言わせれば、今までの事を思えば気持ちがあるだけで十分に嬉しい事だという。
シウォンの方がどうしていいものやらと戸惑うほどだ。
溜まっていた仕事に集中しているとソンミンが珍しい生き物を見るような目をこちらに向けた。
「金曜日だって言うのに頑張りますね」
「明日デートなんで、呼び出されたくないからね」
「…向こう行くの?」
「いや、キュヒョナがこっちに帰ってる」
「また、それも珍しい。それならシウォナが頑張るのも無理ないね」
「明日デートなんで、呼び出されたくないからね」
「…向こう行くの?」
「いや、キュヒョナがこっちに帰ってる」
「また、それも珍しい。それならシウォナが頑張るのも無理ないね」
週休二日、祝日が休み。
ほとんどの会社がそうであるように自社もそうだ。
しかしながらキュヒョンの方はシフト制の休暇体制。
休館日の月曜が休みかと思えば、どうやらそうとは限らないらしい。
ほとんどの会社がそうであるように自社もそうだ。
しかしながらキュヒョンの方はシフト制の休暇体制。
休館日の月曜が休みかと思えば、どうやらそうとは限らないらしい。
「特別展示は開催期間が過ぎると展示を入れ替えるでしょ?その入れ替えは休館日に行うのでそういう時は出勤ですね。なので基本は月曜含めて週二で休みですけど展示入れ替えや観測会がある時は月曜以外で週二とりますよ」
なので必然的にこちらから会いに行くことが多くはなるが、それは別に苦にもならない。
彼が勤務する科学館の展示やプラネタリウムが思っていた以上に楽しいこともあるのだろう。
血は争えないということか。
自分が今まで触れていなかっただけで、もし両親が健在だったなら自分もキュヒョンと同じように星に関係する趣味を持っていたのかもしれない。
そう言うとキュヒョンが売店の袋を差し出した。
彼が勤務する科学館の展示やプラネタリウムが思っていた以上に楽しいこともあるのだろう。
血は争えないということか。
自分が今まで触れていなかっただけで、もし両親が健在だったなら自分もキュヒョンと同じように星に関係する趣味を持っていたのかもしれない。
そう言うとキュヒョンが売店の袋を差し出した。
「じゃあ、まずはここから初めてみますか?」
中には星座の早見表。
小学校の授業の時間に使った気がする。
まるで子供の頃に戻ったような気分になった。
それは今デスクの上に置かれている。
小学校の授業の時間に使った気がする。
まるで子供の頃に戻ったような気分になった。
それは今デスクの上に置かれている。
今週特別展示の入れ替えだったキュヒョンは土曜と日曜に休みを入れて3連休をとったらしく、今日仕事が終わったその足でバスに乗ってこちらに来るらしい。
久しぶりのつかの間の逢瀬を邪魔されたくない。
仕事だっていつも以上に張り切るに決まっている。
久しぶりのつかの間の逢瀬を邪魔されたくない。
仕事だっていつも以上に張り切るに決まっている。
朝の7時。
すっかり初夏といった気候はこの時間でも陽射しが暑いくらいだ。
駅前のバス路線用のロータリーのベンチに座って、膝の上に乗せたデイバックの上に眠そうな顔で顎を乗せてぼんやりしているキュヒョンを見付ける。
短くクラクションを鳴らすとふわりと微笑んだキュヒョンがゆっくりと立ち上がった。
助手席のドアを開けて乗り込んでくると、ほっと息を吐く。
すっかり初夏といった気候はこの時間でも陽射しが暑いくらいだ。
駅前のバス路線用のロータリーのベンチに座って、膝の上に乗せたデイバックの上に眠そうな顔で顎を乗せてぼんやりしているキュヒョンを見付ける。
短くクラクションを鳴らすとふわりと微笑んだキュヒョンがゆっくりと立ち上がった。
助手席のドアを開けて乗り込んでくると、ほっと息を吐く。
「おはよう。眠れてないの?」
「寝たような、寝てないような…。バス窮屈なんですもん」
「寝たような、寝てないような…。バス窮屈なんですもん」
成人男子の平均身長よりも多少大きなキュヒョンには窮屈だったようだ。
「どうする?少し眠る?」
「予定とか、ないですか」
「うん。夕食は店を予約してるけど。それ以外は一緒に決めればいいかと思って何も決めてなかったな」
「予定とか、ないですか」
「うん。夕食は店を予約してるけど。それ以外は一緒に決めればいいかと思って何も決めてなかったな」
ふふっとキュヒョンが笑うのにおかしなことでも言ったのかと隣を見る。
「あ、なんか…一緒に決めればいいって嬉しいなと思って」
「…そうだな。そういうのあんまりないかも」
「シウォンさん、自分がリードしなきゃって頑張るタイプっぽいですし」
「…何気に当たり」
「…そうだな。そういうのあんまりないかも」
「シウォンさん、自分がリードしなきゃって頑張るタイプっぽいですし」
「…何気に当たり」
今までならきっとそうしたのだろう。
