大動脈解離、歌舞伎町、私立探偵。

大動脈解離、歌舞伎町、私立探偵。

2019年、急性大動脈解離でぶっ倒れて救急搬送&緊急手術。人工血管治療で助かる。
それから2年。いつまた再発・再手術になるかわからないので、生き急ぐことに。
2021年、歌舞伎町で探偵業を始めました。12月にブログ再開します。

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私は2019年に急性大動脈解離スタンフォードB型によって突然倒れた。B型の場合、手術はせず、内科的治療で対処することもあるが、私の左足は血流障害によって麻痺してしまった。緊急手術が必要だった。

腹部に人工血管を埋め込まれた。その結果、左足は動くようになり、リハビリによって日常生活に支障がないところまで回復した。

当時51歳。無理の出来ない身体になってしまった。それまで勤めていた職場を辞め、その頃に描いていた人生設計をすべて諦めた。

そして現在53歳。守秘義務の関係で詳しいことは書けないが、平日は福祉関係の団体職員としてマニュアル通りに働いている。経済的な不安はなくなった。だが、このような「第二の人生」に自分は満足しているのだろうか、と自問することがあった。

大動脈解離には再発の可能性があるし、再手術となれば、私はますます無理の出来ない身体になってしまうだろう。複雑な気持ちを抱えながらマニュアル通りに働いている現在の自分の姿、それが私の人生の最後のピークだった、ということになってしまうかもしれない。

子供の頃、大人になったら探偵になりたい、という夢を持っていた。私が過去に経験したいくつかの仕事には探偵・調査的な業務も含まれていたし、依頼者に付き添って探偵事務所を訪れた経験も多い。そういった意味で、私にとって遠い世界の話ではない。

今年、公安委員会に探偵業を開始するための書類を提出した。探偵業届出証明書が交付された。私は歌舞伎町に住んでいるが、そこが個人事務所となる。

私はこれまで通り平日の昼は団体職員として仕事を淡々とこなしているが、平日の夜と週末は探偵になる。現状、友人知人やSNSで知り合った人々からの依頼を受けているのみだが、フルタイムで動けないので、それだけで手一杯である。

この自称「人工血管探偵」の活動期間は大動脈解離が再発する日まで・・・かもしれない。それが何か月後~何年後になるのかわからないが、大病を機に「残りの人生」をつねに意識するようになった私は、二足のわらじを履くようなこの生活に満足している。

 

昼の仕事の退勤時に押すタイムカードの音は、「人工血管探偵」に変身するための合図となった。

今後、個人情報などに配慮した形で、現場の様々なエピソードを皆さんに聞いていただきたいな、と思っている。

私の家族および友人知人の中には、
急性大動脈解離の経験者が
一人もいない。


だから私は退院後、
この病気の経験者を探し出して、
会ってお話したいな──
と本気で思っていた。


で、探した結果、
このアメブロの世界の中で、
「武田英波さん」を見つけました。


「keicho雑記帖〜嘘つかない、背伸びをしない、英波のつれづれ~」

 


武田さんは
急性大動脈解離だけではなく、
いくつかの大病を乗り越えた女性。
現在は、傾聴講師、傾聴心理士、

セラピストなどの肩書きで、
とてもアクティブに活動されている。


武田さんのブログの記事によると、
誰でも受講できる傾聴入門を
定期的に開催しているというでは
ありませんか。


ここで「傾聴って何?」という方も
いらっしゃるでしょう。

「傾聴カウンセリング」「傾聴ボランティア」

などの言葉を耳にしたことがある、

という方もいらっしゃるでしょう。

 


もし私が中学生に傾聴を説明するとしたら、
「傾聴=聞き上手」のようなもので、
この「聞き上手」の知識やスキルは
「話し上手」よりも対人コミュニケーションを
深めることができる──
とかなんとか言いそう。


そんなわけで、
武田英波先生の傾聴入門
「傾聴・はじめの一歩

~あなたが楽に聴くために~」、
申し込みました!


