東日本大震災に伴う福島原発の事故発生直後~
フランス政府は、独自の状況判断と素早い行動で先陣を切って在留仏人を首都圏から避難させました。
同国の徹底した「原発事故対応」に対し、日本のメディアは、
「国家主導で危機管理態勢がある」
と一様に評価しましたが…
3月26日現在の各地の現実の放射線量について公表資料があります。
東京新宿区で0.125マイクロシーベルト/1時間、
0.125×24時間×365日=1,095μSvの被曝量です。
因みに、一般の人が1年間に自然界から浴びる放射線量の標準的許容値(年間被爆許容量)は、1,000μSv(1ミリSv)。
例えば、飛行機で日米を往復しただけで200μSvですから…
何度も海外旅行をする人なら年間被曝許容量を遥かに超えてしまいそうです。
更には、病院でCTスキャンを1回受けた場合の被曝量は6,900μSv。
この年間被曝許容量でも、念には念を入れての数値であり、
現場の放射線従事者に対しての許容量は、
一般の数値の50倍までとされているのです。
福島県いわき市で、1.33μSv(1.33×24時間×365日=11,651μSv)
南相馬市で、1.49μSv(1.49×24時間×365日=13,052μSv)
水戸市で、0.17μSv(0.17×24時間×365日=1,489μSv)
です。
実際には、少なくとも1日の半分は室内にいる訳ですから、
こうした数値も半分程度と見積もっていい訳です。
そんなに動揺するような事態ではないこと(首都圏では)がお判り頂けるでしょうか?
ところで、
元々、関東ローム層に覆われた首都圏は、大地からの放射線量が少ないのが特徴です。
それは、海外と比較しても顕著であり、標準時で1対5程の格差があります。
イタリア国営放送が先日、
3月16日現在のローマの放射線量を東京と比較してみると、6.25倍あったと報道しています。
仏政府が「充実した危機管理態勢」で呼び戻したパリでも同様です。
蛇足ですが、
岡山市では0.05μSv、山口市では0.093μSvですから、
「汚染された」東京の方が、
海外よりも、西日本よりも放射線量は少ないと云うことなんです。
こう云う大変な時だからこそ、
情緒的・感情的な情報に、安易に流されないようしたいものです。

さて、
琉球王国の外交スタイルのしたたかさと、その強運についてお話をしてきましたが~
翻って、現在の我が国の、
TPP参加問題を巡っての国家的スタンスの在り様に思いが至ります。
アメリカを中心にした、環太平洋諸国間での自由貿易圏を形成しようとするこの構想は、
将来的にはAPECを巻き込んだFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構想が目標だと言われています。
これが形成されれば、EUを凌ぐ世界最大の自由市場となる訳です。
その前哨戦でもあるTPP構想は、結局アメリカの国家戦略の一つであり、
輸出拡大と雇用増加を目指している同国にとっては、
GDP世界第3位の日本や、第2位に躍進した中国は正しく大きな市場なんです。
アメリカだけでなく、その他の国々も、
自国の生き残りのために他国の市場を奪おうとして参加しているのです。
各国の思惑が錯綜し、国家的エゴがぶつかり合おうとしているのです。
そんな国々の流れに便乗して、輸出主導による経済成長を目指そうとしている我が国ですが、
その結果、短期的には、安価な輸入品との競争により淘汰されていくであろう産業や業種、業者への対応…
長期的には、我が国が将来あるべき産業形態や生産体制の再構築…
等々についてスタンスを明確にした上で、
TPPに臨むが否かを判断していく必要があるのではないでしょうか。
単に、輸出力のある農業の育成とか、
農地を集約して生産性を向上させるとかの、
技術や手続きとかの次元ではないと思うのです。
丁度、琉球王国が、欧米列強への無防備な開国に対して危機感を抱いていたのと同様に、
国家が崩壊するかも知れないとの危機感をもって対処すべきだと思われるのですが…
条約発効までに変革していけばいい…
とかの先送り(日本人得意の)では将来に禍根を残します。
日米和親条約から始まった不平等条約は、50年もの歳月をかけて解消していきましたけど、
第二次大戦後のアメリカによる食糧面での経済攻勢には、見事に飲み込まれています。今でも。