外国人労働者が入ると賃金が下がる・・・意識高い系、保守、リベラル含めて一般的な日本人の考え方でしょう。
ところでリーマンショックがなぜ起きたかご存じですか?
リーマンショックの引き鉄となったサブプライムローン。
アメリカの移民の数はご覧のように推移してきました。
2019年は約4250万人、人口の13.6%が移民です。
※“移民問題とは?難民との違いと諸外国の移民政策を知ろう”によると2017年時点で4440万人、13.6%。
出典:1900年から2019年までの米国の民間の非制度的人口における外国生まれの居住者の数と割合
さらにアメリカはグリーンカード(永住カード)を持っている人が現在1390万人いますが、二重国籍を持てますし、出生地主義ですから移民の子供でもアメリカ国籍となります。
人口構成を見ると白人はすでに50%強しかおりません。
対して日本の外国人数は令和2年6月現在でたったの 288万5,904人。
外国人労働者は技能実習生が令和元年10月末で38.4万人に対して、特定技能在留外国人は今年6月現在でたったの29,144人 です。
しかし平均賃金の推移を見るとご覧のとおりです。
たしかにアメリカも移民の賃金は安く、劣悪な条件で働く不法移民が20世後半のアメリカの経済の発展を支えたと言います。
しかしそれが全体の賃金を下げる要因にはなっていないようです。
一方日本は失われた30年の間、賃金が上がっていません。
出典:産経新聞11月22日経済24時 韓国に抜かれた日本の平均賃金 賃上げできない深刻事情
バイデン政権が検討してしているEVの補助金(税額控除)のニュースを読んで「ああ、そういう事か」と感じた事がありますので、紹介します。
米紙のEVの税額控除のニュースを読んで、これは外国車とテスラはずいぶん不利になると感じましたが、それに対してトヨタが今月、声明を出しました。
以下引用
電気自動車関連税制優遇措置の均等適用の必要性に関するトヨタの声明
環境、アメリカの自動車労働者、アメリカの消費者を政治的に動かすのはやめよう。 トヨタは、自動車の未来は電気自動車だと信じている。トヨタは、自動車の未来は電気自動車だと信じており、その未来への移行を促進するために、議会は電気自動車の購入を奨励する必要があると考えています。
しかし、議会の一部には異なる考えがあります。彼らは、組合への加入を決めた労働者が製造した電気自動車にのみ、4500ドル(1$=113円で50万8500円)の追加奨励金を与えようとしています。
組合に入らないと決めたアメリカの自動車労働者にとって、これは何を意味するのでしょうか?組合に入らないという選択をしたことで、彼らの仕事の価値が4500ドル下がったということです。
アメリカの消費者にとってはどうでしょうか。フォード、ゼネラルモーターズ、クライスラー製ではない電気自動車を買おうとすると、追加で4500ドル(4年間で月々約100ドル=11300円)を支払わなければならないということです。以下省略 声明引用終了
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ここでいう組合とは、全米自動車労組(UAW=United Auto Workers 正式名称はInternational Union, United Automobile, Aerospace and Agricultural Implement workers of America)のことだ。GMとフォード、米クライスラーの流れを汲む欧州ステランティスの3社の従業員はUAWに加盟しているが、日本や欧州、韓国メーカーとEV専業の米テスラは非加盟だ。もともとアメリカの自動車メーカーでは労働組合が強い力を持っていた。それゆえ、UAWの加盟工場は非加盟の工場に比べ従業員の給料が高いという。日本や欧州メーカーは生産コストを下げるために組合の勢力が強い中西部を避け、ケンタッキー州やミシシッピ州など南部州に米国工場を建設した経緯がある(トヨタはケンタッキー、ミシシッピー、アラバマなどに工場を持っている)。
トヨタが問題視しているのは、バイデン政権と与党・民主党が1兆7500億ドル(約200兆円)の歳出・歳入法案の枠組みに盛り込まれたEV普及策の中身である。従来のEV購入補助金の7500ドル(約85万円)に加え、従業員がUAWに加盟する工場で生産したEVの購入者に4500ドルの所得税を控除する優遇策を設けるという。2022年1月にこの制度が導入されれば、UAW加盟のメーカー(GM、フォード、ステランティス)のEVは7500ドル+4500ドル(約136万円)の購入補助金が得られるのに対して、トヨタやその他のEVでは購入補助金は約85万円となり、約50万円もの差がつくことになる。
以下省略 引用終了
これを外国社差別と思うかもしれませんがテスラも優遇策を受けられませんから、アメリカ社か否かではありません。
また日本社であっても欧州社であっても生産しているのは現地法人の子会社ですから、UAWに加入することもできますし、UAWは日系の自動車会社にも加入を働きかけています。
出典:‟UAW、北米日産組織化の研究”
UAWが労働者の賃金を押し上げ、しかも政府が「労働者がUAWに入っているメーカーを優遇する」というのは凄いと思いませんか?
対して日本はどうか?
労使は主君と家臣の関係に近く、「賃上げを要求したら会社の経営が悪化するのではないか?」と心配し、企業利益と雇用を優先させる企業が多いのではないでしょうか。
中には労組が「第二労務部」といわれ、労組役員をすると出世するような企業さえあります。
これでは賃金は上がりませんが、労組も政府も企業の競争力と雇用を守る事を最優先としてきて、その結果が低賃金ということではないでしょうか?
私はこのように考えてきましたが、一般的にはどのような原因が言われていますでしょうか?
技能実習生のせいですか?
2019年から始まった特定技能のせいですか?
ほんの僅かばかりの、一部の職種の外国人労働者に低賃金の責任を押し付けるのは、お門違いもいい処だと思います。
また外国人が増えると治安が悪化すると言いますが、本当にそうですか?
確かなデータはありますか?
欧州では治安が悪化したという人がいますが、例えばドイツなどは120万人の難民を受け入れていますが、日本はたったの47人です。