すかいうぉーかー -25ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND























さて

俺的な4耐は、メインが大体こんな感じたったが


実際には、他の皆にもそれぞれドラマがあった





ニンジャもWRも本当に『2分が切れるかどうか』が、クッキリとした課題で

最後まで誰一人切る事は出来なかった





アラブさんは最後の最後まで頑張ったみたいだが
一周だけ「これは行っただろ」って時で“2分01秒”



ターミは、元々そんなに速くはないのだが
俺が予想してた以上に楽しんでいたみたいで

この日も、次の日も、何気に裏方で便りになる動きをしてくれてたのが印象的だった



俺なんかは、そういう仕事を殆どしないポジションなので(サボってる訳じゃないよ)
耐久レースでは、重要な人材


メカに関しても、ノムさん・タニさんは
こんなレベルのチームには勿体無いぐらいのスキル


多分だが、何よりも楽しくやりたいっていう 俺らの考え方に共感してるんだと思う









ニンジャ組は、修験者のように黙々と走るノムさん

そして、モトさんとオカくんの激しい鍔迫り合い



モトさんがタイムを更新すれば、オカくんが燃えて それを抜く

の、繰り返しで




見てて面白いし
何よりも、この2人は 春の桶川から本当に速くなった



小さいコースから始めていったのが、かなり良いステップアップになったのだと思うが

俺がこの2人に協力的なのは
バイクで走る事・速くなる事が、本当に好きなのが分かるからだ



やるなら、助ける

半端なら関わらない



俺は、俺が貰った物を その価値に見合う場所に





最後に、モトさんがギリギリでタイムを更新し
子供のようにはしゃいでいる姿は、本当に良い光景だった











んで、ウチの愚連隊


ウッちゃんが、速いのは元からとして
それでも50秒は切れず

グローブの指の先の“余った”ところでブレーキレバーを握ってしまい
SP-outで転倒


俺は、自分でデザインしたカウルで走る事は無かった(笑)



















カトーは、実はかなりの負けず嫌いで

ちょうどどっこいの俺をかなり意識していて



初めに出していた56秒に、俺がアラブさんを抜いた時に追い付かれてしまい

2ストの経験者として、かなりムキになって
俺が最後に走る時には、タイヤがズルズルになっていて
殆どまともに走れなくなっていた




俺は、それでも 集中した




完走に







実は、まだ一度も経験してない



初めて菅生を走った時は
例のマジギレ事件で、殆どの話題をかっさらいはしたが

その後完走出来たのは、Kとウージーのおかげみたいなもので



フィニッシュライダーとしても
去年 雨でコケてリタイアだったので、まだ一度も無く



俺はもう、タイムもクソもなく
兎に角チェッカーを受ける事だけに集中した


それでも、チンタラ走るつもりも無いので
仕事でガタガタの体には、かなりキツかったが











(サインボードが出てない?)







来るか











一周




10%を駆け上がり


陽射しと疲労でショボつく視界の先に










白黒の小さな小さな旗が
力いっぱい振られて



サインボードの所で、みんなが手を












スクリーンの後ろに伏せたまま、ぶつかるまで捻ったアクセルを弛める事無く











ゴールラインを通過した瞬間に
頭の中にファンファーレが鳴り響く













(!?







・・・ああ)








各ポストに居たオフィシャルが、脇まで出て来て
様々な旗を回すように振りながら

あるいは、大きく手を振って「お疲れ様でした!」と












これが、耐久のゴール


完走













おっと





俺は、ふと流れそうになった涙を堪らえ


様々な記憶から来る想いを



















一旦

胸の奥に、しまいこんだ




(続








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特別過ぎた




この人は







自分が、バイクに乗る

いや、バイク乗りになる時




キッカケで

原点で


速さだけが全てだった自分にとって
尊敬と憧れを抱くのに充分な、センスと実力を兼ね備え



飄々として、虚勢もはらず

ただ、バイクか好きで 走るのが好きで 速いのが好きで




年上だけど バイト先の社長だけど

同じ目線で喋らせてくれて








そしていつも

いつでも 少しだけ俺の前を













単純にTZRとWRの性能を比べてしまえば

ココではTZRの方が有利だろう




そんな事は分ってはいたが

今は関係無かった









(抜く 絶対に抜く



今の俺の全部をぶつけて、この人に勝ちたい)





