フランスの新首相ガブリエル・アタル氏。
同国史上最年少の首相就任となるが、 人気が低迷しているマクロン政権がテコ入れのため知名度の高いアタル氏を起用したとみられるようなので、人気もあるのでしょう。
しかし年齢もさることながら日本社会にとって驚きなのは、アタル氏は同性愛者であるということかもしれません。
フランス新首相にアタル氏 同国史上最年少
— AFPBB News (@afpbbcom) January 10, 2024
アタル氏は34歳。同国史上最年少で、同性愛者であることを公表している初の首相誕生となる。
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しかしEU初の同性愛者を公表している首相はアタル氏ではなく、ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相で、同氏は同性婚をしています。
一方LGBTには強い差別意識を持つ者も多く、「LGBTには生産性がない」という日本。
では杉田氏が「生産性がない」と非難するLGBTに寛容なフランスと日本の出生率を比べると、どのようになっているか?
「LGBTには生産性がない」などという寛容性の無い社会こそが結婚や出生率を下げているのではあるまいか?
なお日本の昨年の合計特殊出生率は6月までの統計で1.26と、2005年と並び過去最低で少子化に歯止めがかかりません。
出典:合計特殊出生率の推移(1980~2021年) (フランス, 日本)
「貧乏人の子だくさん」は昔の話し。
今や日本は「経済的理由で結婚できない、子供を産めない」社会となってしまいましたが、フランスが先進国の中で比較的高い出生率となっている要因はなんでしょうか?
意外にもその一つはLGBTを容認し、社会の恩恵を受けられる制度にもあるようです。
この制度は発祥はスウェーデンですがフランスで取り入れられた背景を見ると宗教的な理由もあり、(結婚も手続きが面倒臭いが)フランスは離婚が大変なため事実婚が多いという背景があります。
カトリックは基本的に離婚は認められません。
英国がプロテスタントなのもヘンリー8世が離婚(婚姻解消:アナルメント)をバチカンに認められず、それならばとプロテスタントの英国国教会を作ったからです。
ところが時は宗教改革の時代。厳格なカルヴァン派のピューリタンは国教会の主教制に反発し迫害され、やがて英国を出て海を渡り
、アメリカ合衆国が誕生しましたとさ
そのためかフランスの離婚も大変で、恋の国のカップルも結婚への敷居が高く、それは出生率の低下、少子化に繋がります。
- そこで取り入れたのが‟民事連帯契約(通称PACS)”で、これは同性・異性を問わず、共同生活を営もうとするカップルを対象とする契約(非婚カップル保護制度)であり、当事者自身が相互の権利と義務の関係を決めて契約書を自由に作成し、それを裁判所に提出して公証してもらうことにより、当事者だけでなく第三者にもその効力を発生させるものです。
- 手続が簡単でどちらか一方の姓を名乗る必要はありません。
- 契約破棄(離婚に相当)は両者の同意は不要で、一方からの通告のみでよいことになっていますので契約することに対する敷居は低いかと思います。
- これにより結婚しているのと同様の法的権利を受けられます。
これなら結婚しない理由に最も多い「経済力が無いから結婚出来ない」というカップルであっても一緒になれますし、また同性同士でもカップルになれます。
- そして両者の所得が同等でしたら個人課税で良いですが、どちらかがパートナーの経済力に依存する場合には、N分N乗方式で課税すれば、税負担が少なくなります。
- さらに未婚であっても妊娠することはありますが、その場合にも婚姻しているカップルと同様の公的補助を受けられますし、さらに世帯人数が増えることによって税負担が減ります。
- また民事連帯契約から婚姻に至ることも可能ですので、結果的に未婚率が低下し、出生率が向上することも期待できます。
そして フランスの所得税制はN分N乗方式(世帯課税方式)です。
これは世帯全員の収入を合算し世帯人数で割り、それを一人当たりの収入とします。
そしてその一人当たりの収入から各種控除を引き、納税額を計算します。
その納税額に世帯人数を掛けて世帯の納税額としますが、扶養家族が多いほど有利な税制です。
未婚のカップルでもこのN分N乗方式は適用されますし、結婚と同様の法的権利を持ちますので安心して子供を産めますし、子供が多いほど税制的には有利となり、少子化解消に繋がります。
さらに、同性カップルであっても一方が収入が多くて養っているようなケースがあるでしょうが、その場合ものN分N乗方式のメリットを受ける事ができます。
さて今の日本はどうでしょうか?
非寛容的な風潮、弱者に冷たい自己責任論がはびこる社会。
それらが結婚や出産や子育てを妨げ少子高齢化してゆく社会。
今勇ましい事を言っている人たちもやがては老いて、働く世代に養われる時が来ます。
しかし年々養う世代の負担は重くなり、このまま少子高齢化が進めば、やがては養いきれなくなるのではないか?
現実から目を背け日本を美化するばかりでは、やがてそういう時代が来るでしょう。
海外に目を向け、学べることが有れは貪欲に学び、国を、社会を変えてゆく必要があると思います。