はぁぁぁぁ。
あからさまな溜息にテミンが嫌そうな顔をした。
あからさまな溜息にテミンが嫌そうな顔をした。
「いい気分で酒飲んでるときにそういう溜息つかないでくださいよ」
「そだねー」
「なんですか、それ」
「そだねー」
「なんですか、それ」
客室と宛がわれた部屋に夕食が終わってから、テミンとユノが酒やつまみを持って現れた。
それからしばらく他愛のない会話をしながら飲み続け、元から酒に弱いユノは早々自室に引き上げたのだ。
それからしばらく他愛のない会話をしながら飲み続け、元から酒に弱いユノは早々自室に引き上げたのだ。
「なんかユノに一緒に来てくれたら嬉しいって言われたけど。俺何の役にもたってない気がするんだよなぁ」
「…それはない。だってヒョン笑ってるじゃん」
「いつも笑ってるよ。ユノは」
「…それはない。だってヒョン笑ってるじゃん」
「いつも笑ってるよ。ユノは」
にこにこと人を和ませるような笑顔で。
缶を振って、中に残っていたビールをぐっと飲み干したテミンはそれをくしゃと手でつぶした。
缶を振って、中に残っていたビールをぐっと飲み干したテミンはそれをくしゃと手でつぶした。
「この家で、笑ってる。あの人にとっては大きな事なんだよ」
でも、ここに来てからユノはなんだか時折つらそうな顔をみせるし、考え事が多いみたいだ。
俺に何か出来ることなんて思いつかないし、ユノも何かして欲しいとかそんな要求を一切しない。
俺に何か出来ることなんて思いつかないし、ユノも何かして欲しいとかそんな要求を一切しない。
「あーっ!もうっ!苛々するなぁ。大体チャンミニヒョン。それは僕に相談すべきことじゃなくてユノヒョンに直接言うべき言葉でしょう!あれだ。ユノヒョンが対人恐怖だったとかいう話聞いてびびってるだけでしょ。そうじゃなきゃ自分でとうの昔に聞いてるはずだよ」
いわれればそのとうりなんだけど。
実際今の僕はどこからどうしてユノの壁を崩していけばいいのか考えあぐねてる
とんでもない場所から崩しにかかって、崩さなくてもいいものを壊してしまうのが怖いのだ。
実際今の僕はどこからどうしてユノの壁を崩していけばいいのか考えあぐねてる
とんでもない場所から崩しにかかって、崩さなくてもいいものを壊してしまうのが怖いのだ。
「当たって砕けろ。駄目なら諦めろ」
「簡単に諦めらないから悩んでるんだろ」
「簡単に諦めらないから悩んでるんだろ」
はぁぁぁぁっ。
もう一度溜息。
すると同じようにテミンも溜息をこぼした。
もう一度溜息。
すると同じようにテミンも溜息をこぼした。
「あなたたちはどっちもどっちですよ。お互いがお互いの反応を気にして前に進めない。それならそれで一生同じ場所に止まってりゃいいんだ。ばかみたい」
「バカとかいうな」
「バカとかいうな」
なんだか急に肩の力が抜けて自然と笑ってしまう。
すっきりした。
そう。簡単に諦められないから。
当たって砕けても諦めなきゃいいだけだ。
やっぱり嫌われるのは怖いけど。
何もない現状じゃ、何も変るはずがない。
テミンはなにかしら悪戯を思いついた子供みたいな顔をしてビールの缶を2本手にするとソファーから腰を上げた。
すっきりした。
そう。簡単に諦められないから。
当たって砕けても諦めなきゃいいだけだ。
やっぱり嫌われるのは怖いけど。
何もない現状じゃ、何も変るはずがない。
テミンはなにかしら悪戯を思いついた子供みたいな顔をしてビールの缶を2本手にするとソファーから腰を上げた。
「今回だけはサービスですよ。明日に限っては『早起きは三文の得』ってやつです。ってことで僕は退散しますからー」
じゃあ、とテミンの姿が消えてドアが閉まった。
なんだ、それは。
まぁ、あいつの不思議な言動は今に始まったことではないけれど。
けど侮れないのも確かなのだ。
なんだ、それは。
まぁ、あいつの不思議な言動は今に始まったことではないけれど。
けど侮れないのも確かなのだ。
「早起き…ねぇ…」
とりあえず早起きでもしてみりゃいいってことか。
テーブルの上のごみをあらかた片付けると、僕は早々にベッドに潜り込んだ。
