新幹線と直下型地震・・・早期地震検知システムの限界 | 夢老い人の呟き

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東日本大震災の発生時、東北新幹線では27本の列車が運行していた。これらの列車は、実際に揺れ始める前にブレーキをかけて減速して緊急停止し、1人の乗客にもケガはなかった。仙台駅構内で試運転列車1本が1両だけ脱線したが、スピードは14km/hまで落ちていた。

なぜこんなことが出来たかといえば、早期地震検知システムが有効に働いたから。

地震波には俗に初期微動といわれるP波と、その後訪れる揺れの大きいS波がある。

 そのP波をとらえ非常ブレーキをかけたり電力を遮断したりするのが早期地震検知システム。


以下<<JR東日本早期地震検知システムの現状と課題>>より引用。

 
 
 
 
 
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■ところがこの素晴らしいシステムにも落とし穴がある。
熊本地震では九州新幹線の回送列車が脱線した。

運転士は熊本駅発車の約1分後に激しい揺れを感じ、手動で非常ブレーキを操作したというが、時速約80キロで走行中の6両編成の全車が脱線した。
幸い回送電車の発車直後で速度が低かったため脱線だけで済んだが、旅客列車の高速走行中だったら、惨事となった可能性もある。
 


なぜ早期地震検知システムが作動しなかったかといえば、震源が近いためP波とS波の到達時間に差が無く、殆ど同時に到達したため。
同じことはこれから予想されている、首都直下地震などの内陸型の地震にも言える。
事故後、JR九州は「脱線防止ガードがあれば、事故を防げた可能性がある」として、設置計画を見直す方針を打ち出した。

以下<<東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策について>>より引用

 
 


東日本大震災では海溝型地震のため早期地震検知システムが有効に働いたが、震源によっては全く作動せず、高速走行中の新幹線が地震の直撃を受けてしまう可能性もある。
日本には原発や超高層ビルはじめ、いくつかの安全神話があるが、新幹線の安全神話も見直す必要があると思う。

リニア中央新幹線沿線住民が認可取り消しを求めて提訴したが、安全性や環境への影響など慎重に検討した方が良いと思う。
<< リニア 沿線住民738人、認可取り消し求め提訴 毎日新聞2016年5月20日>>



ちなみに地下は地震に強いという神話があるが、南アルプスは中央構造線、フォッサマグナはじめ断層の宝庫である。