すかいうぉーかー -20ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND








未開の地

鬱蒼と生い茂るシダ類に、くぐもった苦痛の叫びが響く




額に軽く浮かぶ汗

さっきまで、神速の動きで金獅子を追い込んでいた大剣使いが
ほんの一瞬の掛け違いから、たったの一撃でボロ雑巾のように宙を舞い

逃げる隙すら無く、キャンプ送りになった




これで俺達は、もう一度たりとも倒れられない状況に追い込まれたのだ






闘技場のクエストを、歴代1位のタイムで片付けた俺達は
更に一人のメンバーを入れ替え、金獅子2頭のギルドクエストに出発した



lvは98

もはや、ベテラン中のベテランが
アレコレ考えてもしょうがないからと、出たとこ勝負







俺は基本的に爆弾や罠は使わないのだが
他のハンターが睡眠弾等を使う事を考慮して、一応は持って行く

2度の眠爆と落とし穴に成功し

ラゼンを担いだ重ボウ使いが一度倒れただけで、1頭をしとめられたのは僥倖だったが


集中力が欠ける時間帯に2度目の悲劇は起こった











「気にすんな!」



叫びながら走る
閃光で、数10秒の目潰し

傷付いた奴等の回復時間をかせぎながら、フル回転でダオラ=レイドを振り抜く



どうする

もう、粉塵は無い



誰かがやられたら、クエストは失敗だ








どうもこうも無かった

息付く暇もなく、頭上から振り降ろされる
怒り狂った金獅子の鉄槌の如き豪腕

切れ味 “白”でも弾かれる、魔王の両腕をかいくぐりながら
ただひたすらに、他のハンターが喰らわない事を祈る










「!!」







エスカドラのハンマー使いが、数100キロの全体重の乗ったフルスイングを喰らった

数メートル後ろの崖に叩きつけられ、そのまま地面に昏倒する



金獅子がその距離を一瞬で詰め
荒縄のような紅い血管の浮いた右腕を振り上げた














「後は頼みます!!」









離脱!?