純粋で真摯な、心からの渇望


早鐘のように、心臓が鳴る






馬の背からSP-inで、左膝が初めて路面を舐めた

完璧な感触
今、俺の走りには 何の不安要素も無い



準備は整った
絶対にコケずに、俺はこの人を抜ける


性能差があるなら、それをキチンと発揮できる







綺麗に張ったGが、右手のひと捻りでTZRを押し出す


しなやかな鋼のように、ラインが強さと粘りを持って SP-outを撃ち抜き


13000rpm、レブリミットに達した音を全身で感じながら
アクセルを戻す事無く、逆シフトのギアを蹴り落としてシケインに特攻する






マシンガンのように3段のシフトダウン

地を蹴る切り返しから、早めのアクセルオープン



確かな手応えと共に

黒い影が、どんどん手元に近付く










バイクに乗り続ける


それは、もう 1つの人生だ





別に、この人に勝つ為に乗って来た訳じゃない


勝ち負けで序列を決めたい訳でも、えばりたい訳でもない



でも、それは
俺のちっぽな宇宙の中では

かけがえの無い とても大切な事でもあるんだ















俺は、好きじゃないバイク乗りの事なんか
気にも止めない















3コーナーから4コーナー

タイヤがぶつかる程の射程まで


S字の切り返しで、通常とラインを変え
弓を引き絞るようにエンジン回転を溜め



更に、立ち上がりで無理をせず
お互いがリスクを背負わない、完全な王手をかける














慌てさせない



無理をさせない



一撃で諦めさせる





























完璧なパッシング









俺は、バックストレートまでにアラブさんを引き離し



全身の力を左手に集めて、小さくガッツポーズをした







(続




















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使う回転を徐々に上げる






タコメーターを見てる暇なんか無いが
耳と皮膚で感じながら、必要に応じてギアを下げ




「ココでこれだけ欲しい」ってのを、少しずつ欲張って行く






時折歯車が「カチリ」と噛み合い

突っ込みから倒し込みから エンジンの“準備”までが綺麗に繋がると
自分の中の基準に足す





10周近く走り
俺を抜いた何台もの背中を瞬きの一瞬ずつ 脳裏に焼き付け


『アソコまでは出来る』と、シナプスに染み込ませる







多分だが、TZRで走るべきラインが分かり始め

描く“弧”が、R1とは違う物に





景色に変化が出始めていた


    








数台抜いていた



前から来ると言うことは、追い付いたと言う事だ





見えた瞬間に、狩りのスイッチが入り

ブレーキでもコーナーリングでも立ち上がりでもイイからと、とにかく抜く





そうしている内に

何かが出来上がって行った












一番分かり易かったのは、進入速度だった


全開のR1で、200m看板から減速を始めるとすれば
TZRは、150を越えてアクセルを戻しても まだ余裕があった





大型に特化した 歪な俺の感覚からすれば

ソレは停まり過ぎる程に停まり 
無茶な程に曲がる





それに応じて、欲しい力が増え
走り始めとは比べものにならない程に、アクセルの開け始めが早くなって行く









シケインからの最終



後ろから自分よりも速いマシンが来ている事を知らせる『青旗』

幾度となく振られていたのが激減していた











楽しい








まだ

まだ、先に道が見える




やれることが、たくさんあるのだと










幾つものポイントで、走りが決まり出し










繋がり始める『周回』







更に減る『抜かれる』回数







増え始める_























(・・・え)


  














まさか








嘘だろ














黒い影



高い乗車姿勢










何よりも、よく知っている









一度として、勝った事のない背中
















追い付いたのか







全く見えないぐらい、離れた相手に































悪ぃ


アラブさん


























ブチ抜いて





やる













(続




 


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こっから、あんまし覚えてないんだよね














いや、違うの


ウチの会社、最近マジで忙しくてね




 
この日も、体中痛くて
すんげー気温低くて

眠いわダルいわヤル気無いわでね

  


