【ウォンキュ】supple 2 (D-620) | 徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

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とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

「シウォナ相変わらずかっこいいなぁ」
 
呼び方が少し変わった以外は相変わらずなままのキュヒョンが、ワインボトルを手にした俺にそう言って笑う。
 
「それはどうもありがとう」
「どういたしまして」
「お前ら本当に仲がいいなぁ」
 
バイトを始めた頃から比べればそこそこに顔ぶれの変わった仲間の一人にそう言われてそれは、まぁ、と納得するほどには二人でいる時間が長くなっている。
 
「あのさぁ。俺が辞める時も二人で歌ってくれるの?」
「なんだよ、突然」
「いや、ほら。就職内定組はそろそろだろ?かくいう俺も今月いっぱいで辞めようと思ってるんだけど」
 
もうそんな時期か、なんてぼんやりと思う。
あまりピンとこないのは自分がこのままでやっていければいいと思っているからなのだろうか。
 
「歌うだけならいくらでも。曲作るのはシウォナだから」
「そうなの?」
「うん。シウォナが作った曲を歌ってるだけだよ、俺」
 
何故だか楽しそうに笑うキュヒョンにふと不安になる。
彼の夢は一歩ずつ現実になりつつある。
それと同時に今持っている俺の願いは一歩一歩叶わなくなっている。
どうしたらいいのだろう。
誰にも問えない疑問は暗く胸の内に落ちる。
 
「なぁ、キュヒョナ」
 
部屋でギターを弾いて楽譜にコードを書き込みながら名前を呼ぶとふわりと癖毛が揺れた。
 
「何?」
「お前もそろそろ決めなきゃならないんじゃない?」
「何を?」
「進路ってやつ」
「…あー…そだね」
「なんだよ、その気のない返事は」
「だってさぁ、まだ超難関が残ってるんだよ」
「超難関?」
「採用試験ってやつ」
 
なるほど。
いくら資格を取ったところで採用試験を通らなければ「教師」としてのデビューは出来ない。
 
「だったらますますやらなきゃいけないんじゃないの?」
 
拗ねたように俯いたキュヒョンがぽつりと零した言葉を残念ながら聞き取ることが出来なかった。
 
「俺の一番の夢なんて、誰かのお陰でとうに変わってるのに…」
「ん?」
「なんでもないよ」
 
いつもの笑顔でそう言ってチューニングを始めた。
本当にどうすればいいんだろう。
このままで居続けたいと思うのを押し付けるほどの勇気も。
受け止めてもらえる自信もない俺は「願い」を抱えながら。
そしてそれが壊れる瞬間までこうしてずっと問いかけるのだろうか。
答えのないまま、毎日溜息を落として。
 
 
バイトの仲間が辞めていく度に送別会が行われるのは同じ時間を過ごした仲間への贐というだけではない。
何かしらの理由をつけて騒ぎたいというのも本音だろう。
うちの店では人気上位の女子が揃ってキュヒョンを独占している事実はその場にいる男共を敵に回すかと思いきや、妙に全員が寛大になるのはキュヒョンのキャラクターがなせる業なのか。
そそくさと隣に腰を落ち着けたキュヒョンがふぅっと息を吐きだす。
 
「モテモテだな」
「冗談。俺を捕まえて聞いてくるのはシウォナのことだよ?実際のもて男はあなたですよ」
 
ふふふ、と意味深に笑ってキュヒョンは俺のグラスに残っていたビールを一気にあおる。
 
「やってられない」
「その割にご陽気だな、お前」
「他の奴なら嫌だけど。シウォナ男前だしね。仕方ないなって思うじゃん」
「それはどうも。お前も可愛いよ。犬みたいで」
「犬とか言うなっ」
 
やけくそ気味に吐き出して、それでもキュヒョンは楽しそうに笑う。
やっぱりこいつの笑顔は凄いよなぁ。
周りを和ませる最終兵器だ。
 
「ほんと仲いいな、二人」
「仲いいよー」
 
笑って返すキュヒョンにそいつは何故だか大笑いする。
 
「もう、いっそ二人が付き合っちゃえば?」
 
ありがちの冗談にもキュヒョンはにこやかに対応する。
 
「俺はいいんだけどさ、シウォナ好きだし。でも、向こうが嫌だってー」
 
いや、別に嫌とは言わないけど。
酔ってるなー、俺。
なんて冷静に考えてる自分が居て。
そいつが自分の思考の不適切な部分に反応した。
 
「…言わないけどって、なんだ?」
 
ぽつりと零れたセリフに二人がこちらをみてクエッションマークを浮かべている。
そりゃ、そうだ。
 
「そうだなー。キュヒョナがどうしてもって泣いて頼むなら考えなくもないけど…。どうせなら可愛い女の子希望で!そして俺はトイレに行ってくるっ!」
 
親指を立てて立ち上がると、途端に二人が爆笑する。
 
「なんだよ、今の!あいつ酔ってるのか!? それとも眠いのか!?」
「シウォナしっかりっ!!」
 
背中から聞こえる声に手を上げるだけで応えて、トイレの洗面台の前で自分の顔をしっかりと見据える。
おいおい、大丈夫か、俺。
 
「好きって言葉の重みが違うんだよなぁ」
 
あいつみたいに誰にでも簡単に言える好きなら、言えるんだろうけど。
あの声も。
人間性も。
全てにおいて好きの重さが違うと思う。
…あれ?
これは好きじゃなくて必要性だよな?
いや、でもキュヒョナのことは好きなんだけど?
 
「だから、好きってなんだよ?」
 
鏡の中の自分がとんでもなく情けない顔をしていた。