死を目前に、自らの報酬を省みずにクエストを放棄したのだ

これなら、クエスト条件のカウントには入らない




逃げたのとは、違う

託されたのが分かる






目標を失った金獅子が振り向く


口腔がバックリと開き
迸る闘気が、眩い輝きと共に集束される









「・・・くっ、 ゴメンなさい!!」





回復が間に合わない重ボウ使いが、同じように離脱した

掻き消えた空間を、黄金の奔流が空しく薙ぐ





ここまで、皆で頑張ったのに

クエストの為に














「・・・やってやるよ!」








俺は、跳躍すると
文字通り 襲いかかった



暴風のような金獅子の攻撃

終わる事の無い天災レベルの猛攻を、全てギリギリでかわし
細胞を凍らせながら断ち割る凍刃を、着実に叩き込む

引き裂かれた血管が一瞬のディレイの後に、常温で融解し 血飛沫を吹き上げる




逃げ場の無い壁際で、敢えてインファイトを挑むような形になっていた


全身が返り血に塗れ

四肢に乳酸が溜まって行き



一瞬の判断ミスで即 死に繋がる極限状態の中

徐々に自分の中で「暴力」と「殺意」の回転数が上がって行く



金獅子の動きが全て見えていた

高まり切った集中力が昇華し、回避性能のスキルが発動した俺には 金獅子の攻撃は掠りもしない

完全な「オーバークロック」状態だ




唸りを上げる大木のような腕を、流水のようにかわし

その移動を回転に換えて
練り上げた練気で赤く輝くダオラ・レイドが、黄金の野獣を血煙で染め上げて行く



後ろ脚
十字靭帯か何かに届いた「バツリ」とした感触

たまらずに、岩のような巨体が地面を転がる


だが、壁際にぶつかり それ以上逃げられない


目の前のガラ空きの脇腹に、血塗れの刃を叩き込む




捕獲なんて無いからな

完全に殺しに行く





ハンターの常識として、こんな危険な戦い方はあまりやらないとは思うが

この時ばかりは、ウロウロされるよりも都合が良いとすら思え
俺の口角がうっすらと上がる
















ファンファーレが鳴り響いた










「お疲れ様でした!」




1人残った大剣使いが、駆け寄って来た



















「お疲れ様でした ありがとう」








俺は、肩で息を切らせながら
真っ赤に染まった顔で笑った

















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吐きそうだった





常識ある人間の皮を被った爬虫類の宴だ





にこやかに交わされる会話の端々には、傲慢と自尊と無情が冷製スープのように糸を引いて滴り


決して、自分の何たるかを鏡で映してみたとしても 眉一つ動かしはしないだろう






諦めたとか

目を逸らすとか


そういう事ですら無い





自分は他人よりも優れていて

また

それは、鼻にかけるべきであり

口から止めどなく溢れる言葉は、威嚇と排他性でドロドロに濁って

欠片も笑っていない 瞳で弱者を舐る





出来ない者も
やれない者も
やらない者も 一括り







何故、そんな事を誇る


何故、事の優劣に拘る


何故、ソレを貶めている事が分からない






男は居たたまれなくなり


適当な言い訳を置いて、席を立つ

















少し気温が戻ったような気さえした





紙一重の阿片窟を振り向く事もなく

キーを挿して跨り



亡者の指を振り払うように
シフトを蹴り、アクセルを捻った









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記事面白かったです (内容一切触れず)




僕のブログも読みに来て下さい! (俺は、恥ずかしくて そんな事死んでも言えない)









読まなくてイイし、応援してもらわなくて結構だから



他人の家に土足で上がりこんで

腐った生ゴミ置いてくような真似すんじゃねぇ









目の前に居たら、面白い物見れるとこだぞ?


↑ 結構イライラしている









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「自分は大丈夫だから」


気丈にそう話していたが
当然のように、肉親でも長い付き合いがある訳でも無く


そこには、暖かくて儚い優しさと遠慮が
距離も質量も測り知れないほどに、無味無臭のまま横たわっていた








“何でもします”


それも言えない
嘘はつきたくないし、出来もしないのも分かっていたから


やれる事を







ただ
そのバイク乗りが、願ってやまなかった事


それだけは、分ったつもりだった
本当の本質を、正確に




人としては、もっといろんな事があって
それは俺には無理だったけど

バイク乗りとしてだけは、何を喜んで貰えるのか



周りの奴等の半分以上が、見当違いの押し売りでワイワイやってるのを見るのも歯痒かったし



その1つ1つにキチンと応対する姿も気の毒だったが
対岸の火事のように眺めながら、口を閉じるしか無かった









だから、知ったのも随分後になってからだし

哀しくも寂しくもあったけど、それは仕方のない事だと 大事に胸にしまった


爪の垢程度だとしても、自分だったら嬉しいから








人との関わりには
それぞれに適正な距離と角度があると思う




触れるどころか、見もしなかった物も沢山あるだろうけど






























もしも、いつか向こうで会う機会があれば





また笑って、一緒に走れると




その人の事を思い出す度に








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最後に寄った、まだ10時前のパーキングは

土曜でも 人もまばらだった




パンとコーヒーを買い、R1を停めた傍のベンチに腰掛けると

何やら、R1を熱心に眺め 手に持った一眼レフで撮っている人が居るのに気が付いた











(へぇ)





こういうのは初めてだった

何に惹かれているのだろう




バイクである事か
排気量
車種
メーカー

泊まりのツーリングに使われているから?

端まで減ったタイヤ?