ウッちゃんは50秒台前半

カトーが59秒ぐらい出したんだと思うんだよね

確か





他の皆は、まー綺麗に横並びで 
ギリギリ2分切れないぐらいを彷徨ってて







ターミ 「あ、パツさん。 そろそろ6耐のブリーフィングみたいっすよ」






 そー


じゃあ、俺が行くしか無いよなー





























着信









アラブさん「パツ、何処居んだよ。次、お前走る番だぞ」







俺「ブリーフィング終わんねーんだよ」











これ、ダブルエントリーしてる奴 みんな同じだと思うんだが
1時間もくっちゃべられちゃ、絶対に出番被るだろ






ピットに戻ると、ウッちゃんが俺の代わりに2回目を走っていた







さーて

用意すっかな












自分の番が流れて、何だか気が抜けた

妙にリラックスした状態でツナギに袖を通し





「PPP(次、ピット入れよサイン)出ました!!」











60km/h制限のピットロードをのんびりと走り
最後のとこで『顎紐確認』と書かれているのを見て、手で顎紐を触る


尻の下の車体は、軽過ぎてフラフラと何処までも頼り無く

1コーナーの内側に沿って
コース内を気が狂ったような音とスピードで走りぬけるバイク達を横目に








ガードレールが切れ





目の前が一気に開け














「行くか」








ギアを2つ蹴り落とす





跳ね上がるタコメーター


麗らかな陽光につつまれた景色が引き千切られたように霧散







マシンを挟む両足に力を入れ
緩やかな3コーナーをしっかりと蹴り、4コーナーに向って加速する



まだ硬い全身を意に介さずに、ゆっくりと寝かし

もどかしい程にゆっくりと回る景色を、ただ待つように
現れたS字を切り返す






使うギアもよく分からないまま
感覚のみで、レインボーに向かう



酷いライン取り
抜けたG







(いいんだ)

  







焦るな

俺は、コレでいい


 



2ストに乗った事が無くたって
根本的な手段と目的は同じだ







バックストレート


モタモタしてる横を、数台が抜き去って行く  





(そうだよな、もっと高い回転数と 早い開け始めが)








減速


200m看板から

確かめるように







(また抜かれた もっと奥だ もっと寝かせられる)








SP-in


背中に、数台の
甲高い排気音







(邪魔でゴメンよ  全然クリップ付けてない)












3周

4周





少しずつ

少しずつ








シフトダウンさぼるな



車体のホールドはこうか





すげぇ


でも、まだ寝かせられる













練習




コケない




ただ、じっと
ひたすらに










(!?)









珍しいアップハン
高いシート

知ってる背中







(クソっ、アラブさんかよ)






S字から、レインボーで
突っ込みの次元が違う


だが、性能もあって タイム的にはケツの方な筈だ


直線や高速コーナーなら



 


バックストレートで、性能で追い付こうと必死にハイポイントを




















(・・・マジかよ)












遥か彼方





小さな点になったWRは



































2台の間に横たわる圧倒的な差を

俺の網膜に焼き付けた






(続






 