何かが起きればいいと思いながら。
テーブルの上のごみをあらかた片付けると、僕は早々にベッドに潜り込んだ。
何かが起きればいいと思いながら。
「早い…だろ。一応」
まだ眠っていたいと閉じようとする瞼を無理やり開けてベッドサイドに置いていた自分の携帯の時刻表示を確認する。
朝の6時半。
一般の社会人には全然普通なのかもしれないけれど、自分にとっては驚異的な「早起き」の時間だ。
ベッドから降りて、とりあえずカーテンを開けると、少し霧がかかったような外の景色が凄く綺麗で、窓を開けた。
さっと入り込んできた空気はまだ冷たくて、一瞬で眠気もなりを潜める。
そんな霞んだ景色に溶け込むような人影をみつける。
独特の雰囲気を纏った人物は間違いなく…。
朝の6時半。
一般の社会人には全然普通なのかもしれないけれど、自分にとっては驚異的な「早起き」の時間だ。
ベッドから降りて、とりあえずカーテンを開けると、少し霧がかかったような外の景色が凄く綺麗で、窓を開けた。
さっと入り込んできた空気はまだ冷たくて、一瞬で眠気もなりを潜める。
そんな霞んだ景色に溶け込むような人影をみつける。
独特の雰囲気を纏った人物は間違いなく…。
「ユノっ!」
名前を呼ばれて、びくりと肩を震わせたユノは僕が開けた窓を見上げた。
「チャンミン?」
「何処行くんですか?」
「何処行くんですか?」
ユノの手には裏庭で綺麗に咲いていた花が抱えられて。
「今から…両親のとこに…」
ああ。テミンは知ってたんだ。
「僕も一緒に行っていいですか?」
突然の申し出にユノはどうしたらいいかわからないという表情をするから、僕はとりあえず安心させるように微笑う。
「ちょっと待ってて。すぐ行くから」
返事も待たずに窓を閉めると、慌てて身支度を整える。
玄関を出ると、律儀なユノはその場所で待っていた。
玄関を出ると、律儀なユノはその場所で待っていた。
「ごめん。寒くなかった?」
「うん。これくらいなら大丈夫だよ」
「うん。これくらいなら大丈夫だよ」
そういうけれど。
僕からしてみれば結構肌寒いくらいなのに、ユノは長袖のシャツにカーディガンを羽織っているくらいのものだ。
なんだか結構な大荷物を抱えていて、ボストンバッグを横取りして肩にかけると、ユノは本当に嬉しそうに笑って礼を言ってから大きな花束を抱えなおした。
僕からしてみれば結構肌寒いくらいなのに、ユノは長袖のシャツにカーディガンを羽織っているくらいのものだ。
なんだか結構な大荷物を抱えていて、ボストンバッグを横取りして肩にかけると、ユノは本当に嬉しそうに笑って礼を言ってから大きな花束を抱えなおした。
「やっぱ可愛いなぁ。ユノ」
「なっ、何。いきなり」
「なっ、何。いきなり」
ふいっと視線を逸らす様子すら可愛い。
「遠い?」
「…言うほどじゃないよ。歩いて10 分くらいかな」
「…言うほどじゃないよ。歩いて10 分くらいかな」
その間特に会話らしい会話もなく。
それでも変に緊張するわけでもなく。
二人でただ並んで歩いた。
お寺の裏にある広い墓地のほぼ真ん中にユノの両親はいた。
それでも変に緊張するわけでもなく。
二人でただ並んで歩いた。
お寺の裏にある広い墓地のほぼ真ん中にユノの両親はいた。
「ジョンスヒョンがこまめに掃除に来てくれてるから」
枯れてしまった花が刺さったままの他のところと比べて、確かに綺麗に掃除されている。
花も萎れてはいるけれど、まだ綺麗なものだった。
ユノはボストンバックの中からアウトドア用の小さなコンロとポットを出すと、ポットの中にペットボトルの水を入れて火をつける。
花も萎れてはいるけれど、まだ綺麗なものだった。
ユノはボストンバックの中からアウトドア用の小さなコンロとポットを出すと、ポットの中にペットボトルの水を入れて火をつける。
「何するんですか?」
ユノは質問に答えるわけでもなく、ただにっこりと笑った
こういうときは大体「後でわかるよ」ってことなので、僕は納得するように背中を伸ばしす。
こういうときは大体「後でわかるよ」ってことなので、僕は納得するように背中を伸ばしす。
