■日産自動車がフランス企業になる?
企業は誰のものでしょうか?
これは簡単にはいえず、というか答えの無い命題かも知れませんが、もしも日産自動車がフランス企業となったらどうでしょうか?
現在ルノーが日産自動車の株を43.4%所有し、日産自動車はルノーの株を15%所有します。
しかし時価総額でもPER(株価収益率)でも配当率でもすべて日産が上で、圧倒的に日産の方が大きく優良な企業といえます。
ところがフランス政府がルノーと日産を合併させ、日産の経営権を持とうと画策しており、これまではゴーンさんが拒否してきました。
しかし最近ゴーンさんが譲歩し合併容認に変わったという報道があります。
「日産がフランス企業になる!?ゴーン氏も悩むルノーとの合併論の行方」ご参照
この話は2015年からあり、その背景には2014年の「フロランジュ法」成立があります。
関連記事:「日産・ルノー Vs フランス政府」「フロランジュ法に思う日本の年金の将来」「日産・ルノー Vs フランス政府、 フロランジュ法 Vs 会社法308条」
■フロランジュ法
詳しくは上記の関連記事をお読みいただきたいと思いますが、フロランジュ法では 「株主に長期的保有を促すことにより、企業も長期的視点に基づく経営を促す」ことを目的として、上場企業の株式を2年以上保有する株主の議決権を2倍にすることなどを求めています(以下、2倍議決権と呼ぶ)。
フロランジュ法の制定によって、2016年4月からは、3分の2以上の株主の賛成をもって1株1議決権を定款に明記しない限り、2倍議決権が標準となります。
2015年にフランス政府は影響力を行使して雇用の安定化を図るため、ルノーの株式の買い増し(15%⇒19.7%)を行い、株主総会で1株1議決権を支持の議案を否決しました。
※よってフランス政府はルノーに対して19.7%の2倍の39.4%の議決権・・・と単純計算ではなりますが、他にも2倍議決権の株主がいますので、政府の議決権は28%だそうです。
そしてルノーは日産自動車の43.4%の筆頭株主で、日産の議決に対して大きな力を持っています。
ルノーがその気になれば他の株主の委任も集めて、合併は成立するでしょう。
※ニッサンの外国人株主持ち株比率は60数%。
ヘッジファンドなどの半分がルノーにつけば過半数を超えます。
一方 日産はルノー株15%を保有し、ルノーの第2位株主であるが、フランスの株式持ち合いに関する法律により、日産はルノーの議決権を持ちません。![]()
という事で日産自動車がルノージャパン?となる可能性はゴーンさん次第のようです。
■フランスは社会主義?
この問題は部外者は見守るしかありませんが、「日本政府は何も打つ手は無いのか?」と歯がゆくなります。
逆に、なぜフランス政府は民間企業の経営に干渉するのか、干渉できるのか?
まるで社会主義国家のようだと疑問を持ちませんか?
「欧米は資本主義のはずだ」と、昔ながらの「資本主義対社会主義」、「自由主義対社会主義」、あるいは「社会主義=共産主義」の構図のような感覚では、ヨーロッパの事は分かりません。
資本主義か否かといえばヨーロッパの国は全て資本主義です。
自由民主主義かといえばそのとおりです。
では社会主義ではないかといえば、冷戦後の欧州は殆どが社会民主主義です。
(「社会民主主義」と「民主社会主義」がありますが、その違いは難しく、申し訳ありませんが私はしばしば混同しますがお許しください。m(_ _ )m)
というわけでフランスも「欧州型社会民主主義」であり、先進国の多くは資本主義の中で、社会民主主義と保守主義の間を揺れていると言って良いと思います。
■保守とリベラル
もうひとつ多くの方が誤解している、「自由を制約するのが保守で自由主義がリベラル」という考え方も間違いで、経済の自由と人権に関わる個人の自由と分けて考える必要があります。
左の図は「ノーランチャート」という政治思想の概念図ですが、経済的自由が大きいのは保守・右翼です。
右翼:経済的自由・・・大 個人的自由・・・小.
左翼:経済的自由・・・小 個人的自由・・・大
○経済的自由、個人的自由ともに最も大きいのが「リバタリアニズム」(自由至上主義、古典的自由主義)。
○個人的自由・経済的自由ともに最も制約されるのが全体主義です。
これが分かっていないから規制緩和がリベラルだの新自由主義がリベラルだのという自称リベラルが多く、挙句の果ては「安倍晋三はリベラルだ」という人までおります。
とい事で一般的にいうリベラリズムと自由主義、リベラリストと自由主義者は違います。
以下Wikipedia「自由主義」の近代自由主義から引用します。
よって、近代自由主義は積極的自由に基づく自己決定を推奨し、国家による富の再配分または地域社会による相互扶助を肯定する。すなわち、市場原理主義では大企業が利益を最大化する一連の行為のために、失業問題や構造的貧困や環境問題などさまざまな弊害・社会問題が生じ、それは古典的自由主義の「意図に反して」人々の社会的自由をかえって阻害しているとし、古典的自由主義を修正する思想である。
日本語では消極的自由を重視する古典的自由主義とのニュアンスの違いを表すため、また、混同を避けるためにあえて自由主義ではなくリベラリズムと呼ばれることが多い。英語圏ではSocial liberalism(社会自由主義)と表現される。社会的自由を重視することから、社会民主主義との親和性がイメージされることも多い。ただし、事後的な社会保障としての福祉国家論を主張した社会民主主義とは異なり、個人主義に信頼するロールズのリベラリズムでは、人的資本を含む生産手段の広範な分散的保有の事前的な制度的保障が主張されている。
なんとも難しい文章ですが、規制緩和万歳、公務員減らせ、民営化万歳は、リベラリズムとは違い右翼・保守ですし、これで個人の自由が制約されれば「ノーランチャート」では完全に右翼に分類されます。
