別に、ポッチャリ好きではないですが
別に、ポッチャリ好きではないですが
携帯に着信
タカギさん「あ、お疲れ様ですー」
どもですー
タカギさん「えっとですね、〇※△のバックステップが、見切り品的に安く出てるんですよ」
ピキッ
・・・えっと、幾らぐらいで
タカギさん「半値以下ですねー。定価が(ピー)円なんで、税込みで(ピー)円になります」
90年代のスポーツバイクってのは、マフラー・リヤサス・バックステップの“3種の神器”の交換は、ある意味で必須だった
ただ乗るだけなら良いのだが
それなりの「攻め」に対し、それぞれが重さや性能やポジション的にヌルく
性能を引き出す意味でも、換えてナンボみたいな所があった
だが、今現在
サスペンションは基本的に問題は無い
モデルチェンジを繰り返す度に、進化を続け
フルアジャスタブルの倒立42Φがスタンダードなフロントに伴い、リヤも充分な性能を持っている
マフラーも、音質を除けば全くと言ってイイほどだ
俺の2007年モデルの頃は、性能アップの頂点と言っても良く
材質もチタンで、重さ云々とか全然問題無い
パワーが有り余る車体にフルエキが必要な人間なんて、公道ならばほとんど居ないぐらいで
逆に現行モデルの方が、不景気に伴うコストダウンが随所に見られる
それでも、Rさんなんか
鉄サイレンサー・筑波でフルブレーキしたらひん曲がる4mmフロントディスクの1000RRを、何もいじらずに乗りこなしている
俺だって、R1のスリップオンの値段を聞いて
アホか
と、逆ギレしたぐらいだ
ノーマルをブッた切った今のサイレンサーで、充分過ぎる満足を得ている
要は、アフターパーツの本当の必要性なんて
サーキットで0コンマ1秒を日常的に争いでもしないなら、大した問題じゃない
「自己満」
孔雀の羽みたいなもんだ
でも
だったら、美しい羽を作るべきだ
見た目的にも、今のアフターパーツのデザインは“古い”と思う
車体やカウルの形は日進月歩だ
なのに、どう見ても 今までの流れの先に乗っかって「こんなもんだろう」的な進化の愚鈍が平然と行われている
シルエットが革新的なラインの変化が行われているのに
より格好良く見せる為のアフターパーツが、昔と同じ事を続けてどうすんのか と
とりあえず、内輪ネタでしか無い、信じられないぐらいに国内メーカーのダサい名前やブランドのロゴ
80年代の、袖口が油で真っ黒に汚れたマニアが主流の
歪んだ路線の延長デザイン
ネームバリューと、昔の客がそのまま歳くって 小金を散財してくれる事に乗っかったまま
それで良いと思ったら、大間違いだ
「え? 進化してませんか? 最近のパーツ」
してません
デザインの進化ってのは、他の分野では もっと過激です
海外のインチキ臭い、毎日ドラッグキメてそうなインディーズブランドの方が
よっぽど前衛的で、キレキレの発想力を持ったパーツを作っています
純正の延長で終わってるような、ゴミしか造られないから
俺みたいに知恵つけた客が
「はあ? ただのスリップオンで20万? だったら、自分で好きなようにちょん切って済ますわ」
って、なるのだ
要は
金を引き出す考え方そのものが、古い
「新しいモデルが出たから
いつものパーツをいつものように作って出しとこう」
そういう風にしか見えない
作る側も、一生懸命考えて開発して生産してるのかも知れない
数年でモデルチェンジしてしまう、寿命の短いパーツ作りの“縛り”もあるだろう
商売として、昔の客がそのまま顧客であり続け
新しい世代よりも、安定した売り上げを見込めるのかも知れない
だが
俺個人としては、誰が何と言おうが
格好良く無いのだ
バイク装備として合わせるのは、アウトドアの物ばかりになっている
何でかって、格好イイからだ
性能とデザインをきちんと両立させた上で、より改良・進化させている
金を出すとか出さないとか、そんな低い次元の話じゃなく
店に行って眺めてるだけでも楽しくて
気に入った物があれば、「うわぁ。コレやべぇ」と、財布の紐も緩むっちゅー話だ
マーケットの規模や、開発の予算もあるのかも知れないが
残念ながら、俺は某・黒い友人達から 様々な“業界の怠慢”を聞いているので
余計に唾を吐きかけたくなる
全業者とは言わない
だが、馬鹿が買うから 情熱レスなメーカーが調子に乗って胡座をかく
元は同じでしかない物を使い回す(この辺、適当にスルーで)
そういうもんが、いっぱいならんでんだよ
(某バイクパーツの店)や(某バイクのアフターパーツのチェーン店)の陳列棚みてるとよ
話を戻そう
バックステップ
はい、タイヤ端まで使っても擦りません
加速で踏ん張るったって、本当の必要性で言うなら たかが知れてます
