BEAUTY AND THE BEAST #中編 | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND







「ゴウっ」






空気が鳴る


ギンギンに張った回転数
車体がたわみ、数100m先のコーナーが一瞬で眼前に迫る



「クンっ」と尻をアウトに振り
左コーナーに消えるCBR


目の端で追いながら
アウト側 中央車線の頂点にリヤを掠めてイン側のガードレールに跳び、広がった視界の遥か先に狙いを定め 一息に撃ち抜く


レーステックの強大なグリップに車重を乗せ
力を解放されたR1が喜びの声を上げる








(広い)




道幅がだ
決して、さっきまでより広がった訳じゃない


前に現れる車やバイクを次々にブチ抜き

たっぷりと時間をかけてアップされた感覚が、まだ行ける まだ行けるとマージンの存在をうったえる



さっきまでは彼が前走車を抜くと
一呼吸置いて俺が行っていた


今は同時だ

有り余る馬力で僅かな直線を猛然と加速し

車を抜いてラインに戻った時には
既に減速とバンクを同時にやっている



リズムを刻む
極上の



体が溶け バイクと混ざる
集中が更に研ぎ澄まされて、視界の全てをいっぺんに知覚し、曲がるという事を体が自然にやる






まだだ

まだ全然行ける





これだけの速度を出して、この余裕


別にまだペースそのものは上げる事は出来る

だが、こんなにも「ラインを選ぶ幅」があったなんて




そうだ

俺は事故る前は、こんぐらいは普通にやっていた
でも、彼と走るだけで こんなにもあっさりと




何かが剥がれ落ちて行く

胸の奥が開いて、歓喜がとめどなく溢れ
針のような風を背中に纏って、シフトを2つ蹴り落とし コーナーに進入する




もっとだ


アクセルを


R1は揺らがない
きちんとした俺の入力に、持てる性能の全てを持って応える







ドウ 描コウカ?






絵筆でなぞるように

好きなラインで

大好きな立ち上がり角度で



次々に後ろへ吹き飛んで行く木々が

目の下を流れる、アスファルトの奔流が







俺は 何のリスクも背負っていなかった



















「ありゃ・・・」






小僧区間に入り、狭く小さなカーブの連続
駐車場から出て来た2台の車が間に入り、CBRとの間がみるみる開いてしまった







まあ











「今日はこんなもんでいっか」




ゴールまであと僅かなのもあり

俺は上体を起こすと、スクリーンを上げ



上着の前を少し開いて、息をついた



(続