自動運転LEVEL2+ (レベル2プラス) | 夢老い人の呟き

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日本ではほとんど知られていない「自動運転レベル2+」

 

自動運転のレベルというと誰しもこの表のようなレベル分けを考えるでしょう。

レベル2まではドライバーによる監視、レベル3以上はシステムによる監視となっています。

しかしこの考え方はもう古いと言えます。

 

レベル3以上については法制度と技術的に次のような問題があります。

  • システムが運転しているときの交通事故に対する責任の所在ははっきりしていない。
  • ジュネーブ条約などで「クルマには運転者が必要」とあるため、ドライバーが監視しないシステム単独での運転は、まだ認められていない。
  • 問題が発生したときのドライバーへの運転タスクのスムーズな移管も難しい。

そうした法制度と技術のハードルがレベル3以上を実現困難なものとしています。

 

その結果、自動運転レベル3として販売される車両は殆ど無く、また自動運転レベル3として販売された車両は、レベル3として走行できるのは中央分離帯のある高速道路渋滞時程度(低速走行時)しかなく、魅力が乏しい上に車両価格が数百万円(ホンダレジェンドは約400万円高)も上がり、商品性がありません。

 

 

 

自動運転レベル2+(プラス)

 

一方アメリカのテスラや中国のファーウェイ小鵬(Xpeng)理想(リ・オート)などが行っているのが自動運転レベル2+(プラス)という考え方です。

 

「レベル2+」についてはそれほど新しい考え方ではなく、2019年1月初旬にラスベガスで開催された「CES 2019」で、現在株価の時価総額世界1位となったAI時代の寵児、NVIDIAが発表したものです。

  • NVIDIAは「CES 2019」でレベル2+(プラス)の自動運転システムである「NVIDIA DRIVE AutoPilot」を披露し、大手サプライヤーであるコンチネンタルとZFがこれを採用しました。

 

名前から想像されるのはレベル2以上レベル3未満のイメージですがその通りで、あくまでも運転の責任はドライバーで、走行はドライバーの監視が必要です。

しかし自動運転のシステムは、あまりドライバーが介入すること無く自動運転できる能力を持ち、最新のものではドライバーを監視するカメラが有効であればHands Freeの走行が出来るものもあります。

 

またウェイモやバイドゥをはじめとする従来型の自動運転は高精細3Dマップが必須ですが、「レベル2+」の自動運転は高精度3Dマップを必要とせず、普通のマップとニューラルリンクのAIでカバーしますので市販車に適します。

 

L2+はドライバーの監視のもとに自動運転で走行することによって、ソフトの不具合を見つけ、AIが学習することにより自動運転の制度を高め、アップデートしてゆきます

テスラの場合はFSDにドライバーが介入した場合、その状況をOTA(無線送信)でデータセンターに送信します。

これにより200万台と言われる市販車からのデータが得られ、テストコース内の走行やロボタクシーによる走行とは比較にならないAIの学習データが得られ、AIの学習とアップデートが迅速に行われるということです。

 

また経営面では市販車にFSDという付加価値を持たせることができます。

テスラ車はFSDのソフトウェアを8000ドルで購入、または月々99ドルのサブスクリプションで使用できますが、これからFSDによる収入が増えてゆくでしょう。

 

 

それでは米中のL2+の実力を動画で見てゆきます。

 

 

1・Tesla FSD

 

下はテスラのFSD(Full Self Driving)による走行動画です。

先日FSD12.4.1を紹介しましたが、FSD12.4.1からはドライバーを監視するカメラが付いている車両では完全手放し走行が可能です。

 

FSD12.4.1はテスラ社職員向けのリリースでしたが、5日くらい前にFSD12.4.2となり、一般のユーザーにリリースされました

 

自動運転に一番厳しいのはイレギュラーな状況が多いダウンタウンなどの混雑した市街地だと思いますので、この動画は比較的イージーな状況だと思います。

センターディスプレィ左上のスピード表示はマイル/時(㎞/時の1.6倍)なので、所によっては制限速度を超えているのではないか?という気もしますが?

 

下の動画は映像を早送りしているの実際の速度はセンターディスプレィ左上の数字を参照してください。一般道の制限速度は35マイル/時くらいだと思います。

 

 

追記

数時間前に何と早くもFSD12.4.3がリリースされました。

この動画はタイトルが”Back To Back Zero Interventions On Crazy Hill Test!となっており、ユーザーがこういうテストをしてくれるのもL2+の強みです。

 

 

テスラFSDは現在最も先行しており、中国社のベンチマークとなっています。

ドライバーが危険や不具合を感じて、ハンドルを切ったりブレーキを踏んだりすればFSDは切られ手動運転にオーバーライドされますが、事故の割合は人間の運転よりもずっと少なくなっています。

 

最近の動画では殆どドライバーの介入を必要とせずに走行しています。とはいえ一般道では様々なイレギュラーな状況が発生しますので、100%ドライバーの介入を必要としなくなるのはまだまだ先ではないかと思います。

 

 

2・ファーウェイの自動運転

 

こちらはファーウェイの自動運転L2+です。

ファーウェイのAITO M9も人気のEVですが、生産台数が増えるに従いAIのアップデートも進むと思います。

トヨタやホンダもファーウェイに近よるようで、トヨタはPony AI、Momenta, ファーウェイの3社と組むようです。

 

 

 

この動画もやはり手放し走行ですが、ドライバーが頻繁にクラクションを鳴らすのが気になります。

これもお国柄でブラインドコーナーでも威勢よく走るドライバーが多く、AIがそれを学んだのでしょうか?

AIの学習には注意が必要かもしれませんね。

 

 

3・Xpengの自動運転

 

Xpeng のXNGPは最新の動画が見つからず6カ月の物ですが、この時点ではまだ完成度は低いように見えます。しかし最近は各社ともアップデートが早まっているようなので、現在は大分テスラに近づいたかもしれません。

 

 

 

4・理想(リ・オート)については参考になりそうな動画がありませんでしたので省略します。

 

 

中国社の自動運転は現在はまだテスラほど完成度が高くはありませんが、「L2+」の能力を持った市販車が増えるに従い、AIの学習データが増え、アップデートが加速してゆきそうです。

 

最近、中国当局からテスラのFSDが暫定承認されましたが、現在世界で一番ロボタクシーを走らせているバイドゥもテスラと提携します。

ファーウェイなどの「L2+」に対して強い警戒感を持っているのではないでしょうか?

 

 

高度なシステムの従来型自動運転と、ソフトウェア重視で市販車向けのL2+

 

バイドゥやウェイモのロボタクシーのように、カメラや高価なライダーをたくさん付け、さらにレーダーもと高性能なセンサーをふんだんに使用するシステムは、市販車に採用するにはコストがかかりすぎますし、それを処理するコンピューターもより高い能力が求められ、市販車には向かない気がします。

 

またコストがかかり、頻繁にアップデートしなければならない高精細3Dマップを必要とするのも、市販車向けには適さないように思います。

一方市販車のL2+はどんどん進化しています。

 

 

最近、米中の自動運転は進化の速度が速まり、日本のマスコミで報じられるよりも、ずっと進歩しています。

そしてアメリカや中国ではこれから、ドライバーの監視のもとにハンズフリーの自動運転で走る「L2+」の能力の市販車が増えると思います。

 

米中とは交通環境が異なり、テスラも中国車も販売台数が少ない日本では、北米や中国のようなAI開発は難しいと思いますが、米中の市場では厳しいAI競争になり、日本社には厳しい状況となるかもしれません。