昨日のブログの動画で完全自動運転がそう遠からず実現する可能性がありそうなことは、ご理解いただけたかとかと思います。
運転操作だけなら人間よりも上手いのではないか?と思えるほどに仕上がっていますが、まだまだ課題も残っており、例えば狭い道で対向車とすれ違えない場合にバックするような機能はもう少し先のようですし、人間が判断に迷うような状況はAIも苦手で、何らかの形でドライバーが介入しなければならないケースも残るのではないかと思います。
これを見るとレベル3はレベル2よりも技術が上で、レベル4はさらに上のように思えますが、それでは実際のところはどうなのか?
■自動運転レベル4
まずレベル4については現在実験中の車両は、非常に限られた条件下での低速自動運転で走行できる条件は限られ、バスの代わりにバス路線を運航するには能力不足ではないかと思います。
■自動運転レベル3
次にレベル3ですが、実は世界で最初にレベル3の車両を発表したのはアウディです。
しかし、なぜかいつの間にか消え、現在はホンダレジェンドが世界発の自動運転レベル3の市販車となっています。
しかし価格1100万円の本田レジェンドですがレベル3となる条件は、高速道路で、降雪や豪雨、濃霧、逆光などがなく車両や走行車線を認識できる状態であること。また、自車周辺に低速の車両が並走している渋滞状態である必要もあり、車速が30km/h以下で作動を始め、50km/h以上になると終了という条件。
早い話が高速道路の渋滞時しかレベル3とならず、2年前に販売終了しています。
そして現在、世界で唯一の自動運転レベル3はメルセデス・ベンツだけですが、下表のようにレベル3となる条件はホンダレジェンドと似たりよったりです。
下表の左側がベンツですが、早い話し高速道路で40MPH(64㎞/h)以下で、しかも”MUST BE FOLLOWING OTHER VEHICLES”とあるように、渋滞で前走車がある時しか使えません。
ベンツの自動運転レベル3はMERCEDES DRIVE PILOTと言いますが、上記の条件以外ではレベル2のDRIVER ASSISTとなります。
次の動画はMercedes Driver AssistとテスラFSDを同じ道で比較した動画ですが、画面下左側がベンツ、右側がテスラです。
果たしてドライバーの介入(修正)無しで走りきることができるかご覧ください。
ベンツが44回ドライバーが介入しなければならなかったのに対し、テスラはドライバーの介入が全く無しで走り切りました。
ではなぜテスラこんなにすごいのか?
それは現在市販されているテスラ車は初めから自動運転を前提に作られており、膨大な量の走行でAI学習をさせてきたからです。
テスラ車のECUは走行中常にバックグランドで自動運転の計算をしており、ドライバーの運転とAIの計算を比較しています。
そしてドライバーの了承があれば、AIの計算とドライバーの操作が異なる時はそのデータをテスラ社に送信し、自社のスーパーコンピューターで自動運転ソフトのAIトレーニングをし、膨大な量の走行データでAIを学習させてきたのです。
こんなアプローチをする会社も出来る会社もテスラだけで、スーパーコンピューターを保有しAIを事業化していない企業には真似できないと思います。
日本のマスコミがなぜテスラのECUについて触れないのか不思議ですが、テスラ車は2019年第3四半期以降、ECUを HW3.0にバージョンアップしています。
HW3.0では自動運転プラットフォームの雄であるNVIDIA社の DrivePX2(アップルのMacbook Pro 150台分の能力だとの事)の、21倍の能力のAIチップを自社開発し搭載されました。
※現在NVIDIAの株価はものすごく上昇し、時価総額は2.62兆ドルと日本の国家予算をはるかにしのぐほどになっています。
しかもこのECUと自動運転用のセンサー類は、現在生産されている全てのテスラ車に搭載されていますので、現在開発中の自動運転のソフトが完成すれば、ECUのOTA(Over The Air)アップデートで自動運転が可能となります。
※コンピューターの処理量が増えれば発熱量が増えますが、水冷機構が付いています。
出典:テスラの電子プラットフォーム、トヨタやVWより6年先に理想形
現在はECUはHW4.0に進化し、より高性能となっています。
老婆心から言わせてもらえば、海外の最先端技術を見ようともせず、日本凄いだの世界一の技術力だのと思い込んでいれば、世界に後れを取り差が開いてゆくのは当たり前。
日本はもっと海外に目を向け、日本よりも優れたものを探して吸収し、また教育支援と人材育成を行い、学術に力を入れて知的水準、技術水準を高めなければ生産性も競争力も勝てないと思います。