すかいうぉーかー -8ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND








名の通ったハンターと言っても色々だ


資金力に物を言わせて、ひたすら手伝いを雇い
手に入れた素材で、鋼でも断ち割るような大剣を作る奴


クエストに行きはしても、決して自分はキャンプから出ない奴


爆弾や、あらゆる道具を潤沢に使用し
武器の種類もコロコロ変えて、兎に角狩りをこなす奴と









中天にかかる月が、青い砂丘を丸く浮かび上がらせる


防寒していても、夜の砂漠は死の世界だ

時が止まったような砂の海を、静かに踏みしめながら一歩ずつ

深々と冷気が、身体に染み込んで来る










「千刃竜。 狩ったんだろ?」












そこのファミリーの若い奴等と揉めたのは
ちょっとした行き違いもあった


どうでも良いと言えばそれまでだが、そこは飴と鞭のようなもんだ







実際、千刃竜なんて
俺的には大した素材は取れない

それでも、この地方ではまずお目にかかれない希少さは ギルドの目を盗んででも、入手する価値があるらしい









枯れた巨大な湖を迂回し、乾ききった風にゆっくりと葉を鳴らす椰子を横目に

天を横切る、星の河を眺めながら
生命の気配の絶えた砂の世界を、何時間も歩くと

そういった、人間の業のようなものが どうでも良くなって来る



自分は世界の一部で

世界は自分だった













(こっちかな)



目撃情報は、間に4回ぐらい伝聞を挟んだ眉唾だったが
「居なければ居ないで、経費は持つ」と言われている
















居た





砂礫と岩に丸く囲まれた、まるで吹き抜けの部屋のようなエリア



見覚えのある
金色に近い、角張った鱗にビッシリと覆われた尻尾が蠢いていた




ちょうど、岩盤の影になっていた

涎の混じった息が口の端から漏れるような
断続的な湿った獣の声が、小さな広場に響いている


合間合間に聞こえる、明らかな咀嚼音











“喰っている”










背後からペイントを当てようと、足音を消して近付く











ソイツの動きが止まった






何かがおかしかった











「!?」






ムックリと


尻尾が横を向いたまま、上に持ち上がった



筋肉の動きが伴っていない

まるで













「おいおい・・・」









それは、真っ黒な



よく知った気配だった








俺が見ていた千刃竜



それを、真っ黒に変色した
有り得ないぐらいに大きな千刃竜が咥えていた















「やられたか」




若頭の顔が脳裏を過ぎる














俺は、苦笑しながら


強化したばかりの、斬極刀に手をかけ








一気に精神を没入させた




(了




















俺が、ハンターとして居を構える『ウィシュカー街』は 一言で言うならスラムだ





ドンドルマ


国家単位のスケールを持つ巨大な要塞都市だ



膨大な単位で物事は動き

様々な所で流れは淀み

あらゆる面で“人間”の狭間には凝りが生まれ、きらびやかな繁栄の裏には、腐臭を放つ汚い泥が溜まる






幾度となく襲う古龍の脅威に人々は怯え

それでも、人の強さで何度でも再生し 前に進む


だが、何割かの強くは無い者達は、壊れた心の隙間を埋める為に、明日すら見えない生活の為に暮らし

享楽と安寧の幻想に夢を擦り減らして行く








「バズー。」
   




大老殿を臨む、日中でも陽の届かない通り


カビ臭い木戸を潜り、黒く汚れた水溜りを避けて歩くと
廓の入り口にたむろする女達が、濁った目で声をかけて来る






「寄ってってよ」




「また今度な」





手をあげてヒラヒラと動かし、背中で返事をする



カチャカチャとなる装備の音に、思考を泳がせながら
昼間からボロ布にくるまって、道の隅に座り込んだ奴等の視線を無視して歩く










 








「おす」






「・・・。」




土竜族と呼ばれる下賤の民の通称

入り口で煙草を吹かす金髪碧眼の少女が、誰も信用しない眼で俺を睨め付ける


銅貨1枚を放ると、空中でそれを消すように掴んで 目にも止まらぬ早さで懐に入れ、奥に消える










「何だ」






酒臭い声が、のっそりと暖簾を上げて顔を出した


身長は190 はあるだろうか

岩でも握り潰しそうな巨漢の竜人族が、濁った視線をコチラに向ける




俺は構わずに、肩に背負った麻の袋を「ゴトリ」とカウンターに置いた


 




