世界一豊かな国 リヒテンシュタイン公国 | 夢老い人の呟き

夢老い人の呟き

願い望むは願望  夢は寝てみるもの 儚く叶わぬもの
  人に夢と書き儚  夢に人と書き夢人 
    夢と人の中に老いが入り夢老い人  儚く老いる独り言

前記事の ナノフローセル社 の拠点は、スイスではなくリヒテンシュタイン公国にあります。

リヒテンシュタイン公国はあまり知られていない、周囲をスイスとオーストリアとドイツに囲まれた小豆島くらいの小さな国ですが、実は凄い国なのです。

 

 

 

  

 

 

リヒテンシュタイン公国・・・・・リヒテンシュタイン家 を君主とする立憲君主制国家。

※ 1989年11月,フランツ=ヨーゼフ2世公爵の逝去に伴い,ハンス=アダム2世公爵が即位。その後,2004年8月,ハンス=アダム2世公爵はアロイス皇太子を摂政(国家元首代行)として全権を移譲。

隣のスイスは九州くらいの大きさだが、リヒテンシュタイン公国は小豆島とほぼ同じ大きさで、人口37,366人(2014年末)と、世界で6番目に小さい山間の国。

 

当然軍隊など無く非武装中立国でスイスがリヒテンシュタインの防衛を担いますが、スイスも国民皆兵とはいえ人口842万人の小さな国です。軍事強国のように思われている面もありますが、国民皆兵とはいえ国防費は日本の1/10程度であり少々過大評価ではないかと思います。

この周りをスイスとドイツとオーストリアに囲まれた小さな国が侵略を受けないのは軍事力に守られているからではなく、地政的条件にあり、侵略して得るものよりも失うものの方が大きいからではないでしょうか?

ちなみにスイス三大銀行のひとつ、クレディー・スイス(Credit Suisse)の2015年の国際情勢分析レポート「The End of Globalization or a More Multipolar World」では日本はアメリカ、ロシア、中国に次いで第4位チョキと、こちらは逆に過小評価されているのではないかと思います。

 

 

この小さな公国は、小さすぎて世界ランキングには登場しませんが、実は一人当たりGDP世界一

2014年度179,478USD2000万円超叫びと、世界ランキング1位のルクセンブルクをはるかに凌ぎます。

 

出典:https://www.google.co.jp/publicdata/explore?ds=d5bncppjof8f9_&met_y=ny_gdp_pcap_cd&idim=country:LIE:LUX:MCO&hl=ja&dl=ja

 

 

なぜにこんなに凄いのか?

主な産業としては精密機械、牧産、観光などで、精密機械などでは有名企業もあり、労働者の半分はスイスやオーストリアから毎日越境してくるそうですが、しかし一番の理由はタックスヘイブンと金融だと思います。

 

ちょっと古い記事でその後金融など変っている面もありますが、リヒテンシュタイン公国: 明かされるタックスヘイブンのベール によると登記された法人数が人口の倍以上を占め、人口の過半数を外国人が占め、純粋にリヒテンシュタイン国籍の者は、3分の1程度だといいます。

(これについてはアメリカもあまり他国の事は言えず、デラウェア州は人口89万7934人に対し企業数は94万5326社です。http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4888.php

 

これによって法人税が税収の40%に及び、一般の国民には所得税、相続税、贈与税といった直接税が無いという、企業にも富裕層にも魅力的な国のようです。

 

タックスヘイブンは「やったもの勝ち」ですが、世界中の国がもし競って法人減税や企業誘致策をとればどうなるか?・・・・みんな共倒れでしょう。

 

昔のように外国子会社の配当益への課税をすればタックスヘイブンのメリットは無くなりますが、そうすると利益が還流しないとか・・・・。

人とカネとモノの移動を自由にするグローバル主義の産んだ鬼っ子のようなものだと思いますが、今、グローバリズムの矛盾は限界に近くなっていると思います。

 

 

またEUと課税に関する条約に調印し、EU市民の預金については利子課税がなされることになっていますが、預金者の情報を相手国に通知しない「銀行守秘義務」は維持されています。

ゴルゴ13といえばスイス銀行ですが、リヒテンシュタインやモナコも銀行守秘義務の国です。

 

無批判なグローバリズム礼賛はタックスヘイブン国を富ませ、グローバル企業の利益を増やしますが、それは自国の富を吸い取られる事ではないでしょうか。