これでも構造改革、規制緩和、アベノミクスを支持しますか? | 夢老い人の呟き

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2001年の小泉内閣誕生、2012年の第二次安倍内閣誕生。

聖域なき構造改革、そしてアベノミクスで日本の経済は好転し、成長するはずでした。

ところが・・・・・・・


 

先進国で唯一賃金が低下した日本。 貧者のサイクルに陥っている。

 

しかし8月29日付東京新聞<働き方改革の死角>日本、続く賃金低迷 97年比 先進国で唯一減によると、“OECD(経済協力開発機構)”による主要国の時間当たり賃金の、1997年からの21年間の推移では日本だけがマイナスとなっています。

  • 企業が人件費を抑制しているのが主因だが、「働けど賃金低迷」の状況が消費をさらに冷え込ませる悪循環を招いている。
  • 日本の生産年齢人口(十五~六十四歳)は九五年の八千七百万人をピークに二〇一五年には七千七百万人と一千万人も減った。これに伴い、企業の国内売り上げも減少に転じたが、各社は利益を確保しようと、人件費を抑制
  • これが消費低迷を招き、企業が人件費をさらに絞る悪循環に陥っている
  • 政府も労働者派遣法改正などの規制緩和で企業の人件費削減を容易にした
  • 賃金の安い非正規雇用の比率は九七年の23・2%から、二〇一八年の37・8%に上昇した。

出典:<働き方改革の死角>日本、続く賃金低迷 97年比 先進国で唯一減

 

 

同様のことは2019年3月19日付日本経済新聞賃金水準、世界に劣後 脱せるか「貧者のサイクル」にも書かれています。

  • 過去20年間の時給をみると日本は9%減り、主要国で唯一のマイナス。
  • 国際競争力の維持を理由に賃金を抑えてきたため、欧米に劣後した。
  • 低賃金を温存するから生産性の低い仕事の効率化が進まない
  • 付加価値の高い仕事への転換も遅れ、賃金が上がらない「貧者のサイクル」。

 

 

出典:賃金水準、世界に劣後 脱せるか「貧者のサイクル」

 

 

賃金水準、世界に劣後 脱せるか「貧者のサイクル」

以下引用(全文は上のリンクをクリックしてお読みください)

デフレ不況と円高、過剰な設備と人――。1990年代後半から、製造業などは賃下げを含めた賃金抑制に動き、気がつけば日本の賃金は世界から大きく取り残された。

 

経済協力開発機構(OECD)は残業代を含めた民間部門の総収入について、働き手1人の1時間あたりの金額をはじいた。国際比較が可能な17年と97年と比べると20年間で日本は9%下落した。主要国で唯一のマイナスだ。英国は87%、米国は76%、フランスは66%、ドイツは55%も増えた。韓国は2.5倍。日本の平均年収は米国を3割も下回っている

 

日本は金融危機に直面した97年をピークに減り始め、12年までに12%減。大企業は定期昇給などで1%台の賃上げを続けたが、非正規社員も増え、1人あたりの時給は減った。時給の最低水準を定めた「最低賃金」(最賃)はこの3年間で3%台の上げが続く。ただ、対象はパート労働者ら一部にとどまり、全体を押し上げるには至らない。

 

その背景には労働生産性(付加価値)の低迷がある。1人の働き手による1時間当たりの成果を示す生産性の上昇が賃上げには必要とされる。

 

長時間労働がはびこった日本はこの半世紀、先進7カ国のなかで最下位。OECDによると17年は47.5ドルと前年から1%程増えたが、加盟国36カ国で20位という低位置は変わらない。米国(72ドル)、ドイツ(69ドル)に水をあけられている。

 

なぜ生産性が上がらないのか。逆説的だが、日本の企業が賃上げに慎重な姿勢を続けてきたことが生産性の低迷を招いたとの見方がある。

 

「賃上げショックで生産性を一気に引き上げるべきだ」。国宝・重要文化財の修復を手がける小西美術工芸社のデービッド・アトキンソン社長はこう訴えている。

 

ゴールドマン・サックスの名物アナリストだった同氏による主張の根拠はこうだ。低賃金を温存するから生産性の低い仕事の自動化・効率化が実施されず、付加価値の高い仕事へのシフトが進まない。その結果、生産性が上がらずに賃金も上がらない。いわば貧者のサイクルに日本は陥っているというわけだ。

 

 

アベノミクスは失敗

 

そしてアベノミクス。

  • 異次元の金融緩和、“サプライサイド経済学”( 需要側を重視するケインズ学派に対して 「供給力を強化することで経済成長を達成できる」と主張する )、“リフレ政策”( 中央銀行が世の中に出回るお金の量を増やし、人々のインフレ期待を高めることでデフレ脱却を図ろうとする金融政策 )により、日銀は年に80兆円マネタリーベースを増やしました。
  • マネタリーベース 市中に出回っているお金である流通現金=「日本銀行券発行高 + 貨幣流通高 + 日銀当座預金 )を増やしてやれば、銀行はどんどん貸し付けをし、市中にお金が回りインフレとなり、インフレマインドで消費が増え経済が良くなる ・・・・はずでした。あせる

 

■実績を見ると

日銀は市中銀行から年間80兆円国債を買い上げました。

  • 日銀が銀行から国債を買ったお金は、銀行の日銀当座預金に入りますが、この時点でマネタリーベースは増えます。
  • ところが銀行が当座預金を引き出し貸付に回さない限り、貨幣流通高は増えません
  • 需要が無い企業は設備投資などの借り入れを行わず、従って銀行は貸付が出来ず、国債を売ったお金は日銀の当座預金に眠ったまま(これをブタ積みといいます)で、ブードーエコノミクス・リフレ政策の意に反して市中に出回るお金は増えず、インフレも起きず、経済は低迷したままとなりました。

日銀保有国債残高と当座預金残高の推移を見ると、このようになります。

日銀が国債を買ったお金は殆どが、日銀の当座預金に眠ったままであることが分かります。

2013/3/20 日銀国債保有高:125兆0527億2052万円   当座預金: 43兆8177億2036万円

2019/8/20 日銀国債保有高: 481兆4631億6051万円   当座預金: 402兆6939億7264万円

 

 

アベノミクスのうたい文句のように言われた“トリクルダウン仮説”。

「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)」 というもので、上段の絵のように庶民にまで富が滴り落ちるはずであったが、実際には下段のえのようにトリクルダウンせず、格差は拡大した。

 
そして日本は低所得層が増え、OECD加盟国中7番目に“相対的貧困率”が高い国となった。

※相対的貧困率 = 所得中央値の1/2を下回る人数(X) ÷ 全体の人数(n) × 100(%)

 

出典: 「OECD 経済審査報告書」 22ページ

 

 

 

賃金抑制が消費を冷え込ませ、企業はさらに賃金を抑制しそれがさらに消費を冷えこませる貧者のサイクル。

賃上げこそ必要だったのに政府がやったことは規制緩和で企業の人件費削減を容易にした

そしてアベノミクスというリフレ政策で、富める層は富んだが、貧しい層はさらに貧しくなった。

小泉改革以来の経済政策は失敗だったと評価して良いと思います。