「また、余ったからよ」






芋虫のような指が、無愛想に袋を引っ掴み
そのまま、背後の少女に渡す




取引を禁止されてる

100歳を越えた飛竜の爪だ



特定のキノコや虫を使い
特殊な加工をすると、阿片の数100倍はヤバいもんが出来あがる






G級を受注出来るハンターってのは、綺麗事や功績だけじゃやって行けない







情報にせよ、用意するもんにせよ
狩猟に対する報酬のデカさや、得られる名声の桁の違い
 

武器の研磨方法1つとっても、匠と呼ばれるような妖怪みたいな爺さんに渡りを付ける為には、目の飛び出るような金を使わなければならない



群がる亡者の数

その中を泳ぐ、実力と狡賢さ





正攻法じゃ、普通の人間はまずそんな狩りは出来ないのだ








巨漢は奥に消えると
2m近い 布に包まれた何かを持って戻り
黙って俺に突き出した







「1次加工まではやっといた。後はココに行け」





4つに折り畳まれた紙切れ


























「ウォーレン」






呼び止められ、振り返る





「ファミリーネームで呼ぶんじゃねぇよ」







「ソイツは悪かった」






マフィアの若頭が、両掌を軽くあげて
戯ける


後ろには、頭に包帯を巻いて 血の滲んだ片目を隠した奴や、肘から先が無い奴が5~6人







「頼みがある」

















「今度ハメたら、お前の首から上が無くなるぜ?」









(続
































「お主は、羅刹天のようじゃの」







縁側で午後の気怠い陽気に足を伸ばしながら、湯気の立ち上る湯呑みに口をつける





足の下は、真っ白な雲海

声は、遥か頭上から








「そうすか?」





「経歴を見せて貰ったが、興味深いのは 武器屋の帳簿と、狩ったモンスターの偏り方じゃ」










「“ラージャ”と言うのは“王”を指す。 その太刀の銘も、八千万の鬼を統べる者 即ちコレ 涅哩底王の事よ



地獄の獄卒を指す場合もある

“金獅子殺し” の異名も頷けるわ」









「・・・。」







「イカヅチを好み、lv100の金獅子2頭を向こうにして 一歩も退かぬ。 そんな奴は、もはやヒトの域を超えておるよ」








「奴とはウマが合うんです」









守りも 潜りも 飛び去りもしない



懐に飛び込んでの、ガチのインファイト



















「じゃあ、貴方は毘沙門天ですね」







「そうなるか(笑)」










俺は、最後の串団子を取ると
3ついっぺんに口に放り込み


モギュモギュと口を動かしながら 立ち上がり

クエスト受付カウンターに向かった














深い眠りからゆっくりと浮上すると
陽は既に中天を幾らか過ぎていた




随分と腹が減っている

這うように起き出し、椅子に掛けっ放しだった服を着て外に出る








ちょうどバザールの時期だった



交易の要所に当たる港町は、様々な異国の人間が行き交い

青空の下で軒を並べる 普段の倍近い数のテントには、 見たことも無い食材や 美しい装飾品が並ぶ



デカいザルに大きな葉を敷いて、いっぱいに氷が敷き詰められた上に 巨大なカジキやシーラが丸ごと載り

巨大な野菜や瑞々しい果実が、芳醇な香りを漂わせている





人混みを避けながら歩くと、陽気な音を鳴らしながら歩く楽団が傍らをすれ違う



















「よう」





結局、いつもの集会所で、いつもの席につき、いつものメニューを食べながらエール酒を呷っていた所に

同じように、装備も付けないで 呆けた顔をしたアクセルが来て、隣の席にドカッと座った






「なんだよ。今日は休みか?」



「そっちこそ、昼間っからこんなとこで飲んでんじゃないの。 おーい、コッチにも酒ちょーだい」









「お疲れっすー」







「うぃーす」







「おや、お揃いですね」









珍しい


メンバーが、招集もかかってないのに 同時にこんなに揃うなんて





巨大なテーブルの上が、あっという間に 酒と食い物でいっぱいになる













「団長はどうしたのよ?」






俺「 “また” アレ行ってるらしい。 」





「うわ。凄いというか、諦めが悪いというか(笑)」










俺は、早々に匙を投げた



あんなの、ソロで頑張る気にもなれない







つーか、面倒くさい(笑)










