記録的な日照不足が続いていますが、こういう時にぜひご紹介したいのが太陽活動と雲の関係です。
皆さん、雲はどうしてできるかご存知ですか?
水蒸気がたくさんあれば凝結して雲になるだろうというのが大半の理解だろうと思いますが、じつは違います。
何もない空気中では水蒸気が飽和しても(相対湿度100%)水蒸気は凝結しません。
エアロゾルという空気中の微粒子が全くない状態では、湿度が数100%にならないと水蒸気は凝結しませんが、そのような環境はありません。
出典:雲の微物理過程の研究
じつは雲が出来るメカニズムはまだ完全には解明されておらず、宇宙線が雲を成形させるという学説もあります。これを“スベンスマルク効果”といいますが、太陽活動と地球に降り注ぐ宇宙線の量には密接な関係があります。
スベンスマルク理論では太陽活動が低下(黒点数が減る)と地球に降り注ぐ宇宙線量が増え、雲が増えます。すると日射量が減り、地球は寒冷化します。
太陽活動には11年周期説があり、細かい事はWikipedia太陽活動周期をお読みいただきたいと思いますが、下図の赤い部分のマウンダー極小期が終わったところから数え始めて、現在はサイクル24の終わりで、最も太陽活動が弱い時です。
図出典:http://spaceweather.com/archive.php?view=1&day=28&month=03&year=2016
そう考えると雲が多いのも辻褄が合います。(但し、これは地球レベルの話で、日本という局所のはなしではありませんが)
そして上のグラフからも出典のタイトルからも分かるように、NASAの予想では、2020年から始まるサイクル25は過去200年で最も太陽活動が弱い、1800年代の“ダルトン極小期”レベルとなります。
トランプ大統領は温暖化を否定しますが、実はアメリカは温暖化を否定する科学者も多く、どちらが正しいのかは知りませんが温暖化否定のブレーンもいるのではないかと想像します。
デンマークの学者ヘンリク・スベンスマルク(Henrik Svensmark)は太陽の活動度と宇宙線の量と雲の量の間に相関関係があり、太陽の活動度が高くなると宇宙線が減少し雲が減り、逆に太陽の活動度が低下すると宇宙線が増加し雲が増える事を発見しました。
そして雲が減れば地球は温暖化し、雲が増えれば寒冷化します。
これをスベンスマルク効果といいます。
スベンスマルク効果を肯定する学者もいれば否定する学者もいますが、そもそも雲が出来るメカニズムは完全には解明されていません。
雲の粒(水滴)は水蒸気が10の14乗個結集すれば水滴になるそうですが、大気中にそんなに水蒸気がある事はなく、またあっても安定した雲にはならず、完全に綺麗な空気中では雲は出来ないそうです。
雲が出来るのは大気中のエアロゾルと呼ばれる微粒子(土ぼこり、火山灰、工場の煤煙、海の波しぶきが蒸発してできた海塩粒子) が核となって水蒸気がくっつき雲の粒(水滴)になるとされます。
しかしそれだけでは海洋の真ん中の雲などは説明がつかず、 宇宙線も雲の形成を促進し、雲の量と宇宙線の強さの相関が高いと見られます。
スベンスマルク効果はまだ雲の形成の実験には成功していませんが、これから始まるソーラーサイクル25はダルトン極小期(一番上のグラフで1800年代のDulton Minimumと書かれている部分)レベルと予想されます。マウンダー極小期やダルトン極小期はヨーロッパにおける氷河の拡大に象徴される小氷期の一因になったといわれます。(http://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2011/2011_01_0081.pdfご参照)
Wikipedia“スベンスマルク効果”ではスベンスマルク効果を否定的に書いていますが、「温暖化への影響」の項目の下から5行目と4行目に次のように書かれています。
これはスベンスマルク効果を否定する意味で書かれた文章のようですが、実はこれこそスベンスマルク効果の証拠でした。
その理由は次の動画の3分からに述べられていますので、ご視聴ください。
銀河のスパイラルアームは超新星爆発が多く宇宙線が多いのですが、太陽系は1億数千万年ごとにスパイラルアームを通過します。
そしてこの周期と氷河期が一致するのです。
という事で宇宙線が雲を形成するメカニズムはまだ実証されていませんが、どうも宇宙線と雲と寒冷化は相関関係がありそうです。
とはいえ宇宙の事も地球の事も気象の事もまだまだ分からないことだらけです。
地球がこれからどうなるかは、まだ誰にもわからないでしょう。
最後にこんな歌でもお聞きください・・・・天気予報くらいって、どれぐらい信じるのでしょうか?