とはいっても、講師の武田さんが
大動脈解離の経験者だから──
という目的だけで
申し込んだのではありません。


私は大動脈解離で倒れるまでは
社会福祉系の団体で相談員をしていたので、
以前から傾聴の知識やスキルを
身につけたいと思っていた。


「大動脈解離の経験者と会いたい」と
「傾聴の知識やスキルを身につけたい」。
この二つの夢を同時に叶えてくれる
ミラクルな人は、
おそらく世界にたった一人、
それが武田さんだったのです。


というわけで、
私が受講した傾聴入門の様子は、
武田さんのブログをぜひご覧ください。

(次回の傾聴入門のお知らせもあります)

 

 

傾聴入門を受講して私は思った。


こんなことを書いたら
ご本人に怒られるかもしれませんが、
武田さんは見た目と声は「癒し系」なのですが、
その生き方と言葉の重みは「姉御肌系」で、
強い意志や説得力を感じさせる。

その二つのイメージのバランスが絶妙で、
とても魅力的。
傾聴入門の講師を務める姿も
「なんて輝いているのだろう!」
と感動しました。


同じ病気を経験した者として、
自分も頑張るぞ、と突き動かされました。
(抽象的かつ非論理的な言葉ですが汗


自分と同じ病気を乗り越えた人が
輝いている姿を目の当たりにすると、
想像以上に感動する。
当たり前かもしれませんが、
自分にとってこれは非常に大きな発見でした。


大動脈解離の経験者と会ってお話したい、
という思いを実行して本当に良かった。


さて、今回の傾聴入門の中で、
ある重要な目的から、
なんと! 武田さんは「くまモン」と
真剣に対話する様子を披露してくれました。
「くまモン」は人形なのでしゃべらないのですが、
でも本当に対話している(ように見える)。



その姿を見て私たち受講生は心を打たれた。
そして、自分たちも「くまモン」のような
パートナーを探さなければならない、と思った。


で、探した結果。
昔、ヴィレッジヴァンガードで衝動買いした

猫の人形(実は貯金箱)──これがいいかも。
彼(彼女?)と対話してみます。



どうか、無精ヒゲのオヤジが
この猫に話しかけている姿を
想像しないでくださいあせるあせるあせる

大動脈解離──自分を襲った病気のことを

もっとよく知りたい、と思うこともあれば、

術後の体調が取りあえず安定しているので

病気のことは忘れてしまいたい、

と思うことも。


こんなにも心が揺れ動くのは

初恋以来ですが、

そんなことはともかく、

大動脈解離については

雑誌『わかさ』のバックナンバー(2018年1月号)

の特集記事がわかりやすいです。

(この病気の経験者は、

誰よりもこの病気のことを

よく知っているので、

読む必要はありませんがあせる

 

タレントの「凡ちゃん」こと大木凡人さん

インタビューが素晴らしい。


凡ちゃん(と呼ばせてください)は

2015年1月に大動脈解離に襲われ、

九死に一生を得たのですが、

発症したときは体が裂けるような激痛。

救急車を呼ぶときに

「すみません、119番ですか、

イテー! コノヤロー!」

「すぐ来てください、イテー!」

と凡ちゃん。

「コノヤロー!」などの罵声によって

自分に喝を入れないと気を失ってしまう、

と思ったそう。


その気持ち、わかる!

私も救急車の中では

「痛い痛い痛い、イテー!!」

という「気合いの悲鳴」と瞬間的な失神を

繰り返していましたから。


医療センターに搬送された凡ちゃんは、

大動脈、左腕、左大腿部のつけ根の動脈を

緊急手術。

3日間の危篤状態から生還。


その後、退屈な入院生活や

味気ない病院食に耐えられず、

勝手に(点滴などの)管を外し、

病室から抜け出して

食堂でカレーを食べようとしたり、

病室の天井のカメラに向かって

イタズラをしたり。

看護師さんに「最低の患者さんです」

と叱られたそうです。


そして手術から3週間で退院。

なんと、その2週間後には

タレント活動を再開。

お酒はやめないものの、休肝日を作ったり、

入浴中に体操をしたり、

ゲームで脳のトレーニングをしたりなど、

さまざまな健康法を実践しているとのこと。




「ストレスをためない生活を送ることが一番!」

と凡ちゃん。

看護師さんたちを

困らせていたようですが(笑)、

同じ病気に襲われた私にとっては、

とても頼もしい「先輩」です。

勇気を与えてくれる存在です。


いまの私は、自分の身体の

「昔の健康体のままの部分」と

「医療によって助かった部分」の

能力や価値を、

努力によって高め、

新しい体を創造しようとしている。

 

 

大動脈解離で亡くなった方も多い。

症状が重かった方もいれば、

比較的軽かった方もいる。

後遺症が重い方もいれば、軽い方もいる。

再手術の方もいる。

 

 

だから、実はブログに気軽に書けるような
テーマではないのですが、

それはそれとして、
病気を抱える人には「笑い」が必要。
大動脈解離をネタに笑わせてくれる人は
本当にすごいな、と思う。

凡ちゃんのインタビューには、

笑いながら癒やされました。
「凡ちゃん」こと大木凡人さんをリスペクトアップ