だが、我らが団長は そういう所は一途である



俺なんかは、単なる美学やモチベーションで狩るが
彼は なんと言うか、もうちょっと純粋で芯が強い気がする





だからこそ、団長をやってもらっている訳だが

残念ながら、目下 連敗街道爆進中



それでも、毎回 黒焦げの血塗れでタンカで運ばれて来て「ただいま」と笑う彼が、みんな好きだったりする





いつかは狩れる


武器を スキルを 持ち物を

慣れと立ち回りに 運も少々





それが、狩りの本質だ









「そういや、あの若い奴はどうした?」





俺「ああ、来月辺りコッチに来るらしいよ。頑張ってるみたいだ」





「コチラもですよ。『火の國』のトリオが揃うのは久し振りです」














俺達は、干し肉を派手に噛みちぎり



ライ麦の匂いのする、岩のようなパンにナイフを入れてチーズをのせ



大振りの切り身にフォークを刺し



飛び散る果汁に口が汚れるに任せ











何回も咀嚼しながら笑い

胃袋をパンパンにし



また、杯を呷るのだった














年々、旅ってもんに感動が減って行っている






コレは別に悪い事では無くて



出発前、なんならその1ヶ月前からの「未知」に対する期待と不安が


社会人になったり、バイクに乗ったり、遠方に友達が出来たりで
色んな所に行くようになって、日本全体の様子が知識として積み重なっていったからだ



「何処に行こうが、国内である以上 最低でもこれぐらいの水準にはある 」みたいな




これは、東京で産まれ育ってしまった人間の持病みたいなもんである

田舎だの、地方だの
そういう言葉





目に映る

五感に飛び込んで来る全てが新鮮だった頃




100ある選択肢や事物が、かなりの割合で「既知」となった現在








何を用意すれば良いか

交通手段や、それに対応した予定の組み方と段取り


事前に調べておく事や、いざと云う時に必要な物
逆に、意外と要らない物など





予算や、用意出来る物 買わないといけない物

何処でも売ってる物






1日や2日、普段のように出来ないからって死にゃあしないし


時間も予算も有限なのだから

自分の感覚に耳を傾けて、ポイントポイントを抑えたスケジュールを組み

どうとでもなるように、隙間を大きく取り
実際に行ってみないと分からない事は、ぶっつけで判断できるようにしておく




交通手段も、嫁キンの車を提案した

1週間もあるのだ、往復の運転を除けば 全てに於いて優れている確信があったし


何よりも、このコンビなら
かかる時間はかなり短い(笑)





着替えと、アメニティ

ガイドブック2種類に、多少の暇潰し



あとは、お互いにスマホと充電器さえあれば
全く問題なく






四国に対する予備知識は全く無かった

いざ、本を見てみて「なるほど」と



香川 徳島 高知 愛媛

名前は知っていても、その並び方や
聞き覚えのある街・観光名所の名前何かは はっきりとは知らなくて


徳島なんかはzennyさん居るなぁとも思ったけど、今更 連絡の取りようもない








行ってみると
関西と言うよりも、九州に近い物を感じた



海や山の穏やかさと暖かさ

肩に力の入り過ぎてない、人と暮らし





いつもと同じだ

費用と足さえあれば、どうとでもなる



事前に決めておいた事を骨子に


2人で旅をしながら、通りすがり

アレ行ってみよう とか コレ寄ってみよう とか








結局、全部は無理なのだ



どんだけ本でお薦めになっていようとも

それが、俺個人にとって良い物かどうかは分からなくて




それでも、自分で選んで行ってみたなら
ダメでも悔しくはないし、良ければ喜びは増す





その時 その時で、好みだって変わる


そういった感覚は、移ろい行くんじゃなくて
タイミングだと思う






言い方を変えれば「縁」











元々、旅心なんて無かった




生粋の面倒くさがり













だから

コレは




























やはり「縁」なのである














あっ





























皆に「アレが、Y君だよ」って、教えてあげるの忘れてたよ





(某・機動戦士で大きくなった“B”社の創始者の孫)








































































滞在時間30分

さて、家に帰るかな









































「げぷ」     ←大盛り+焼き飯1.5杯ぐらい食った