踵を当てたいプレートの
見た目にも怪しい・ノーマル比マイナス50%っぽい強度の無さげな感じ
無駄にフレームの外を通り、一撃必折れっぽい コネクティングロッド(だったか?名前)
長い距離乗るなら、4センチも上に来られたら日にゃあ 疲れるだけです
加えて、大して格好良くも無い 10年近く“どっかで見たような”デザイン
お値段が、相場で6万前後
1回コケたら、全てパー
要りません(キッパリ)
タカギさん「ええっ!? マジっすか? バックステップっすよ?この値段ですよ!?」
そんなん買うぐらいなら
格好良いブーツ買います
微かな雨音で目が覚めた
階下に降りると窓の外は冷たそうなグレーの空が広がり、隣りの茶色い屋根がしっとりと光沢を帯びている
気温は1℃か2℃ってところだろう
いぶ姐が読んでいた本から顔を上げる
「おはよ。コーヒー飲む?」
「うん」
今日帰る予定だった
夕方から用事があるのだ
とりあえず と外に出て煙草を吸う
軒先に停めたR1がしっぽりと濡れ、黙ってこっちを見ている
「・・・どうすっかな」
妙な雨だった
天気予報を見ても、全国的には晴れで 西側もせいぜい曇り
冷えた体で上がると、ダイニングでコーヒーカップが湯気をあげていた
「帰れる?」
「どうかな」
それ以上何も聞かないのが、この姉御のイイとこだ
今日帰れるか分からないと連絡を入れ、じゃれつく猫達をあやしながら テレビをぼんやり眺める
(別に、今日帰らなくてもイイんだよな)
静かだった
時間が止まっているみたいだ
「お」
雨音が止んだ
外を見ると、微かな小雨になっている
「・・・いぶ姐」
「ん?」
「弁当作ってくれない?」
「おう」
立ち上がり、来た時の防寒装備を身に付け始める
台所に向かういぶ姐の背中が、何処ぞの海賊団のコックのように頼もしい
これ以上居たら、根が生えてしまいそうだった
それぐらい、温かく迎えてくれた
だから、帰らなくちゃならない
俺は東京の人間なのだ
昨日、ポンと叩かれた背中に まだ何かが残っていた
充分だ
R1を出して弁当と荷物を縛る
メットを被る頃には、また降り出してしまった
だが、帰る
そう決めたら、俺は止めない性格だ
横で若様がR1を見ている
「なぁ」
「何?」
「将来、お前がやりたい事を見付けるとするだろ? その時の為に勉強をしとけ」
「うん」
何でそんな事を言ったのか分からない
自然に口をついて出ていた
頭をグリグリ撫でると、くすぐったそうに笑う
「じゃあ、行くわ」
「気をつけてな」
「いろいろありがとう」
散歩で見慣れた街並みを抜け、幹線道路の先にインターが見えてきた
「あれ?」
高速に乗って5分もしないウチに雨がやんでいた
程なく雲が切れ、抜けるような青い空が広がる
「・・・まさかな」
俺はメットの中で笑うと
地平線の向こうまで伸びるアスファルトを見据えて アクセルを開けた
(了
「・・・おいおい」
海老名で最後の一息を入れた
コーヒーを買い、弁当を開けてみた
うまそうな出汁巻きと、チキ南の残り
おにぎりが12個も入っているのに
俺は苦笑した
元旦の京都駅は閑散としていた
風も無く穏やかな日溜まりの中を、のんびりと歩く
天津神社で不思議な御神籤を引き
ハンパ無くシンプルに痛い所を突かれ
北野天満宮を詣で
本場の天下一品を食べた
正月の京都は気持ちが良かった
澄んだ空と空気に、凛とした寒さと 風景が溶け合い
せかせかした東京よりも、何か懐かしい時間が流れている
つまらない事だが、R1で(=自分で)来たってのも 距離を実感させるので、余計かも知れない
「お茶出来る所が無いな」
別に構わなかった
3人でのんびり歩いている事が、贅沢な時間にすら思える
俺「コレは?」
「本願寺。娘がココで歌ったよ」
“一応”と携帯を取り出し
あんまり良いアングルが無くてウロウロする
その内、門に近づいて レリーフや閂の金具を夢中で撮っていた
別に、どうしても撮りたいって訳でも無いのだが
ある意味“趣味”である
2人が待ってるであろう事に気がついて振り返ると
並んで笑っていた
「甘いもん買って、ウチでお茶にしよっか」
家族だなコリャ
帰りの電車の中で思った
正直、俺はこの3日間
何の遠慮もしていない
そして、この一家が“させない”
それが故に、大した事はしていない
よく食べ
たくさん呑み
いっぱい笑って
存分に寝た
まるで
揺りかごの中に居るような年末年始だった
帰ってお茶をし
腹ごなしに、若様と“楽”“麦”の散歩へ
たわいもない 純粋な好奇心が、 マシンガンのように質問や疑問を浴びせかけてくる
1つ1つに、真面目に答えながら
滋賀の夕闇を歩く
ん?
