中国の、女優よりも太陽光パネルやリチウムイオンバッテリに興味を持って下さい | 夢老い人の呟き

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テレビのワイドショーの低俗さには、辟易している人も多いかと思います。

しかしマスコミはゴミだと切って捨ててしまっては、大事な情報も得られない事になりかねず、ブツブツ文句を言いながら見ているヘタレジジイですが、さすがに中国の女優が失踪してどうのこうのとたびたび長々やられると「いい加減にしろプンプンもっと大事な事があるだろうビックリマーク」と言いたくなります。

 

表題に上げた太陽光パネルとリチウムイオン電池ですが、海外情報に興味が無い人たちは未だに日本は世界のトップクラスに君臨しており、中国なんぞ技術が無いから安物しか作れないと思っているのではないでしょうか?

私の世代だと未だ Japan as No1 と思っている人もいるかも知れません。

 

ところが現実は大違いです。


 

太陽光パネルの現状

 

世界の生産量トップ10のうち、3位のカナディアンソーラーと5位の韓国ハンファQ-セルズ以外は全て中国企業。しかも3位のカナディアンソーラーもオーナーは中国人、生産拠点は中国と実質中国企業です。

出典: Top 10 module suppliers in 2017

 


 

リチウムイオン電池

 

ではリチウムイオンバッテリーはどうか?

 

ネバダ州に建設されたテスラ社のギガファクトリー。

2018年には20ギガワットアワー、2020年には35ギガワットアワーのリチウムイオンバッテリーが生産される予定ですが、この世界一の工場で生産されるリチウムイオン電池はパナソニック製です。

 

これで当分パナソニックの優位は動かないと思っていたら、急激に追い上げたのが中国企業です。

 

下図は2016年の世界のリチウムイオンバッテリーの生産量と2020年の予測ですが、2020年には5.21倍に増えます。

出典:China Leading the Charge for Lithium-Ion Megafactories

 

 

これを主な国別に見ると、2020年、アメリカはLGケムの3GWhとテスラ(パナソニック)の35GWhで合計38GWh。

ところが中国はCATLだけで50GWh、それにBYDなど中国企業、パナソニック、サムスン、LGケムなどが中国で生産し、108GWhとアメリカを圧倒します。

 

出典:China Leading the Charge for Lithium-Ion Megafactories

 
グラフで見ると一目瞭然、中国が世界の62%、アメリカ22%、韓国13%となり、日本は圏外です。

出典:China Leading the Charge for Lithium-Ion Megafactories

 

 

しかしパナソニックはテスラと組んでいますので、テスラが上海に建設するギガファクトリーでも生産量を伸ばすでしょう。アメリカと中国で生産で生産しても日本企業だから問題無しと思うかも知れませんが・・・・・・。

しかし、ここで現在のグローバリズムの矛盾に目を向ける必要があると思います。

 

 

企業が日本で利益を上げれば法人税を納めます。

しかし法人税を高くすると企業が海外に逃げて、国内産業の空洞化が起きる・・・などとされ、あまり法人税を上げるわけには行きません。

 

ではグローバル企業が海外で利益をあげたらどうなるか?

当然、事業所のある国には納税しますが、日本にはどうか?

現在の先進国の主流(アメリカは例外)は本国と外国子会社の二重課税を避けるようになっており、日本の場合は海外利益の還流に対しては「外国子会社配当益不算入」が適用されます。

 

これにより配当益として還流される利益の95%は、益金に参入されず非課税となります。

外国子会社配当益金不算入制度は、親会社が外国子会社から受け取る配当を益金不算入とするもの。

  • □ 対象となる外国子会社は、内国法人の持株割合が25%(租税条約により異なる割合が定められている場合は、その割合)以上で、保有期間が6月以上の外国法人

  • □ 外国子会社から受け取る配当の額の95%相当額を益金不算入(配当の額の5%相当額は、その配当に係る費用として益金に算入)

 

さらに詳しくは「外国子会社配当益金不算入制度(Foreign Dividend Exclusion)」をご参照ください。

 
企業は国内利益に対しては法人税の対象となりますので、税金で取られるくらいなら設備投資や、従業員に還元して利益を減らした方が得かもしれません。
しかし海外から還流された、税金の掛らないお金であれば、将来のために蓄えておこうという事になり内部留保がどんどん増える原因のひとつといわれます。
 
しかし労働者にトリクルダウンはせず、労働分配率は歴史的に低下、雇用者報酬伸びず民間消費支出も伸びず、よってGDPも物価も上昇しないという現在の状況。
その原因のひとつにグローバル企業の税金の掛らない利益があるのではないでしょうか。

 


 

日本買いを狙う中国企業

 

ついでに再エネの現状ですが、「ニッポンスゴイデスネ~」「中国が~」という人は次のビデオの11分50秒からをご視聴ください。

 

11分50秒~日本の発電事業者がドンドン倒産し・・・・・

12分30秒~それを中国企業が買い取り・・・

13分30秒~その原因は、送電線の空き容量が無いとして参入できない、コストが掛かる。

14分30秒~想定外の出費を強いられる新規参入発電事業者

16分50秒~なぜ送電線の実際の使用量が低いのに空き容量がないのか?

      ダウン

送電線の空き容量の算定の前提は全ての発電設備がフル稼働

従って稼働出来ない原発もフル稼働で計算する・・・実際は震災前でも原発の稼働率はせいぜい60%くらいですが・・・。

その結果、再エネは参入できず、それでエネルギー自給率が低いエネルギー安保が問題だというのは何かおかしくないですか?

 


 

EV社会のバックボーンは既に出来ている

 

イノベーションと言うのが好きな割には新たな事に対しては、出来ない理由、ダメな理由を探すのが得意な日本ですが、EV(電気自動車)についてはどうか?

 

次の動画の11分30秒からをご覧下さい。

如何に日本が遅れをとっているか・・・・遅れていると思われている中国の方がはるかに先を行ってました。

 

 

 

中国女優がどうのこうのや、その他、アラを探して見下して、悦に入っている間に中国企業は日本にどんどん入ってきます。百年一日の如く中国の強みは人件費の安さと思っている人が多いと思いますが、現在は工場の規模と生産性、そして世界最大の市場を持つ強みに変ってきています。

気がついた時には足元に伏すしかないなんて事にならないように、もっと中国を観た方が良いと思います。