国連の議決機関は国連総会と見なされるが、安全保障理事会は国連総会と同等の権限を有し実質的には国連の最高議決機関といっても良いのではないでしょうか。
国連安全保障理事会は常任理事国5カ国(アメリカ・ロシア・中国・イギリス・フランス)と、日本を含む理事国10カ国から構成されているが、常任理事国は「一票否決権」を持っており、これまでガザの停戦決議についてはアメリカの反対により否決されてきました。
しかし昨日、ついにアメリカが歴史的(と勝手に思っています)な棄権をし、アメリカ以外の常任理事国4カ国と理事国10カ国の賛成で即時停戦決議が採択されました。
日本も賛成票を投じましたが、アメリカの立場の低下を伺わせるような気がします。
"The Security Council just approved a long-awaited resolution on Gaza, demanding an immediate ceasefire, and the immediate & unconditional release of all hostages.
— United Nations (@UN) March 25, 2024
This resolution must be implemented. Failure would be unforgivable."
-- @antonioguterreshttps://t.co/nOBuQOkxnj pic.twitter.com/68306FOR31
【26日】国連安保理 ラマダン中の停戦を決議もイスラエル反発 | NHK | イスラエル・パレスチナ
以下引用
ガザ地区の情勢をめぐり国連安全保障理事会では、イスラム教の断食月、ラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案の採決が行われ、15か国のうちアメリカは棄権しましたが、残る14か国が賛成して採択されました。
決議案は、ガザ地区の壊滅的な人道状況に深い懸念を示した上で、イスラム教の断食月、ラマダンの期間中の即時停戦と、すべての人質の無条件の即時解放、それにガザ地区で必要とされる人道支援の確保を求めています。
決議案は、日本を含む非常任理事国10か国が共同で提案し、25日、国連安保理の緊急会合で行われた採決の結果、15か国のうちアメリカは棄権しましたが、残る14か国が賛成して採択されました。
去年10月のイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突以降、ガザ情勢をめぐって、安保理で「停戦」という文言が含まれた決議が採択されたのは初めてで、採択が決まると議場から拍手がわきおこりました。
今月、議長を務める日本の山崎国連大使は決議の採択を歓迎し「停戦がこの地域の持続可能な平和と安定への道を開くと信じている」と述べました。
一方、棄権した理由についてアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、決議はハマスを非難していないとした上で「即時停戦は人質の解放をもって開始できる。したがって、われわれはハマスに圧力をかけなければならない」と述べ、アメリカも仲介にあたっている外交によって事態の打開を目指す姿勢を強調しました。イスラエル政府 改めて強硬な姿勢示す
国連安保理でラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案が採択されたことに対し、イスラエルのエルダン国連大使は「ハマスが外交ルートで人質の解放を拒否するかぎり、軍事作戦以外に人質を取り戻す方法はない」と述べて、安保理の対応に強く反発しました。
また、イスラエル首相府も声明を発表し「人質の解放を条件としない停戦を求める決議案に、アメリカが拒否権を行使しなかったことは遺憾だ」と反発し、アメリカの首都ワシントンを訪問する予定だった一部の閣僚について派遣を取りやめると発表しました。
アメリカでは、ネタニヤフ首相が計画を承認したガザ地区南部のラファでの地上作戦について協議される予定でした。アメリカ政府は150万人近くが身を寄せるラファでの作戦の実施に懸念を示していて、これに代わる計画を提示する考えを示していました。
ただ、イスラエル政府が改めて強硬な姿勢を示したことから、ラファでの作戦に代わる計画がまとまるのか不透明な情勢になっています。ガザ地区保健当局「107人が死亡し、死者は3万2333人に」
イスラエル軍は25日、過去24時間でガザ地区北部のシファ病院と南部のアマル病院で軍事作戦にあたったと発表しました。
一方、ガザ地区の保健当局は過去24時間で107人が死亡し、死者は3万2333人にのぼっていると発表しています。アメリカ大統領補佐官「当惑している」
アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は25日、記者会見でアメリカが国連安保理でラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案の採決で拒否権を行使せず、棄権したことについて「決議案は人質の解放と一時的な停戦を結びつけた点において、われわれが一貫して求めてきたものだ」と説明しました。その上で、イスラエルが一部の閣僚など高官の派遣を取りやめると発表したことについて「当惑している」と述べました。
ただ、イスラエルとは協議を続けていくとしています。
国連安保理、ガザ即時停戦決議案を採択 米は棄権 (msn.com)
以下引用
国連安全保障理事会は25日、イスラエルとイスラム組織ハマスとのパレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時停戦と人質全員の即時かつ無条件の解放を求める決議案を賛成多数で採択した。全15理事国のうち14カ国が賛成。米国は棄権した。
アルジェリアのアマール・ベンジャマ国連大使は投票後、安保理で「パレスチナの人々は非常に苦しんでいる。大虐殺があまりにも長く続いている。手遅れになる前にこの大虐殺に終止符を打つことがわれわれの義務だ」と語った。
イスラエル軍のラジオ放送は安保理の開始直前、米国が決議案に拒否権を発動しなければ、イスラエルのネタニヤフ首相は予定していたワシントンへの代表団派遣を取りやめるだろうと報じた。
米国のトーマス・グリーンフィールド国連大使は「停戦は最初の人質の解放と同時にすぐに始まる可能性があるため、われわれはハマスにそうするよう圧力をかけなければならない」と指摘。米国は決議案の全てに同意したわけではなく、ハマスを非難する内容が含まれていなかったため、投票を棄権したと述べた。
決議案はまた「ガザ地区全体への人道支援の流れを拡大し、市民の保護を強化する緊急の必要性を強調し、大規模な人道支援の提供に対するあらゆる障壁の撤廃を改めて要求する」とした。
これは喜ばしいことである一方、アメリカの国際社会に対する求心力は低下しており、世界はますます不安定になりそうな気がします。
そして米大統領選でトランプが勝利したら、アメリカは十分な軍事費を負担しないNATO加盟国は防衛しないと公言しており、西側諸国と中露とのバランスにも大きく影響する可能性があります。
もちろんそれは日米同盟にも言えるでしょうし、台湾有事の危険性も増えるのではないでしょうか。
また経済について見ると、日本の危機に気付かない日本人。
井の中の蛙で外のことは見ようともせず、中国韓国のネガ情報に大喜びし、ニッポンスゴイと胸を張る人達が知らぬ間に、すでに始まっている米中の経済戦争とその中で見捨てられかけている日本。
日本の自動車メーカーは2022年に約1700万台生産しているが、うち約350万台と二割を北米で生産しています。
その中には日産自動車などのEVも含まれますが、バイデン政権はリチウムイオン電池で圧倒的優位に立つ中国に対する「経済安保」を露骨に進めています。
例えば日産自動車はアメリカでEVを生産しているにも拘らず、同社EVにはエンビジョンAESC(日産自動車とNECが立ち上げた「AESC:オートモーティブ・エナジー・サプライ」を中国エンビジョン社が買収した)社製バッテリーを使用するため、EVの税額控除が受けられません。
参考までに、2022年の車載電池のシェアは韓国三社と、テスラの工場でテスラ用に生産しているPanasonicを除けば、ほとんどが中国社。
出典:Global EV battery market share in 2022: CATL 37%, BYD 13.6%
この状況はなんとかしなとなりませんから、アメリカは経済安全保障のために‟インフレ抑制法(IRA:Inflation Reduction Act)”でEVの税額控除に厳しい米国生産 の条件を付けました。
しかし日本メーカーは蚊帳の外で一社も控除を受けられません。
- 価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること
- 車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること
- 電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること
- 電池用部品の50%が北米で製造されていること
日本が円安に誘導しているのは、「中国に移っていた製造拠点を日本に呼び戻すための政策であり、アメリカもそれを望んでいる」という陰謀論的な見方もあるようですが、各国ともに経済安全保障に走り、輸出企業については「地産地消」が進む時代となりそうな気がします。
さて若い人たちは日本の未来をどのように考えているのでしょうか?