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明日の予報を知っているだけに、釈然としない快晴だった







ツナギの裏に名前を書き忘れたとか

エントリー用紙に判子を押すのを忘れられたとか




いつもの如く、素人集団なりの小トラブルはあったものの

車検を無事に終え






モトさん、オカくん達の会社から
新たに4人の若手が手伝いで来てくれ



3チーム、8人ものライダーが出走する
1日目の4耐は、幕を開けた







モトさん達は勿論、俺やカトーやアラブさんも4耐は初参戦で


いつもなら、公式練習と予選で終わりの筈の土曜日が
そのまま、ガチの戦闘の緊張感に突入する




それでも、常に何かしら笑いの絶えないピット

今年はフトシぼさんが 初めて来た
去年に続いてリサキンもカメラマン










新人達に、給油のやり方やタイム計測を モトさんが教えるのを

俺は、あまり盛り上がらない気分で眺めていた










TZR250



全然乗れていない






2スト250ccは、きちんと乗るのが難しかった





1つとして似たようなコーナーの無い菅生で、常にパワーバンドをキープするのは ギアの選択からシビアであり


普段、1000ccの有り余るパワーに甘えている俺からすると


この 軽くて鋭いナイフのような38口径は
すぐにヘソを曲げる、気難しいジャジャ馬だった







曲がり過ぎるぐらいに曲がる 小柄な車体


派手さのない、それでいてクッキリと明暗の分かれる出力特性





前回の初練習と、朝イチの公式練習で分かっていた事は

コイツが、スピードを殺さない走り方をしなければならないって事で



少なくとも、2分は切りたい状況で

俺は1人だけ、2分10秒前後をフラフラ彷徨っていた









立て続けに行われた6耐の公式練習で乗ったR1

ドッシリと安定感のある体躯に、有り余るパワー




俺は、予選から47秒を叩き出して得意気なカトーを、0.1秒差ではあるが黙らせ
トップタイムを出せたのは、良かったが




4耐の決勝に関しては、俺は既に欲張らないつもりで諦観を決め込んでいたのだ













あーあー・・・




















ん?






あ、スタート前チェックか





モト・オカ・ノムさんチームのニンジャと、アラブ・ターミWR250Xは、2台並んでケツの方

俺らは、真ん中ぐらいの予選順位





今年は発電機を、グリッドに持ち込んで良いので
スタンドとタイヤウォーマーと一緒に持って行く


写真を撮ったりしながら、若い奴等が初めての耐久スタートに色めき立つ













3分前




スタートライダーと、マシンを支える第二ライダーを残し
全員がピットに戻る



































俺の憂鬱を他所に、4耐はスタートした




(続







 



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何って

今日はポッキーの日ですよ







  こういう事ですか


無理矢理ですね











んで




































今日から“2人”になりました



頑張って走ります


 



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今回





正直あんまり自分の中で盛り上がりに欠けているなと思っていた









なんだろうか


仕事や、バイク以外の事でアレコレ忙しいのもあるが




準備だなんだと、1年かけてやって来た事が
逆に『面倒くさい物』にしか思えなかったのもある








レースに出るため

皆と菅生に行くため

タイムや、順位や、自分の走りを
納得の行く物にするため







それは、確かにあった筈なのに



いつの間にか、目的と手段がごっちゃになってしまっていると言うか








なんで、バイクに乗る為に こんなに色々やらなきゃならないのか







結局、それであまりR1に乗れていない自分が居て





WR250Xも含め、楽しい筈の走りが

気が付けば 『速く走らなきゃ』 『菅生に繋げなきゃ』と、考えている事が

結局、純粋なJoyを濁らせているような








確かに俺は、速くなりたかった



実際 自分が納得するぐらいには速くなれた






でも

それは、何時までも何処まで行っても終わりの無い

最終的には、金が無いと前に出れない
時間が無いと先に行けない物であり



膨大な練習や、そこら辺で売ってるマシンとは別物を使える状況が

コンマ1秒を、クッキリと塗り変える




それに、他でもない自分自身がシラケているのが分かってしまったのだ








楽しむ事と

結果を求める事の





そこに折り合いがつかないタイプなんだと






コーナーに入った瞬間に “溜め”を作りたい

でも、それは タイムを出すには余計な時間で















「パツさん、日曜日の仙台 雨っぽいよ」



スマホを眺めていたヤマが、ポツリと言う











じゃあ、もう どうでもイイや



























帰りにナップスに寄った


もう、溜息混じりだった





土日の2日走る以上、もし初日から雨だと 装備も濡れてしまい 

革ツナギなんて、一晩じゃ乾かない






仕方なく

大きめのレインスーツと、ブーツカバーを























手に取った瞬間だった










だったら、それはそれで 出来んじゃねーの?














去年のリベンジ


















続きが







S字でハイサイドで飛んで


停まってしまった、俺の6耐
























長い





長い眠りから、覚めたようだった








店内の通路で、気が付けばニヤリと笑っていた





そうだよ

俺、嫌いなんだよ





アイツらも


あのやり方も



















だったら、全力でぶん殴ればイイんじゃん


















































行こうか





“殺し合い”に









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