B737MAX 一番の問題はMCASが必要となったことではなかろうか? | 夢老い人の呟き

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「安全な航空機」米大統領に直訴したボーイング 737MAX、乗客危険にさらした政治の「忖度」”によると昨年のボーイングのロビー活動費は 1512万ドル(約17億円) 。FAA(米連邦航空局)はエチオピア航空機墜落事故後も3日間B737MAXは安全だと言い続け、トランプさんはボーイングのトップセールスマンを演じています。

 

しかしボーイングは  B737MAXの生産を月産52機から42機に減らすと発表しました。

ソフトウェアの修正プログラムも数週間先に延び、運航停止は当分続きそうですが、まだ原因となったAOAセンサーシグナルの異常の原因は究明されていませんし、機体自体の縦安定性に欠陥があるのではないか?果たしてソフトウェアの修正だけで良いのかという疑問は拭えません。

当ブログではエチオピア航空機事故直後から MCAS(Maneuvering Characteristics Augmentation System)に感じる問題点を書いてきました。

 

 

しかし、次のリブログ記事に書いたソフトウェアのパッチの内容を見ても、この疑問は完全には解決できると思えません。

 

 

■B737MAXの一番の問題はMCASが必要となったことではなかろうか?

 

このシステムはこの機種特有で、他機種では失速の警報だけか、または機種によっては失速警報作動時にコントロールコラムを機首下げに動かし、昇降舵によって失速を防止します。

 

ところがB737MAXは昇降舵ではなく、水平尾翼を機首下げになるよう動かし、失速を防止します。

これはなぜか考えると、要するに昇降舵では役不足ということだと思います。

 

 

737MAXはエンジンが大きなり、またより前方に付けられたため、機体の迎角が大きくなり失速領域に近づくと、エンジンナセルに揚力が発生してしまい、機首上げモーメントが発生してしまいます。

特に機首上げの操作が急激な時は、慣性力によってより機首上げとなりやすくなります。

 

ところが最近の航空機は空気抵抗を減らすために水平尾翼を小さくし、さらに昇降舵も小さくなっています。機体本来の安定性は低下しているうえに、昇降舵も小さくなっているため、機首上げの速度が速く慣性力が働いている時は昇降舵だけでは機首上げを抑えきれないため、面積の大きい水平尾翼によって機首下げにするのではないかと思います。

 

 

下図は737-200ですがMAX8を比べると水平尾翼が小さくなり、さらに昇降舵はより小さくなっています。

【黄色は737-800、紫色はMAX8】

 

■水平尾翼の揚力は下向きの力

皆さん水平尾翼の揚力は上向きだと思うでしょうが、実は下図のように下向きに働きます。

  • これは安定性のためですが、この下向きの力小さければ小さいほど、空気抵抗が減ります。
  • 上の図を見てもクラシック737と737MAX8を比べると、MAX8は水平尾翼が小さくなっており、さらに水平尾翼後端についている昇降舵も小さくなっています。

 

これは水平尾翼の抗力を小さくする為に、重心と揚力中心を近づけ機首下げモーメントを小さくし、水平尾翼による釣合い力を小さくした結果です。

  • そしてその結果、昇降舵の効きが良くなり過敏になりますので、昇降舵を小さくする必要があります。
  • その結果上述のように急激な機首上げ時の失速防止には昇降舵だけでは追い付かず、面積の大きい水平尾翼で機首下げにするというわけです。
  • 燃費を向上させるために、機体本来の安定性を低下させ、それを電子制御で補っていますが、こういう進歩には疑問を感じます。

 

 

 

どうも技術の進歩は必ずしも安全性の向上にはつながらず、新たな危険性を生じさせることもあるようです。最近ではボーイング787のリチウムイオンバッテリーがセルの内部ショートから熱暴走を起こし異常加熱し、一時運航停止となりました。

 

また最新の航空機は機体や翼にカーボンファイバーを多用しますが、心配性のアナログ爺はこれにも不安を感じます。

 

 

どうも技術者や科学者という人種は、時として原爆のような、とんでもない危険性をも生み出してしまうこともあります。

 

亡くなられたホーキング博士は“神の粒子「ヒッグス粒子」の研究が宇宙を崩壊させる?”、“ホーキング博士「人工知能の進化は人類の終焉を意味する」”と警鐘を鳴らしました。

天才イーロン・マスクさんもまた“「神のような」AIの誕生は、人類を破滅させる —— イーロン・マスク氏が警告”と警鐘を鳴らしています。

 

技術の進歩、効率の追求が事故の危険性を増やしたり、人類を危機に陥れることが無いように祈ります。