名の通ったハンターと言っても色々だ
資金力に物を言わせて、ひたすら手伝いを雇い
手に入れた素材で、鋼でも断ち割るような大剣を作る奴
クエストに行きはしても、決して自分はキャンプから出ない奴
爆弾や、あらゆる道具を潤沢に使用し
武器の種類もコロコロ変えて、兎に角狩りをこなす奴と
中天にかかる月が、青い砂丘を丸く浮かび上がらせる
防寒していても、夜の砂漠は死の世界だ
時が止まったような砂の海を、静かに踏みしめながら一歩ずつ
深々と冷気が、身体に染み込んで来る
「千刃竜。 狩ったんだろ?」
そこのファミリーの若い奴等と揉めたのは
ちょっとした行き違いもあった
どうでも良いと言えばそれまでだが、そこは飴と鞭のようなもんだ
実際、千刃竜なんて
俺的には大した素材は取れない
それでも、この地方ではまずお目にかかれない希少さは ギルドの目を盗んででも、入手する価値があるらしい
枯れた巨大な湖を迂回し、乾ききった風にゆっくりと葉を鳴らす椰子を横目に
天を横切る、星の河を眺めながら
生命の気配の絶えた砂の世界を、何時間も歩くと
そういった、人間の業のようなものが どうでも良くなって来る
自分は世界の一部で
世界は自分だった
(こっちかな)
目撃情報は、間に4回ぐらい伝聞を挟んだ眉唾だったが
「居なければ居ないで、経費は持つ」と言われている
居た
砂礫と岩に丸く囲まれた、まるで吹き抜けの部屋のようなエリア
見覚えのある
金色に近い、角張った鱗にビッシリと覆われた尻尾が蠢いていた
ちょうど、岩盤の影になっていた
涎の混じった息が口の端から漏れるような
断続的な湿った獣の声が、小さな広場に響いている
合間合間に聞こえる、明らかな咀嚼音
“喰っている”
背後からペイントを当てようと、足音を消して近付く
ソイツの動きが止まった
何かがおかしかった
「!?」
ムックリと
尻尾が横を向いたまま、上に持ち上がった
筋肉の動きが伴っていない
まるで
「おいおい・・・」
それは、真っ黒な
よく知った気配だった
俺が見ていた千刃竜
それを、真っ黒に変色した
有り得ないぐらいに大きな千刃竜が咥えていた
「やられたか」
若頭の顔が脳裏を過ぎる
俺は、苦笑しながら
強化したばかりの、斬極刀に手をかけ
一気に精神を没入させた
(了
