メールだ
“帰って来ーいw”
「行けね よっしゃ帰るぞ」
家の方角に向かって、若様が走り出した
散歩に出てから
1時間も経っていた
(続
久しく忘れていた
「ただバイクに乗っている人と“バイク乗り”は違います
そして、バイク乗りが見たら一発で分かる“背中”ってのがあるんです」
そんな話をたまたまして
ある人の背中を思い出していた
何乗っても、格好良かった
それは、どれだけの年輪を刻めば滲み出るのか 見当もつかない
見た瞬間に「ゾクリ」と来るあの感じは
何百人という背中を見て来た今でも、数人しか
そしてそれは
「速い」とか「上手い」とか、そういう次元じゃないのだ
どう表現して良いのか自分でも分からない
姿勢
決してハンドルに体重をかけない腕の開きと角度
前傾し、キッチリと背筋で支えられた背中
少し俯いたフルフェイスの中から、彼方を見据える目
物理的には、そんな感じかも知れないが
それだけでは無い
たかがバイク
だが、きちんと走った距離は
その背中に出る
そこが「ただ、乗っている」のと違うのだ
楽しんでいるか
挑んでいるか
目指しているか
焦っているか
考えているか
そこは様々だが
バイク以外でも良いか
そうでないか
「コイツは違う」
何度も感じた
10人中9人が降りた
少なくとも
バイクが好きか
バイクに乗っている事に依存してるだけか
1つの基準でしか無い
違わなくても
仕方なく降りた奴や、降りても ずっと乗りたいと思い続けてる奴だっている
でも
ちゃんと乗り続けている人の中でも、そういう背中には なかなか出会えない
そして、自分の背中は
一生見れない
随分遠くまで来た
今の俺の背中は、どうなのだろう
「パツキンさんは、もうパツキンじゃないんですね」
女の子が3年見ないと、こうも変わるもんだろうか
俺の坊主頭をシゲシゲと見る顔は、微妙に“女”の雰囲気を纏い始めていた
若様は遊ぼう遊ぼうとまとわりついて来る
LEGOブロックを使って、建築のなんたるかをみっちり叩き込んで行く
驚いたのは
すぐに吸収して、自分の物にして行くスピードだ
ちょっと目を離したスキに、エラくちゃんとした塔を作ってしまった
「お前・・・コレ作ったのか?」
「うん!」
4つのアウトリガのような脚で、下が浮かしてあったり
きちんと壊れにくいブロックの組み合わせにしてたり
男の子に教えるという事が、面白いと思ったのは初めてだ
コイツは、年の割には甘ったれな所があるが
光る物も持っている
なかなか将来が楽しみだ
そして
「ただいま~」
「久しぶりです」
って
誰ですかアナタ
もはや、熊でもなんでも無かった
異常にカッコイイ“オッサン”とでも言えばいいのか
雰囲気自体はそのままだが
体積が半分ぐらいになっているような
ダイエット話はあんまり興味無かったのだが、コレは凄い
意志の力の大きさ以外の何物でもない
そして、おそらくカミさんの食事管理が良い事になる
まあ、そこは不思議は無いのだが
“食”に関して、俺の知る限り いぶ姐ほど“美味しい物を作る事”と“食べさす事”が好きな人間は居ない
それはもう、料理が上手いとか イイ奥さんとか そういう次元じゃないのだ
でもね
デカい手と、ガッシリと握手をし
もはや、言葉は要らない
この日ばかりは
美味い料理に、美味い酒
宴は、遅くまで続いた
(続
「入って!早く」と若様に急かされ、玄関を入ると
初対面の3匹が俺をジッと見ていた
「おす(笑)」
感慨深い思いで、たたきの横の出窓を見る
美しい銀色の毛並みが、そこを指定席にして 眩しそうに外を見ていた映像が頭をよぎる
異常になついてくれた
椅子に座る俺の膝に、綺麗なジャンプで着地し
まんまるの綿毛みたいに丸くなって、俺の体と腕の間に顔をグリグリと突っ込んで、気持ち良さそうに寝ていた
お前らもかい
つくね家の動物は異常である
なんで打率100%で、こうもアグレッシブに好かれるのか
ただ、1つ言える事は
非常に静かで行儀も良く
皆、とても澄んだ優しい目をしているのだ
先に書くと
俺はこの日の夜
コタツの前で、犬猫塗れ状態の
手塚治虫の“ブッダ”みたいになっていた
(続














