【ミンホ】 心音メロディー 9 | 徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

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とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!


あの後二人で帰ったら。
テミンが庭でドギーと遊んでいて。
こっちに気付くと驚いた表情で固まったまま。
次にはとびっきりの笑顔になった。
なぁ、テミン。
俺はお前が身体を張って教えてくれた「俺の存在価値」を今だに疑う時がある。
でも俺は生きていたいから、だから君の言葉を頼りにしてきたけれど。
俺はもう一人頼ってもいい人が出来るかもしれない。
失くすかもしれなくても、僕の「存在価値」を知って欲しい人が出来たから。
 

…と、言ってみたものの。
やっぱり、臆病な俺はなかなか切り出せなくて、結局夜になって客室の前をうろうろしているという有様だ。
ドアをノックすればいいだけの話しなんだから。
深呼吸して、ドアを叩こうとして止める。
そんな動作を何度か繰り返していたら…。
唐突にドアが開いた。
 
「…どうしたんですか。ユノ」
「え…。えーと…」
 
ドアを叩こうとしていた手を引っ込めることも出来ずにいると、チャンミンが吹き出した。
 
「何、その手は。本当に可愛いなぁ」
「か、可愛くなんかないよ」
「入ってください。って言ってもユノの家ですけどね」
 
そしてドアを開け広げてくれる。
中に入ってドアを閉めると俺はソファーにぽすんと納まった。
 
「なんでドア開けたんだ?外に出るんじゃなかったのか?」
「んー?別に。ただユノが朝『後で話がある』って言ってたでしょ?でもタイミングなかったから、もう
夜しかないだろうなって思って。後って言ってたから今日中には来ると思ってたんですよね。ユノそういうとこは妙に律儀っていうか固いっていうか、あるから」
 
首を傾げるようにして笑うチャンミンにどうしたらいいか分からなくなる。
 
「あのさ…」
「うん」
「この部屋」
「客室?」
「うん。俺、ここに立て籠もった事があるんだよ。両親が死んですぐくらいかな」
 
チャンミンは優しい表情で、黙って俺の話を聞いてくれる。
あれは両親が交通事故で亡くなってすぐ。
葬式で集まった親戚たちの話題は俺の引き取り先だった。
まだ 14歳で、保護者が必要だったから。
うちの父が一代で作った財産だからほとんど俺に相続されることになってたみたいだし、父は兄弟もいなかった。
母の唯一の姉弟がジョンスヒョンだったんだけど、当時は行方不明扱いになっていたから。
俺を引き取るということはこの家の財産を所有できるということで、みんなが欲しかったのはそっちだった。
俺は法律のことに関しては無知だけど、特許の使用料っていうのはそのまま遺産として子孫に残せるものなんだってな。
何もしなくてもお金が入ってくる。
おまけにこの家も土地も全てが手に入る。
俺はそんなものはいらなかった。
でも。
集まった親戚は全員そればかりで。
俺はただの付属品で、出来ることなら無い方がいい。
いくら子供だって言ったってそれくらいのことは肌で感じるものなんだよ。
その中で一人なんだか医師をやっている人がいてさ。
たまたまみんなが集まって話しているのを聞いちゃったから、ちゃんとした言葉を覚えてないんだけど…精神異常とかそういう症状が見られる場合は遺産の相続が出来なくなるだか、遺産が保護者の管理下になるとか、そういうのがあるらしくて。
精神病院の知り合いのに病気だと仕立て上げて病院に閉じ込めるとかいう計画もあったんだ。
お金なんてどうでもいい。
誰も父や母の事を悲しんでいる人なんていない。
頼りにしたいのに誰も頼れない。
あの中には誰も俺の味方はいない。
誰も信じられなかった。
食事を出されても、何か混ぜてあるかもしれないとか。
ちょっとした彼らの行動が怖くて怖くて過剰に反応するようになっちゃって、他の人からみればそんな俺は本当に精神異常に見えたかもしれない。
だから閉じこもったんだ。ここに。
ここならトイレで外にでる必要も無かったし二階だから簡単に外から入ってこれないだろうから。
でもやっぱり怖くて、眠ることすらまともに出来なくなってた。
眠っている間に誰か入ってくるかもしれないとか考えてさ。
食事だって最初に持ち込んだものだけだから一週間もすれば、もう何も食べるものもないし。
そういうところは子供の浅はかさだよね。
でも、あとで聞いたらその間、父と親交の深かった弁護士さんがずっとジョンスヒョンを探してくれていたんだって。
それで、10 日過ぎた頃かな。
窓に物が当たる音がするんだ。
最初はやっぱり怖くて、でも無理やり入ってこようとかそういう感じは全くないままに30 分近くも同じように繰り返すものだから分厚いカーテンを少しだけ開けたらそこの大きな木の枝にテミンが座ってた。
食べ物の入った袋を掲げて、手を振って笑ってて。
でも最初はやっぱり怖くて怖くてそれも受け取れなくて。
それでもテミンは毎日同じ事を続けてさ。
最初はジョンスヒョンが握ったおにぎりだったけど、コンビニで買ってきたおにぎり掲げて「これだったら安心でしょ?ユノヒョンが食べないなら僕がたべるよ。絶対大丈夫だから」って
本当にそこでバクバク食べ始めちゃって。
俺はもうお腹へって仕方ないのにさ。
嫌な奴だよなー。
窓を少しだけ開けたらテミンがそこにおにぎりを投げ込んでくれた。
多分、そのときのおにぎりは今までで一番美味しかったと思う。
それからテミンだけは余程近くに来ない限りは大丈夫だった。
そんなことがあって結構すぐだったよ、事件が起きたのは。
とうとう部屋のドアが壊された。
それは親戚の誰かじゃなくて、全く知らない人で。
いつもは必ず誰かが居て僕の様子を伺っていたのに、その日に限って家には誰も居なくって、いきなり襲われた。
対格差もあるし、まともに食事もしてなかったし、大した抵抗も出来なくて、殴られて、首を絞められて本気でもう駄目だと思ったな。
目の前がちかちかして、苦しくて。
でもこのまま死んで、あのおじさんやおばさんを喜ばせるのも悔しいなんて思った時。
ガラスの割れる音がした。
テミンがあの窓蹴破って入ってきて、その人にとび蹴り食らわせたんだ。
そこからもう、めちゃくちゃ。
さすがにそこまでしたらやばいと思うくらいまで相手をやっつけちゃって。
ジョンスヒョンが慌てて警察に電話してその人は捕まったんだけど。
その時に初めて俺はジョンスヒョンが居たのに気付いた。
ヒョンがボロボロ泣いて。
 
