日本は空白の30年間、物価も賃金も上がらず実質賃金に至ってはむしろ低下しています。
一方、現在の円安の主因は日米の金利差(対アメリカだけでなく日本の一人負けです)ですが、アメリカが金利を下げられないのは物価上昇率が下がらないからで、今後も当分改善される見込みはありません。
つまり物価がどんどん上がる国の通貨は買われて高くなり、物価の上がらなかった日本の通貨は売られて安くなる不条理な世界。
例えば米カリフォルニア州のファーストフード店の最低時給は20ドル(米加州、ファストフード店の最低時給20ドルに オーナーは不安視より)現在の1ドル154,70円で換算すると3,090円ですが、なのにドルは上り円は下がる。
いったい通貨の価値って何でしょう?
実質為替レートは「自国の財・サービス価格」と「ある外国の財・サービス価格」に対する相対価格(割安・割高度)を示すもので、内外物価変動による「通貨の購買力」の変化を名目為替レートに加味したものです。
- 名目為替レートに両国の物価水準の比率を反映させることで、「自国の財・サービス価格がある外国の財・サービス価格に対する相対価格(割安・割高度)」が導き出されます。
- 実質為替レート=外貨建て名目為替レート×(日本の物価指数/他国の物価指数)
「通貨の実力」や「内外の物価格差を考慮した円の実質的な価値」などと言われるのが実効為替レートです。
- 実効為替レートはある通貨(円)と幅広い通貨の間の為替レートを総合的に反映したものです。
- 具体的には、日本とその他の全通貨との2通貨間為替レートと貿易取引量などでウェイト付けをして算出します。これによって日本円の対外的な競争力を確認することが可能になるのです。
- 実効為替レートのうち、物価上昇率を加味しないものを名目実効為替レート、物価上昇率を加味したものを実質実効為替レートといいます。
- 一般的には外貨建て名目為替レートをベースに、基準時点をートの推移です。
- 図の左端は1ドル360円時代ですが1972年に実質実効為替レートは急上昇しましたが、1973年2月に円は変動相場制に移行しました。
- 85年9月のプラザ合意以降、実質実効為替レートは急上昇し、1995年がピークとなります。
- 2008年にリーマンショックがありましたが、実質実効為替レートへの影響は小さかったようです。
- 2011年11月が史上最高の円高ですが、実質実効為替レートは80年代後半から2000年代前半よりも低いです。
- 2013年4月のアベノミクス開始とともに実質実効為替レートは暴落し、2014年11月には変動相場制に移行した1973年11月を下回りました。
- そしてグラフの右端2024年1月には1ドル360円時代を下回りました。
現在の円の実力は外国タバコやスコッチウイスキーがとても高価で高根の花だった、1ドル360円時代を思い出すと、とても悲しくなります。
出典:実効為替レートの推移
しかし円安を止めようにも口先介入などは効果無く、為替介入しても効果は一時しのぎ、アメリカは当分利下げしそうが無く、日銀は利上げすれば債務超過しそう出し、打つ手無しで耐え忍ぶしかないのでしょうか。
すると必ず湧いてくるのが円安は良い事だというひとたち。
円安になると株価が上がるので投資機関は喜びますし、海外に売りやすくなるので輸出企業は喜びます。またグローバル企業の外国子会社の配当益金や海外投資の利益など海外で上げる利益は円安は円換算で増えるのでグローバル企業は喜びます。
そしてマスメディアをスポンサードしているのは円安で喜ぶ経済界。
経済紙や経済誌、アナリストや経済評論の多くも経済界と利害が一致するのではあるまいか?
ですから円安は良い事だと刷り込まれますが、内需企業や国民にとっては輸入原材料とエネルギー高騰によるコストアップ苦しみ、総合的に考えればマイナスだでしょう。
また訪日客「旅費も食費もフィリピンより安い」と外国人観光客は増えますが、2023年の外国人の支出額は5兆2923億円と592億円のGDPの0.9%で、内需が細った事や輸入額が増えて貿易赤字になったことに比べれば微々たるものだ。