■テキサスの寒波でテスラが減産
最近半導体不足で日米欧の既存自動車メーカーが生産調整を余儀なくされていますが、テスラはその影響を受けておりませんでした。
ところがテキサスの寒波による影響で、テスラも減産というニュースがありました。
これまで半導体不足に苦しむ既存自動車メーカーを尻目に生産を続けていたテスラが、なぜテキサス州の寒波で減産するのか?
テスラ車と日本はじめ既存メーカーと、最も大きな差があるのは車載コンピューターで、テスラ社製のこのHW3.0車載コンピューターは他社と比較して6年~10年進んでいると言われます。
このコンピューターの中には自動運転の中枢となるプロセッサーが二つあります。
左のプロセッサーの内部には右図のような回路があります。
これはProcessorとか単にChip とか呼んではいますが、これの内部にはの上右図のようにシステムを動かすために必要なGPU(Graphics Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、そしてNPU(Neural Processing Unit)などがあり、SOC(System on a Chip)と呼んでよいものです。
じつはテスラは最初モービルアイ製プロセッサーを採用していましたが、Autopilotで走行中の死亡事故が起き、当時世界最高峰とされていたNVIDIA製に変更しました。
しかしイーロン・マスクさんはNVIDIA製でも不満で、2019年、HW3と命名されたコンピューターからはNVIDIA製の21倍の能力を持つという、トランジスター60億個分の回路のProcessorを自社開発し、採用しています。
ここまで読んでもサムスンとテスラの関係は出てきませんが、もう少し我慢してください。
■ファブレス企業とファウンドリ
皆さん半導体というとインテルのように設計から製造まで一貫して行う企業を想像すると思います。
しかし現在は設計だけのファブレスと製造だけのファウンドリに分かれています。
そしてファウンドリの2強は台湾のTMSCと韓国のサムスン電子です。
インテルももはや製造技術ではこの2社に敵いません。
アップルやテスラはファブレスで、iPhoneのSOC(System on a Chip)はファウンドリであるTMSCが作り、テスラのチップはサムスン電子が作っています。
そしてテスラの自動運転向け半導体がサムスンのテキサス工場で製造されているのです。
なおサムスンが製造しているテスラの半導体は14nm半導体。
現在サムスンとTMSCが米国に建設しているのは5nm半導体の工場で、テスラのHW4ではプロセッサーは5nmとなりそうです。
■ファウンドリのシェアの8割はアジア、しかし日本は蚊帳の外
2020年第3四半期の半導体ファウンドリランキングトップ10、TrendForce予想
3位のGlobal Foundriesは米国、4位のUMCは台湾、5位のSMICは中国で、ファウンドリのシェアの8割はアジアです。
しかし日本は蚊帳の外。
目を閉ざし、美しい日本、ニッポンスゴイデスネと言っているうちに日本と世界の関係はこのように変わってしまいました。
最後にこちらの動画をご視聴ください。