2003年 10月19日
コメント・
まさに大願成就である。
悲願の悲願の足尾銅山本山精錬所と硫酸工場に突入する事が出来たのである。
作戦の実行日からさかのぼる事1年前。ロバート調査団の参謀M氏とともに2度の外観調査とネットを介しての情報収集を行い、
大型鉱山突入の前哨戦として神岡鉱山に突入、
まぁこの神岡は前哨戦とはならず、いきなりのホンチャンになってしまたのは計画から大きくずれてしまった嬉しい誤算ではあったが、
2003年10月19日日曜日、夢にまで見ていた難攻不落の山上の要塞「足尾銅山本山精錬所」と、
雲上の城郭「硫酸工場」に仕事の都合で泣く泣く欠席してしまったM氏の変わりに、廃虚サイト「廃ビスカス(旧茨城の廃虚を紹介するページ)」管理人の
廃虚大好き氏(以下HD氏)とともに夜明けと同時に突入し、思う存分探索する事が出来た。
作戦Phase1(現地への移動)
前日晩に柏駅近くの某ファミレスにて、定刻にHD氏と合流。
去年晩秋に行われた茨城県南合同調査会(黒魔氏主催)以来1年ぶりの再会であった。
久しぶりに見たHD氏はハリセンボンのように立っていた髪の毛が伸び、少々痩せているようだった。
本人曰く「就職活動と卒論の作成で死ぬほど忙しくて・・・・・」とこぼしていた。
まぁいままでは大学生で有り余る時間を使って、廃虚探索を好きなだけやっていたのである、
これからはそれとは全く逆の生活パターンを営まなければならなくなるだろう。
そして、社会人という社会的地位を手に入れた以降は、廃虚探索と言う行動が自分の社会的地位をいつでも脅かす物であるという事も
自覚しなければならなくなる。色々と大変なのだ。
さて、話がそれてしまったので修正。
今回の移動の足は当方のケイタロウではなく、車内での仮眠をするときの居住性をすこしでも確保すると言う事を考えて、オカンのクルマを拝借してきた。
HD氏はタバコをやらない。本人は「Tavitoさんが車内でタバコを吸わないのなら、大いに歓迎します」といっていた。
自分も禁煙車の中にいる間のタバコくらいなら、我慢することは可能なのでこの選択は正解だった。
柏の某ファミレスを出発、足尾に向かう途中、HD氏の案内でR6沿いにある廃結婚式場に突入した。
閉鎖されてから時間がたっていないので、熟成は殆ど無く、周辺を民家に囲まれているので夜間の探索は懐中電灯などの光源が漏れないように神経を使う必要がある。
HD氏の話によると、ここは最近まで全てのフロアの部屋に出入りが可能だったのだそうだ。しかし我々が突入した当夜は施錠されており、管理人がいまでも此処にやってきている事がそれだけで分った。
木更津にある「昭和記念会館」と同様に中は散乱した伝票やらレシートやら、DQNがやらかしたとしか思えない消化ホースのトグロ以外に特に見るものは無く、突入開始から数十分で屋外に脱出、即座に足尾に向けて移動を再開した。
本当は高速道路でスンナリと宇都宮まで行きたかったのだが、あいにく場所が柏ともなると中途半端で、東北自動車道まで走るには無駄がある。
ということで仕事で毎日の様に通っているR294バイパスを北上、半ば高速道路とかしている国道を快調に北上した。
幾つかの国道を走りつないで宇都宮市に入り、コンビニにて車内での朝食の為の買出しを行い、足尾銅山へのルート確認を行って出発。
R119~120~122と走って、一気に日足トンネルを通過。すでに通いなれている道なので迷う事無く、足尾の町に入った。
鉱山見学施設のある「あかがね資料館」の駐車場にクルマを止め、しばしの仮眠となった。時刻は5時前であった。
作戦Phase2(敷地内突入)
足尾の山に暁が、作戦開始。
携帯の目覚ましが定刻の6時に鳴り、2人とも意識朦朧のまま(特に自分は前日の早朝から仕事をしていたので、最高に気分が悪かった)移動を開始。
資料館の駐車場を出て、本山に向かう休日の早朝であるにもかかわらず何人かの原住民が犬を散歩している姿が見受けられた。
さすがこういう所が田舎である、早い時間からの活動開始は予想したとおりだ。
原住民の目に止まりにくいように、静かに車を走らせ精錬所のある町中に入った。
うっすらと明るくなり始めた山をバックにあの巨大な容姿が姿を現す。
「キマシタネ~」震える声でHD氏がつぶやいた。
いますぐに突入したい気持ちを押さえつつ、精錬所横の山道を登り暫く行った所にある広場の片隅に車を停め、まずは腹ごしらえ。
しかし極度の緊張と、中途半端な便意(空爆意志)のせいで2個の握り飯もマトモに食えず、1個をむりやり胃に押し込んだだけで、作戦開始となった。
今登ってきた山道を下る、再び精錬所前に到着。何度も見てきた光景である。見上げるような高さにある鉱山鉄道の鉄橋。
立ちはだかるように立つ本山駅。いよいよその深部へと歩を進めるのである。
「おお・・・・とうとう来たか」武者震いが全身を襲う。
HD氏から敷地内への突入口はどこか聞き出した所、そこはロバート調査団が下見をしたときに、
「ここからが一番無難なんではないか?」と目星を付けていた所を指差した。
「なんだ、やはりみんな考えている事はそんなに変わらなかったのね」
ここの障壁を乗り越え中に入ってしまえば、集落の民家からは姿が見えなくなる。
問題は、その障壁を乗り越える時は丸見えだと言う事だ。今日最初の山場である。
近日栃木県の雄「アート」氏とともに下見をしたばかりというHD氏に先に突入してもらう事にし、自分はそこから少し離れた所で周囲を見張る。
衣服を引っ掛けながら鉄条網を乗り越えて、HD氏は無事に敷地内に入った。
本人も相当に興奮している様子で、顔が紅潮しているのが朝焼けのせいだけではないのがよく分る。
今度は自分が大柄なHD氏が突入した場所とはすこし違う所からアプローチ。荷物を先に中に投げ入れ、半身の体勢で周囲をうかがう。
眼下の集落の中を時折、乗用車が通り過ぎるが、こちらに登ってくる様子はない。
「・・・・・・よし。いきますか!」
片足を足場に引っ掛け、両手をしっかりと岩場にかけ一気に上半身を持ち上げる。
緊張と興奮で四肢が震える。集中だ、失敗は許されない。イッパツで乗り越えないと原住民に見つかってしまう!
HD氏の姿を見て、自分は気をつけていたのだがやはり鉄条網は手ごわかった。
ほうほうのていで2人とも突入に成功。もう後戻りは出来ない。いよいよ作戦Phase3開始である。
作戦Phase3(探索活動)