小説は人の心情を描いたものである。
寓話であっても、そこに描かれているのは人の心情である。
だから、小説では「心情」が問われる。しかし小説では心情がそのまま記述されていることは少ない。
なぜなら小説は描写で語るのであり、説明は論説で行われるからである。
だから小説では描写の意味を考えることが主となる。
具体例で考える。高校の小説教材で最もポピュラーな作品「羅生門」。
「下人は、大きなくさめをして、それから、大義そうに立上った。」
このときの心情を説明せよ。
小説での心情を考えるときの定石は、
①語句の理解
②表現技法の理解
②文脈の理解、である。
ここでは②は特に考慮する必要がない。「くさめ」と「大儀そうに」の意味をまず確認する。
大儀そうにしている根拠は、直前の「盗人になることもできず、明日の生活にも困っている」という下人の置かれた状況である。
これを板書しながら確認していけば、多くの生徒が納得できる心情説明になると思う。