北朝鮮の原子炉のニュース | 夢老い人の呟き

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今朝、北朝鮮の黒鉛炉に関するニュースがありました。

時事通信「北朝鮮、黒鉛炉で冷却系改修中か=米研究所が衛星画像分析

スプートニク「北朝鮮の黒鉛炉で冷却系改修の可能性も 38ノース分析

38NORTH「North Korea’s Yongbyon Nuclear Scientific Research Center: Work Continues on 5 MWe Reactor’s Cooling System

 

これでまた朝鮮半島が不安定になると心配される方もいるかと思いますが、当面は心配なさそうです。これらを読んでみると4月13日の38NORTH「北朝鮮の寧辺核施設:5メガワット原子炉で大規模な活動」の延長線上で、特に進展があったとは思えません。

 

この原子炉は2月下旬から停止し、冷却系の改修をしていると見られていますが、現在まだ稼働はしていないようです。

 

北朝鮮の寧辺核施設:5メガワット原子炉で大規模な活動

以下引用

3月30日の人工衛星画像によると、北朝鮮は5メガワット原子炉(プルトニウム製造用)の稼働を当面の間停止しているかもしれない。また、冷却水の排出場所付近では大規模な掘削工事が始まっており、これは貯水池を造成するために川をせき止めていることを踏まえると、より安定したかたちで原子炉に冷却水を引き入れるための試みの可能性がある。これによって、将来にわたり、原子炉がより継続的かつ安全に稼動できるようになる。

 

原子炉では新しいトラックの動きも見られる。目的は不明だが、可能性として整備や改修作業、廃棄物貯蔵施設から放射化学研究所への使用済燃料棒の移動、新しい燃料の搬入などが挙げられる。一見すると原子炉は停止しているように見えるが、(3月30日時点では)放射化学研究所でプルトニウムの再処理が行われている証拠はない。しかし、この動きは今後も注視する必要がある。

 

研究用軽水炉では、研究所または技術支援用と思われる隣接する建物の建設が続いているが、軽水炉が稼働に近いことを示す明確な兆候はない。

 

5メガワット原子炉での動き

 

最近の人工衛星画像では、発電施設から水蒸気の煙が見えないことから、5メガワット原子炉は2月下旬の稼働が確認されて以降、停止しているように見える。さらに、原子炉の冷却水が排出されるエリアでは大規模な工事が進行中で、川の土手に沿って広範な掘削作業が行われている。この工事の目的を判断するのは時期尚早だが、川沿いであることや既存の冷却水の排出場所の近くであることから、原子炉の2次冷却水システムに関連する可能性がある。最近土のダムと排水路によって貯水池が造成されていることを考えると、季節によって川の水量が異なるため冷却システムへの安定した水の供給ができないという以前からの懸念を軽減する結果となるかもしれない。これにより将来は原子炉をより継続的に稼働することができるようになる。

以下省略

 

上の赤文字の部分ですが、実は2008年までは下の赤丸の位置に冷却塔がありました。

これは原子炉に帰る水を冷却するための物ですが、2008年にテロ支援国家指定解除を受けて冷却塔は爆破されました。

これでこのプルトニウム製造用原子炉は稼働できなくなりましたが、ところがGENERATOR HALLで冷却を行うように改修しており、「ダマサレタ~」ですが、現在は稼働するとGENERATOR HALLから水蒸気が上がるというわけです。


 

現在の施設はこのようになっており、5MWe Reactorが発電出力5000キロワットの黒鉛減速・ガス冷却炉です。

以前はチェルノブイリ型の黒鉛軽水炉といわれましたが、英国型の黒鉛減速・ガス冷却炉、マグノックス炉です。

これは発電の効率はよくありませんが、電力を消費するウラン濃縮が不要なのと、兵器級プルトニウムを製造するのに適しています。

これが稼働を始めると米韓もまた疑心暗鬼になり、朝鮮半島情勢が不安定になるかと思います。

なおウランを原爆に使用するためにはウラン235の濃度を通常90%以上に高める必要があり、電力を大量に消費するため北朝鮮はプルトニウムを使用するといわれます。

 
参考までに下図上はチェルノブイリ型で、下は北朝鮮と同じマグノックス炉の概略図です。