まあ、俺のR1って

何故かは分からないけど



特に見た目はいじってないのに、ちょっと怖いしな









数人の連れが来て、一緒に眺め出した

カメラを持つ男は30歳前後だろうか
しきりに周りを見渡しているが、オーナーと話をしてみたいのか






一般的な、泊まりがけのロングに行くような格好をしていない俺は
彼に気付かれる事もなく、パンを食べ終わると 煙草に火を点けた


何か聞かれれば、普通に答えたと思うが
この状況で自分からわざわざ話し掛けるのもちょっとな


















大月を過ぎ、藤岡を左に入った辺りから
日常は彼方へと




降りたこともない上田

名前だけは聞いた事のあった菅平は、スキーの人口の減少に過疎化してるようにも見え




妙高の寒さは半端無かった

道の脇に積まれた除雪の山は、家屋の2階にも届きそうな高さで

排ガスに真っ黒に染め上げられながら、まだ遠い春を




新潟
生まれて初めての

看板が目に入った途端に気温が下がり
陰り始めた光の中で、雄々しくも厳然たる冷たさを持った1級レベルの河川が何本も
タイヤの下を通り過ぎて行く




ここに辿り着くまでに、一度もセブン-イレブンが絶えなかった事も、軽い驚きだった




直江津港
据えた油の匂いと、アスファルトや駐車場の表面に浮いた赤茶けた汚れは印象的だった









日本海の印象は、ただ寂しかった
気温や曇り空や演歌のせいもあるのだろうが、あまりにも“何も無い”のだ

ただただ
ひたすらに海が広がっている


上越から富山まで、わざと海沿いを走ったが
海は、何も変わる事無く

道の左には、ずっと線路が走り
その向こうは山だ

それが、延々続く








だから、信号が無い

要らないのだ
誰も、渡らないから




勿論、途中には漁港があったり
道の駅があったりはするし

少し入れば、きちんと街はあるのだが







高速に乗る


富山は一瞬で過ぎ
平野部が広がる

コンビナート 北アルプスからの綺麗な水に関した産業 田畑



俺みたいな、都会の物知らずが見ても分かり易い産業の形








金沢は美しかった

いきなり、何と言うかハイカラになる



普通の街並みも、いろんな細かい部分でのセンスが良くて
それが全体の雰囲気を見事な色にしていた


街中を流れるただの河が、何故こんなにも綺麗なのか

古い銀行の建物が威厳を持ち

金沢城の手前は、盛岡や仙台と雰囲気が似ていた




圧巻の兼六園



造った人間も凄いが、維持して来た人々も凄い

庭園だ
巨大で、途方もない手間をかけた


ただ、それだけなのに
素直に凄いと感じた








観光らしい観光はそれだけ
美味い物を食う訳でも、温泉に入るわけでも無い


ただひたすらに走って
でも、普段とは違い


殆どの時間は周りを眺め、見る物が無い時は飛ばし、好きな所で止まり、写真を撮った





それで充分で
それが、したかったのだと思う

独りで気の向くままに
明日の事や帰りの事も考えず








俺にとってのバイクってのは







妙高の辺りから降り出した雨
身体を伏せ、頭も両腕もコンパクトに縮め


日没と雨滴に、山間部固有の照明の無い最悪の視界

気温は、10℃も無い



じっと耐えながら、前を行く車のヘッドライトを足掛かりに
飛び石のように前へ前へと






長野から甲府昭和までの“遠さ”は

言葉に出来ないくらいで




せっかく買ったテントを使わず終いになってしまった事よりも
ホテルに備え付けてあった、コインランドリーの乾燥機に対する有り難さへの感動の方が大きかった



















「ありゃ」




メットを被り、グローブを付けながら

ふと見ると、後ろのタイヤが真ん中だけ真っ平らに擦り減り
スリップサインが出ていた




ブルっと来た

走った距離は1000kmを越え
あれだけのパワーをかけ続けたゴム


記憶には、様々な形で残った物達も
過ぎてしまえば何て事は無く

でも、この7年を過ぎようとしているバイクは
未だに車体のブレすら起こさずに、自分を一瞬で日本の反対側へと運んでくれる



一瞬だ

この話は、全ての道程を終えて 初めて成立する
だから、終わってみれば それは一瞬で







それが、こんな形で残るのだ




メットには大量の虫がこびり付き
グローブの縁はほつれ
身体は風雨と排ガスに汚れる
































日本は確かに島国で






























俺は確かに

“自分”でそこに行ったのだ






(了








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海鳥が鳴き始めた

止んだかな 雨















さて




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