でもキュヒョンとなら何をしていても楽しいような気がして、それなら彼がしたいことや行きたい場所を聞いて決めてもいいかと思ったのだ。
でもキュヒョンとなら何をしていても楽しいような気がして、それなら彼がしたいことや行きたい場所を聞いて決めてもいいかと思ったのだ。
「それで、行きたい場所とかある?」
うーん、と唸ったキュヒョンが膝上のデイバックにポスッと顏を埋める。
やっぱり眠いかな? 少し休んだ方がいいか? なんて考えているとくぐもった声がした。
やっぱり眠いかな? 少し休んだ方がいいか? なんて考えているとくぐもった声がした。
「とりあえず…朝ごはん」
まるでそのセリフが言い終わるのを待っていたかのようにキュヒョンの腹が鳴る。
声を出して笑うと笑い事じゃないですよ、とくぐもった声に怒られた。
声を出して笑うと笑い事じゃないですよ、とくぐもった声に怒られた。
「何が食べたい?この時間じゃファストフードとかくらいしか…」
「シウォンさん、美味しいモーニング出す喫茶店とか知りません?」
「シウォンさん、美味しいモーニング出す喫茶店とか知りません?」
学生時代にはそういうのも行ってたな、と思い出す。
懐かしい。
懐かしい。
「…まだやってるのかな?前はよく行ってたんだけど」
車を走らせて10分。
昔と変わらない佇まいのままの喫茶店の入り口を開ける。
カランとドアに取り付けられたベルが揺れて鳴ると、コーヒーの香りとトーストの焼ける香ばしい香りがした。
昔と変わらない佇まいのままの喫茶店の入り口を開ける。
カランとドアに取り付けられたベルが揺れて鳴ると、コーヒーの香りとトーストの焼ける香ばしい香りがした。
「おはようございます」
カウンターの中から穏やかなマスターの声。
奥のテーブルに着くと穏やかな笑顔のウエイトレスがオーダーをとりにくる。
定番のトーストのセットとサンドイッチのセットで悩んでいるキュヒョンにどっちも食べたいなら違うものを頼んでシェアすればいいよと言うと頭にあるはずのない耳が見えた。
奥のテーブルに着くと穏やかな笑顔のウエイトレスがオーダーをとりにくる。
定番のトーストのセットとサンドイッチのセットで悩んでいるキュヒョンにどっちも食べたいなら違うものを頼んでシェアすればいいよと言うと頭にあるはずのない耳が見えた。
「本日のサンドイッチはミックスサンドかコンビーフサンドになりますがどちらにいたしましょう」
「…コンビーフ?」
「うん。美味しいよ。よく通って食べてた」
「…コンビーフ?」
「うん。美味しいよ。よく通って食べてた」
今度はしっぽが見えた。
コンビーフの方がいいらしい。
注文を終えて、ウエイトレスがカウンターに向かうとキュヒョンは椅子の背もたれに背中を預ける。
コンビーフの方がいいらしい。
注文を終えて、ウエイトレスがカウンターに向かうとキュヒョンは椅子の背もたれに背中を預ける。
「…いい香り」
「コーヒーの?」
「それもですけど。トーストの香りとかバターとかなんか色々混じってて。なのに混沌としてなくていい香りってすごいですよね。なんか落ちつく」
「静かな音楽とか食器のぶつかる音とかなんかまったりして眠くなるよね」
「コーヒーの?」
「それもですけど。トーストの香りとかバターとかなんか色々混じってて。なのに混沌としてなくていい香りってすごいですよね。なんか落ちつく」
「静かな音楽とか食器のぶつかる音とかなんかまったりして眠くなるよね」
こくこくと頷いてキュヒョンが笑う。
可愛いなぁ。
可愛いなぁ。
「この後どうしますか?」
「どこか行きたいところとかないの?久々にこっちに帰ってきたんだし」
「うーん…色々買い物とかはしたいんですけど、でも向こうでもできるし…シウォンさん読書好きでしたよね?」
「嫌いじゃないよ」
「あの…よかったら図書館とか…行きませんか?」
「どこか行きたいところとかないの?久々にこっちに帰ってきたんだし」
「うーん…色々買い物とかはしたいんですけど、でも向こうでもできるし…シウォンさん読書好きでしたよね?」
「嫌いじゃないよ」
「あの…よかったら図書館とか…行きませんか?」
少しづつ語尾が小さくなるのは流石に却下されると思っての事なのか。
書店にショッピングではなくて図書館。
それはそれで新鮮だ。
書店にショッピングではなくて図書館。
それはそれで新鮮だ。
「構わないけど。涼しいしね」
一緒に居られるだけでも楽しいのだから、そこが図書館だって問題ない。
運ばれてきたトーストとサンドイッチを絶賛しながら食べ切ったキュヒョンが視線を向けた窓の外を歩く女性の差した日傘の影が地面に色濃く落ちて、陽射しの強さを感じさせた。
運ばれてきたトーストとサンドイッチを絶賛しながら食べ切ったキュヒョンが視線を向けた窓の外を歩く女性の差した日傘の影が地面に色濃く落ちて、陽射しの強さを感じさせた。