中間層が没落する世界 | 夢老い人の呟き

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格差拡大がいわれて久しいが、格差は拡大の一途をたどっています。

貧困大国・格差大国のアメリカは上位0.1%の資産が下位90%の資産を上回ります。

 

世界経済フォーラム(WEF: TheWorld Economic Forum)は4年前、社会の安定を脅かす主な要因として経済格差の拡大を挙げました。

国際NGOの 「オックスファム:OXFAM」 によると世界の指導者らは格差縮小を共通の目的として掲げているにもかかわらず、 問題は深刻化する一方です。

 

格差に関する2017年版報告書を発表「99%のための経済」

世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36億人に匹敵する資産を所有

 

オックスファムは、1月17日から20日までスイスで開催される世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に先がけて、格差問題に関する最新の報告書「99%のための経済(An Economy for the 99%)」を発表しました。

 

最新報告書では、富める者と貧しい者の間の格差は、これまで考えられていたよりも大きく、世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36億人に匹敵する資産を所有していることが明らかになりました。

 

世界の富の配分に関するより正確なデータ(特にインドと中国に関するデータ)が新たに明らかになったことにより、世界の貧しい半分が所有する資産は、以前に考えられていたよりもはるかに少ないことがわかりました。昨年時点でこのデータが明らかであったならば、2016年に世界の貧しい半分の36億人の総資産に匹敵する資産を所有したのは、(その時点でオックスファムが試算した)世界で最も裕福な62人ではなく、9人でした。

 

1988年から2011年にかけて、世界人口の最も貧しい1割の人々の収入増は、65ドルにすぎませんでしたが、同時期に、最も豊かな1割の人々の収入増は、11,800ドル、彼らのおおよそ182倍も増加しています。

 

世界では、10人にひとりが一日2ドル以下でしのぐことを余儀なくされている中、ごく一握りの人たちが莫大な富を有しています。2015年9月の国連総会で合意された持続可能な開発目標(SDGs)は、「誰一人取り残さない」を合言葉に、格差問題をはじめとした地球規模課題への取り組みのための枠組みですが、今日の世界経済は、何億もの人々を取り残しながら回り続けています。格差拡大は、何億もの人々を貧困の中に封じ込め、社会に亀裂をつくり、民主主義をも脅かしています。

 

納めるべき税金はなるべく回避する。支払うべき賃金はなるべく抑える。カネの力で政治を動かし、経済のルールを自分たちの都合のよいように書き換える。こうした方針を取る大企業や大富豪が、格差の拡大を加速させています。経済によってごく少数の幸運な人々だけではなく、すべての人々が恩恵を受けるためには、その仕組みとあり方に根本的な変革が必要です。

 

世界は今、99%のための経済を必要としています。経済を私たちの手に取り戻し、「ヒューマン・エコノミー(人間らしい経済)」を実現しなければなりません。

 

各国政府は、労働者に適正な賃金が支払われるよう保障し、租税回避を阻止するだけでなく、競って法人税減税を推し進めるようなことをやめるために協力、協調しなければなりません。そして、株主の利益だけでなく、従業員の利益と社会への貢献を考える企業への支援を惜しんではなりません。各国政府は、格差を広げてきた時代遅れの経済理論や欠陥が明らかとなった経済政策にしがみつくのをやめ、GDPへの執着を捨てるべきです。既得権と出自が将来を左右するのではなく、才能と勤勉によって未来を切り拓くことができる社会、保健医療や教育など基本的社会サービスが当たり前の社会、すべての人々に資する経済を実現しなくてはなりません。

 

世界経済を牽引するリーダーたちの多くが今週ダボスに集まります。自分たち自身と自分たちが経営する企業による公正な税負担、そして被雇用者への生活賃金の支払いを約束することこそ、今年のダボス会議のテーマでもある「責任あるリーダーシップ」のあるべき姿であり、「ヒューマン・エコノミー」の実現へ向けた意味ある一歩となります。


このオックスファムの報告書は2017年1月16日のCNNニュース 「上位8人の富豪、下位50%の合計と同等の資産保有」 に取り上げられていますが、その中に次の様な一節があります

“報告書は「富裕層が豊かになれば富が全体にしたたり落ちる」とされる「トリクルダウン」理論に言及し、「所得と資産はしたたり落ちるどころか、驚くべき勢いで吸い上げられている」と警鐘を鳴らした。”

 

つまりトリクルダウンなんてまるで嘘っぱち、実際は富裕層が吸い上げているというわけです。
このCNNの記事から1年経ちますが、今時「トリクルダウン」なんて信じているのは、余程の○○か信者だけではないでしょうか。


法人減税や富裕層減税をすれば企業利益は増え、投資も増え株価は上がり、経済の指標の上では好況となるかも知れませんが、法人税率が減れば企業は内部留保しやすくなり、賃上げするよりは内部留保を増やせとなります。

キャピタルゲインで所得を得る富裕層を減税しても、お金は消費には回らず経済は活性化しません。

 

法人税収や所得税収が減った分は間接税を増やしたり、公共サービスを減らしたり料金を上げたりでカバーせざるを得ませんが、これらは中低所得層の負担を増やし民間消費を低下させます。

 

結果、格差は拡大し中層は下層に転落、下層はさらに貧しくなりセーフティネットにより救われ、「富裕層と貧困層だけが得をする」といわれるような社会になったのが今のアメリカだと思います。
しかし「沈む大国」の狂った政治家たちは全く違う考え方をするようで、共和党の減税案では年収45万ドル以上が中間層だそうですので、中間層は豊かになっているといえるかも?

NEWSWEEK 2017年11月13日
米共和党減税案、上位1%は中間層

以下引用

 

世帯年収45万ドル以上を「中間層」とした下院共和党の異常な経済感覚に批判が噴出>

 

中間層減税を喧伝してきた米共和党がその減税案を明らかにした。米下院共和党によれば、中間層とは、年収45万ドル(約5000万円)以上稼ぐ人だという。全体のトップ1%に入る所得水準だが、共和党によれば、やっとのことで中所得層に留まっている人々だというのだ。

 

共和党は11月9日、税制改革法案に関するファクトシートを公表。その中で、納税者の上位0.5%の富裕層である年収45万ドルの世帯を「低中所得層」に分類した。

ちなみに、2016年のアメリカの家計所得の中間値は、5万9039ドル(約670万円)だ。

 

 

法人税と所得税の大型減税を柱にした共和党の税制改革法案は、年収45万ドルの「中間層」にかかる個人所得税の最高税率を39.6%から35%に引き下げるとする。だが、話題をさらったのは中身よりも、上位1%を中間層とみなす共和党の異常な経済感覚だ。

以下省略

 

共和党にとっては99%の人はいないも同然のようです。

 

 

なお、全世界の下位50%、36億人に匹敵する富を持つトップ8人は、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏、メキシコの大富豪カルロス・スリム氏、米アマゾン最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏、米フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏、ファッションブランドZARAの創業者アマンシオ・オルテガ氏、米オラクル会長のラリー・エリソン氏、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏。資産の合計は4260億ドル(約48兆7000億円)です。

ユダヤ陰謀論好きの習性で「ユダヤ」というキーワードで検索してみると、このうち半数の4人(ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏、ラリー・エリソン氏、マイケル・ブルームバーグ氏)がヒットします。政治を動かすのは経済(露骨にいえば金の力)であるとすれば、日本人はもっとユダヤ的考え方を知るべきではないかと思います。