物件19 市原の廃団地 (情報提供 キーチさん) | ボヤジャントの呟き。

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過去に行った廃墟探索、今後行う廃墟探索を振り返りつつ、政治経済の話題、時事問題、雑談や長年の趣味であるバイクやギターなどについて雑談して行くのです。

2003年 4月6日

コメント・市原市にある。
車の往来が激しい街道と、高速道路や国道・京葉工業地帯へとアクセスする幹線道路との交差点にそれは存在する。
コンクリート5階建ての古びたアパートである。
自分は平日、ここを毎日の様にタンクローリーで通っていて、じつは相当前からその存在は知っていた。
しかし、時間に追われる仕事だけに立ち止まってその様子を見るという訳には行かず、ただの古びたアパートだろうと思っていた。
ところが、拙者のWEBサイトを見てくださった方からBBSにてカキコミをしていただき、その後お互いの知りうる情報を照合した結果、
そのアパートは廃虚である事が確認されたのである。

物件18の昭和記念会館を出発し、行楽客のクルマで渋滞する国道16号線を回避。
地図で見ると、黄色かったり緑だったりする道を数本走りつなぎ、目的地に到着。
平日は大型車がひっきりなしに行き交う街道もやはり日曜日とあってか、車の流れが途切れる事がある。
物件から数分離れた所にバイクを路肩に停め、探索の用意は完了。
クルマの流れが無くなったのを見計らって、物件の直ぐ横にある小道から敷地内に突入。
鉄筋コンクリート4階建ての集合住宅である。
A棟とB棟の2つからなる。
その2つの建物の間には駐車場と公園があったとされる広大な草地が広がっていた。
人気は無い。侵入を拒む看板も全く無い。
あるのは赤く錆び付いたブランコと滑り台が寂しげにあるだけ。
この雰囲気は稲毛公務員住宅でも目にしたが、錆び具合と敷地全体の荒廃具合はこちらの方がはるかに上回っている。
おそらく無人になってからの時間はこちらの方が長いと思われる。
道路から見たときはもっと奥まであるものかと思ったが、この2つしかなかった。
探索開始。
道路がわに立つB棟の側により、建物の影から向かいのA棟の様子を伺う。
「・・・・・・・・・・」住民が居る様子は、ないな」
草地を見る。
2つの建物以外には遮蔽するものは無い。草地を歩けば隣のアパートからは丸見えである。
しかし道路からはB棟がついたてのように目隠しをしているので、普通に歩いていてもその姿を見ることはない。
「人が行き来する様子は無い、隣の新しいアパートには子供が2人遊んでいるだけか、これはだいぶ楽に探索できるな」
退避ルートと敷地内部の安全を確認。

まずは奥側のA棟から探索開始。

割られている窓ガラスは少なく破壊もそれほどでもない。
この敷地に車両ごと入り込むには、住民が住んでいるアパートの駐車場を横切らなければならない。
さすがの珍カスもそこまでしてここには来ないのだろうか、建物にも落書きが見えない。
見た目が退廃的なわりには治安はよろしいようだ。
A棟の裏側に回りこんで、侵入口を探す。
階段部分には鉄パイプで組まれたバリケードがあったが、だれかが何としてでも上階に登りたかったのだろう、
任せにパイプを動かし人間一人がかがみこみながら侵入できるように細工がなされていた。
そのうちの一箇所から入り、階段を登る。一階×・二階×・三階×・4階・・・・・・ドアが半開きになっている。
「ヨシ、これでここを探索する目的の半分は達成されたな」
そう思い、さっそくお邪魔することにした。
畳は全て上げられている、しかし珍カスやDQNによってなぎ倒されて居らず、整然と並べられている。
放火や宴会がなされた様子も無し。
家財道具は全く無し。広広としている。
台所やトイレ、風呂場と一通り撮影する。
やはり古いアパートはどこをとっても間取りが狭い。とくに風呂場の狭さはある意味特筆ものだ。
バリアフリーもあったものではない。
窓からは夕暮れを迎えた西日が入ってくる、明るく日当たりのよい部屋で、感想しているのカビも全く無い。
居心地は悪くなさそうに思える。
ベランダの窓を空けて、外に出る。
夕方になって気温が下がって来たのだろうか、なんとなく風が冷たくなってきた。
日も傾き、草地は真っ赤に燃え上がっている。
そのすぐそばではだいぶ短くなってきたものの、まだ長い影を連れて2人の子供が砂場で遊んでいる姿が見えた。

「ご飯よ~~!!!早く帰ってらっしゃい!!!」
エプロン姿のオカンがベランダから身を乗り出して、下の公園で遊んでいる子供に呼びかけている姿が、
目に浮かんで来るようだ。
ここに住んでいた人たちは一体どこへ行ってしまったのだろうか?

次にB棟の探索に取り掛かる。
B棟はA棟とは打って変わって、酷い状態であった。
まず不法投棄が酷い。集合ポストのある階段口には足の踏み場も無いほどのゴミゴミゴミの山。
一階部分に限られているが、なぜかガラスも多数に渡って割られている。
しかし階段がわからの侵入は無理な状態だったので、ベランダ側に迂回。
すると一階部分のガラス窓が開いている。手すりを乗り越えてベランダから突入。
「暗~、ジメー」
ベランダから道路までの間には小さくはあるが、雑木林があり目隠しにはなっている。
しかしそのせいでか日当たりが悪く、建物の外壁の汚さと部屋の中のフケツさと陰鬱とした雰囲気はA棟とは全く対照的である。
タイルが敷かれたままの台所を進む
「バキッッッ!!!」
聞きたくない音が足元から聞こえた、瞬間的に無重力を感じる。
「腐ってるな。床」
その場にたったまま、右足で円を描くようにして梁の部分を探し、カニ歩きで奥の部屋に進む。
まぁここは一階なので下の階に落下すると言う心配は無い。
だが落下=破壊となってしまうので慎重に歩を進める。
壁紙も剥がれ落ち、畳が敷きっ放しになっている部屋もある・・・とととと、待てよ?
なんでここの部屋にはテレビがあるんだ?
おい!コタツまである!
「住人がいるのか」
ふと背後に人の気配を感じ振り向くが誰も居ない。
しかしこんな空気を感じたときに取るべき行動は「兎に角、一刻も早く仕事を終わらせ、この場から撤収する」
である。
パパパパと写真をとり、玄関のドアを開け(当然内側からは鍵を開けられる)上階に進む。
しかし残念ながら上階にて開いている玄関ドアはなく、そのまま一階まで降りそそくさと撤収。
一部とは言っても、部屋の中に入れたというのは大きな収穫である。
よってこれは空家ではなく、れっきとした廃虚となった。

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