「何か手伝えることあります?」
「じゃあ、入り口のとこに水場があっただろ。あそこで水汲んできて。掃除と花変えるから」
「じゃあ、入り口のとこに水場があっただろ。あそこで水汲んできて。掃除と花変えるから」
言われたとおりに水をバケツ入れる。
蛇口は目一杯開いても、水が細くしか出なくて少し時間がかかった。
戻ると、ユノは萎れていた花を新聞紙につつんで、花立ての中を掃除していた。
おいおい。
もし僕が来てなかったら、ユノ一人で全部やるつもりだったのか。
石の頭から水をかけると、ユノが名前の刻まれている溝をなぞるように触れて、汚れを落として花立にも綺麗な水を入れなおす。
そして抱えてきた花を挿しなおした。
蛇口は目一杯開いても、水が細くしか出なくて少し時間がかかった。
戻ると、ユノは萎れていた花を新聞紙につつんで、花立ての中を掃除していた。
おいおい。
もし僕が来てなかったら、ユノ一人で全部やるつもりだったのか。
石の頭から水をかけると、ユノが名前の刻まれている溝をなぞるように触れて、汚れを落として花立にも綺麗な水を入れなおす。
そして抱えてきた花を挿しなおした。
「ユノ。お湯沸いてる」
「あ」
「あ」
慌ててガスを止めると、今度はドリップとコーヒーをバッグの中から出してコーヒーを淹れはじめる。
あたりにもコーヒーのいい香りが漂い始めた。
あたりにもコーヒーのいい香りが漂い始めた。
「なんかちょっと場違いな香り?」
「そうだね」
「そうだね」
くすくすと小さく笑ったユノは耐熱カップに注いだコーヒーを墓前にそっと置いて手を合わせた。
「二人とも好きだったんだ。コーヒーが」
「そっか」
「うん」
「そっか」
「うん」
そして線香を焚いて二人で手を合わせてから、ユノは僕にも温かいコーヒーの入ったカップを手渡してくれる。
正直。
少しばかり肌寒いくらいだったので手から伝わる温かさはかなり心地よかった。
そして口をつける。
正直。
少しばかり肌寒いくらいだったので手から伝わる温かさはかなり心地よかった。
そして口をつける。
「…美味い」
「ありがと」
「ありがと」
少し照れたようにユノは微笑んだ。
冗談抜きで、下手な喫茶店とかで飲むコーヒーよりも美味い。
冗談抜きで、下手な喫茶店とかで飲むコーヒーよりも美味い。
「これだけ美味いコーヒーなら、二人とも喜んでるでしょうね」
「だったらいいな」
「っていうか、カップ僕が使ってよかったんですか?二つ置いてあげるつもりだったんじゃ?」
「大丈夫だよ。俺がいうのもなんだけど二人とも凄く仲良かったからひとつのほうが喜んでるかもね」
「…そうですか。両親のこと大好きなんですね」
「うん。僕を大切にしてくれた。大好きだよ」
「だったらいいな」
「っていうか、カップ僕が使ってよかったんですか?二つ置いてあげるつもりだったんじゃ?」
「大丈夫だよ。俺がいうのもなんだけど二人とも凄く仲良かったからひとつのほうが喜んでるかもね」
「…そうですか。両親のこと大好きなんですね」
「うん。僕を大切にしてくれた。大好きだよ」
僕の質問に答えるというより、自分の前の両親に言って聞かせるようにそう言う。
「じゃあ。僕もユノを大事にしなかったら罰あたりますね」
えっと驚いたように僕に視線を向けてくる彼ににっと笑って、もう一度手を合わせた。
「頑張ります」
そう誓う。
二人の大切な息子さんを僕みたいな頼りないのに任せてくれなんて言えないけど、努力はするから。
ユノが俺の着ているブルゾンの裾を俯いたままで引っ張った。
二人の大切な息子さんを僕みたいな頼りないのに任せてくれなんて言えないけど、努力はするから。
ユノが俺の着ているブルゾンの裾を俯いたままで引っ張った。
「俺は…チャンミンに話したいことがたくさんある」
「…はい」
「全部上手く話せるかわからないけど」
「うん」
「後で聞いてくれるか?」
「…もちろんですよ」
「…はい」
「全部上手く話せるかわからないけど」
「うん」
「後で聞いてくれるか?」
「…もちろんですよ」
顔を上げたユノは泣き出しそうな顔で笑っていた。