この石敢當をこの地で発見することになるとは思いもしませんでした。
しかも、その霊的な威厳を発揮するには余りにそぐわない場所に…

その場所とは、山口県下関市の竹崎町の歓楽街の中です。
以前の記事で、山口市の山口大神宮の境内に移築された「石敢當」がある、と云うのを紹介したことがありますが、
山口市が中世・室町時代は中国大陸との交易で財力を築き権勢を揮っていた大内氏の拠点だったことが影響したように、
ここ下関市も、朝鮮半島と至近の位置にあり、文化と経済と人々の交流が極めて容易であったことが影響しているのかも知れません。
沖縄県内意外では、鹿児島でもその風習が残されていたようですが、
それから遠方に行くに従い、形式的なグッズ的要素が強まっていったようです。
山口市の「石敢當」は、単純な石柱に「石・敢・當」と3文字刻まれているだけの何の変哲も無い直方体になっています。
その立ち位置も、辻角などを全く無視しているようです。
ですから、この石の形状だけを見ると沖縄そのものなのが、
周囲の猥雑な景色に溶け込むのを拒絶しているようです。
よく観察すると、路面との接合具合はとても投げやりで、
土産物として持ち帰ったものを、住人が勝手に設置しただけなのかも知れません。

いずれにせよ、この石とビルの壁との隙間には、空き缶やゴミ屑が捨てられており…
「魔除」どころか、「マジムン」が寄り合いしているような厳しい環境下です。
近隣のホテルもキャバレーも、喫茶店も寂れていて、
「石敢當」の恩恵にはとても浴していないように思えます。
私だったら、もう少し別の場所に…