超電導電磁石を使用しないハイパーループ | 夢老い人の呟き

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ハイパーループとは

 

ハイパーループをご存じでしょうか?

2013年にイーロン・マスク氏がテスラとスペースXの共同チームによって構想した、磁気浮上式の真空チューブ式鉄道です。

 

マスク氏はサンフランシスコとロサンゼルスを結ぶカリフォルニア高速鉄道の計画(総工費約700億ドル)が、建設コストが高過ぎて遅過ぎるうえに実用的でないとの認識があり、その代案としてハイパーループを提案しました。

 

ハイパーループは積極的に「オープンソース化」され他の企業も参入しています。

またスペースXは、カリフォルニア州ホーソーンにある本社でポッドデザインコンペのために、全長約1マイル(1.6km)のテスト用チューブを建設し、学生のチームなどがコンテストに参加し技術の進歩に取り組んでいます。

 

 

世界に拡がりつつあるハイパーループ

 

時速1000㎞/hなどという夢物語のような速度から、実現可能か否か懐疑的になるかと思いますが、中東始め中国や欧州でも研究されています。

 

 

 

 

 

 

 

2018年にはHTT(ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズ社)が中国貴州省で超高速輸送システム「ハイパーループ」の試験路線を建設する契約を結び、中国も開発に取り組んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

またヨーロッパでは「ハイパーコネクテッド・ヨーロッパ」で欧州のハイパーループ・ネットワークのビジョンを共同で策定するようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

アムステルダムからベルリンまで55分!

 

 

 

 

ハイパーループの特徴は超電導磁石を必要としない浮上方式
 
ハイパーループは空気抵抗軽減のために減圧された、地上または高架に設置したチューブの中を走りますが、技術的な特徴は 受動的磁石浮上のインダクトラック( Inductrack) 方式 という浮上方式です。
 
 
比較のために超電導リニア新幹線と共に紹介します。
 
■リニア新幹線の浮上方式
 
超電導リニアが浮上する仕組みは次の動画に述べられていますが、車体に設置された電磁石と軌道に設置されたコイルからなります。
  • 車体の電磁石が軌道のコイルに対して、ある程度以上の相対速度で移動するとコイルに誘導電流が流れ、それによってコイルが励磁して車体の電磁石を吸引し、車体を浮上させます。
  • しかし車体を浮上させる電磁石には大電流を流さねばならず、走行中常に大電流を流したのでは電力損失が大きくなり過ぎます。
  • 超電導磁石では一度電流を流せば超電導磁石は励磁したままになり、電力損失を軽減できます。
 
 
ところが超電導を維持するためには常に絶対零度近くの超低温を維持しなければならず、冷却のために電力が必要です。
そのためか、リニア新幹線の電力消費は在来新幹線の少なくても3倍とのことです。

出典:消費電力のポイント

 

 

■ハイパーループの浮上方式はインダクトラック( Inductrack) 方式

 

インダクトラック( Inductrack) 方式浮の上の基本原理は、超電導リニアと同様、車体側の磁石が発生する磁界が車両の運動によって軌道側のコイルに誘導電流を発生させ、反発力が生じる電磁誘導浮上支持方式(EDS)です。

ですから超低温を維持するための電力は不要です。

 

しかし、従来EDSは超電導電磁石のような強力な磁界を発生させなければ実現できないと考えられていたが、インダクトラックは電磁石を使用しません

その代わりにインダクトラック( Inductrack)は車両側に進行方向と平行に”ハルバック配列”で並べた強力な永久磁石ネオジムボロン系合金)の列を設置します。

 

難しくてよく分かりませんが、図のHALBACH ARRAYハルバック配列された永久磁石で、ある程度以上の速度になると軌道のコイルに誘導電流で磁力を生じさせ、浮上します。

 

詳しくは説明動画をご覧ください

 

 

 
 
中国の上海リニアを見てもMaglev(磁気浮上鉄道)の運航コストは高く、430㎞/hの最高速と引き換えに二人で空港まで行くのに、タクシー代よりもリニアの運賃の方が高かったとか。
始めから赤字必須のプロジェクトだったようですが、コスト高の原因は何だったのでしょうか?
 
上海リニアについてはこちらの動画をご覧ください。
なおコロナ禍で乗客が減りコスト削減でしょうか、速度を落としているようです。
 
 
 
ハイパーループははたして現行の高速鉄道に太刀打ちできるのでしょうか。
その前にインダクトラック方式が実用化できるか否か?
技術的に関心をもって見続けると面白いと思います。