「一番側にいてあげなきゃいけない時に、居なくて御免」
 
って、もうこっちが恥ずかしくなるくらいわんわん泣いちゃって。
NASAの研究所にいたらしくて、連絡とか全く絶たれてて行方不明扱いになっちゃってたらしいんだけど。
でも不思議に、それで俺は両親が死んでから初めて泣いたんだよ。
二人で思いっきり泣いてたら、その間にテミンがみんなのおにぎりを作ってくれたんだ。
いびつな形のおにぎりなんだけど、俺は泣きながらそれを食べた。
あの時。
いつもみたいに食事を運んでくれたテミンがたまたま少し開いていたカーテンの隙間から中が見えたから、と、枝から飛んでガラスを蹴破ってくれた。
テミンだって下手すれば大怪我してたかもしれないのに
それを言ったらテミンは決まって言うんだ。
 
「僕は怪我してもヒョンを助けに行ってたよ?だってたった一人しか居ない従兄弟じゃない。そりゃあ、長い間顔見てなかったから従兄弟だとか言ってもそこまで出来ないかもとは思うけど、僕は窓
を開けたユノヒョンが綺麗で大好きだったんだ。僕がたまたま行く時間で、たまたま中が見えたってのはきっと何かがユノヒョンはまだまだ生きていかなきゃならないんだって告げてたんじゃないのかな?」
 
そして最後にはこう言うんだ。
 
「ヒョンが存在する意味はあるんだよ。誰かを幸せにするために生きてんだ。少なくても僕はヒョンが生きているって事実だけで幸せだよ?」
 
それは今だって信じられない時もあるんだけど、その言葉が今の俺を作ってるんだと思う。
 
 

俺の話を聞いていたチャンミンは険しい顔をしてた。
 
「で。そのおじさんやおばさんはどうしたんですか?」
「…みんな捕まったよ。俺を襲った犯人が『頼まれた』って警察で話したんだって。頼まれたって…」
「なんですか、それ…!」
「みんな殺人教唆かなんかで捕まって、ジョンスヒョンを探してくれた弁護士さんが色々手続きしてくれて俺の側に近寄れないようにしてくれた。ジョンスヒョンも遺産なんていらないって。それは全てユノが生きていくために必要なものだから自分が手にするわけにはいかないっていうんだ。でも…。ジョンスヒョンは全部を捨ててきてくれた。だから俺はここに住んで欲しいって頼んだんだ。ラボだって使われないままじゃもったいないし、俺が空けている間、管理だってしなきゃならないし」
 
なんだか話し出すと堰を切ったように言葉が出てくる。
 
「ユノ」
 
名前を呼ばれて、抱きしめられる。
 
「チャンミン?」
「今、生きていてよかったと思えますか?」
 
突然の質問に俺は戸惑った。
あれからも対人恐怖症の症状は簡単には消えてくれなくて、辛いと思ったことはたくさんある。
 
「僕は…あなたが今ここにいるのは、僕の為だって思ってる」
「チャンミンの…ため?」
「そうです。テミンも言ったんでしょ?誰かを幸せにするために貴方は生きてるんだって。それなら間違いなく僕を幸せにするために貴方は居る」
 
俺には。
存在価値があるんだろうか。
でも今は、そんなものが無くても。
チャンミンの為に生きていたいと、思えた。
その背中に腕を回す。
ぎゅっと抱きしめて、温もりと存在を身近に感じた
 
「ユノ。話してくれてありがとうございます」
「うん。聞いてくれてありがとう」
「それで、こんなときになんですけど…」
「何」
「あなたの事凄く抱きたい」
 
あまりにも直接的な言葉にちょっとびっくりした。
チャンミンは最初に触れてきた時以降、壊れ物を扱うように俺を扱っていたし、俺もやっぱりちょっと怖くてそのままうやむやにしていたし。
 
「えー…と」
「ダメ、ですかね」
「続きって…こと?」
 
前回の言葉を思い出したらしいチャンミンは咳払いした。
 
「改めて」
「…うん。いいよ」
「えっ!? 」
 
自分で言い出したくせに許可が下りたらびっくりするんだなぁ、なんてちょっと可笑しくて笑ってしまった。
 
「笑わないでください」
「いや、だってさ…」
 
言葉は飲み込まれた。
チャンミンの唇に。