物件18 昭和記念会館(情報提供 キーチさん) | ボヤジャントの呟き。

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過去に行った廃墟探索、今後行う廃墟探索を振り返りつつ、政治経済の話題、時事問題、雑談や長年の趣味であるバイクやギターなどについて雑談して行くのです。

2003年 4月6日

コメント・超有名物件東京PWの近所にある。
PWには数度足を運んでいたが、その近くにこんなものがあるとは教わるまで知らなかった。
しかし・・・・WEB地図で調べるとしっかりと名前が載っている(苦笑)。
物件にたどり着くまでの難易度はその点ではPWよりも簡単かもしれない。
なんせ、名前で検索を掛ければヒットしてしまうのだから。

さてタレコミをしてくださったキーチさんに教わった通りに道をたどって、なんなく物件に到着。
現役当時は結婚式場として営業していた。
たが、町というにはあまりにも寂しすぎる木更津、いったい何組のカプルがきてここは廃業したのだろうか。
やっても来ないんじゃないのかなぁと思う、こんなところでは。
現在、この物件の正面入り口の駐車場は近所の運送会社のトラックが占拠している。
堂々と駐車場として止まっていると言う事は、この運送会社の持ち物なのだろうか。
侵入口となっている場所にいきなり取り付くまえに、周囲をバイクに乗ったままで念入りにチェックする。
直ぐ隣には飛脚があり、頻繁にトラックが出入りしている。しかしその場所は当物件の裏側にあたるので、問題は無かった。

だが、もうすぐ1周しようかという所で大変な物を発見した。
(以下の画像を参照=説明不要)

 

この時、果たしてこのまま探索を続けてよいものかどうか、躊躇してしまったのが正直な所。
だが、ここはハラを決めて素の顔でコソコソせず堂々と入り込む事に決めた。
騒いだりしなければ、彼らもむやみに手出しはしないだろう。
そして物件の所有者だったら、この記念会館は全くの手付かずになっていた筈だ。
しかし物件の外観に見苦しい落書きはないものの、キーチさんは過去に何度かこの中に入っていると
お話していた。
と言う事は、普通に入って静かに探索をすれば問題は無いと言う事なのだ。
・・・・・というか、それくらいの事が出来なければ廃虚探索することは止めたほうがいい。
それから夜間にここに来るのも危険かもしれない。
それは、この物件には住民(野良人)が居るとの事。
その証拠がこれである。

もし、中で野良人に遭遇しても毅然とした態度で応対すればどうにでもなると考えてはいる。
以前インターネットラジオでリザード氏が野良人と鉢合わせになった話をしていた。その時彼は慌てず、その野良人にタバコをそっと差し出し
「オッチャン、ここのビルで何があるん?」
とか、
「管理人の人って来るのん?」とかやさしく刺激をしないように声を掛け、その落ち着いた応対に気を許した野良人は逆にリザード氏を連れて廃墟内部を案内してくれたんだそうだ。
(廃虚版「お宅拝見」てやつか!)だから自分もそうするつもりでいた。
お互いに法律を犯しての状況だから、出来る事なら係りたくないし、騒ぎにしたくもない。廃虚内部はそういったリスクも多分に孕んでいる特殊な空間なのである。
一旦駐車場の隅に立って、タバコを一服。腹は決まった、突入開始。


まずは一階部分を集中的に廻った。
廊下のいたるところに割られた蛍光灯の破片が散らばっており、底の厚い靴でなければ危険な状況。
どこからか「カラカラキイキイ」という気味の悪い音が聞こえる、何の音だろうか。
静寂が支配しているはずの空間に響き渡る、正体不明の音は本当に無気味だ。
そして突入前に電話でキーチさんから指南を受け、一番注意したのが、突入口から入って間も無くの区画。
ここのどこかの部屋に野良人が住んでいるとの事。
物音を立てないように(蛍光灯の破片が散乱しているので、どうしても音はしてしまうが)、廊下を進む。
まもなくして、その住民が居たとされる小さな和室の前に差し掛かる。
しかし係りたくないので、そのまま通過。ドアは開け放たれており中の様子が見える。
しかし危険なので無闇に覗き込まず、そのまま通過。
この部屋の中を撮影するとしたら、建物から退出する時に安全が確認出来次第、行うつもりだ。
廊下にはうずたかく積まれた伝票やら何かしらの書類が段ボールに入れられたまま放置されている。
この中身をきっちりチェックすれば、どこのだれがいつここで挙式を挙げたかどうかなんて、丸分りになるだろう。
廃病院もそうだが、廃業したあとの個人情報の取扱はどうしてこうもずさんなんだろうか?
これではいくら今現時点で注意していてもいつかどこかで必ず自分の情報が漏洩するのは必至だろう。
その他の部屋も巡ってみたが、おもだった備品や什器はほとんどなく、ガランとしている。
見るものも余り無かった。
まぁ強いて言えば、ここの名物(?)である、ハリボテのウェディングケーキくらいか。
たしか事前の情報では二階部分にあったと聞いていたが、現在は一階のロビーの中央に置かれている。
だれかがワザワザ二階から持って降りたとしたら、ごくろうなこってある。
ケーキそのものの損傷は見当たらない。しかしロビーの絨毯にはいたるところに火を放った跡があり、
DQNの巣窟になっていることは容易に窺い知れる。
野良日人はこんなとき何をやっているのだろうか。

さらに幾つか分かれた区画を探索。
特に何も無いのでサクサクと撮影をして先に進んだ。
しかし二階へ上がろうとした階段の手前にある部屋で、そのペースは止まった。
写真撮影室である。
集合写真を撮ったであろう、ワウンドしたひな壇と廃虚になったから誰かが置いた二脚の椅子。
奥の機械室には、ビデオ撮影もしていたようで、テロップを入れる装置がそのまま置かれていた。
破壊はされていない。しかしなんだか不気味だったのはその足元に放置されていた立体写真だった。
多分見本だとおもうが、なんだかこれも生生しくて気分悪い。
花嫁の幸せそうな表情と、廃虚の陰鬱な空気がそんな化学反応をおこし、ゾッとするのだ。
二階へ上がるもう一つの階段があるのだが、こちらは酷い状況になっている。
おぞましいくらいのカビに巣食われているのだ。
どこからか雨漏りがしているのだろう。
しかも割られている窓ガラスが極端に少ないので通気性が非常に悪く、空気がよどんでいる。
思わず息を詰めて階段を一気に駆け上がった。


次に二階。
同じような間取りの大部屋が並んでいる。
披露宴会場だと直ぐに分った。
どの部屋も変わり映えしない同じつくりなので、撮影は一部屋に集中して行った。
時として、シャンデリアの意匠が異なる部屋もあるが、床絨毯にはカラオケで使われたと見られるレーザーディスクが散乱しており、
その他に見当たるものといったら、ピンスポットライトくらいか。これだけは取り外して知り合いの舞台屋に売りつけてやろうかとは思った。
あとは廊下を隔ててあるのは、キャンドルやカラオケ及びBGMで使われたであろうLPがしまってある場所に出た。
ロビー部分の惨状を見るにつけ、ここもさぞかし破壊され尽くしているだろうかと思っていたが、それほどでもなかった。
しかし廃業してからそれほど年月が経っていないせいもあるが、置いてある什器類がキレイなので妙に生々しく気味が悪かった。
再び披露宴会場を横断し、新郎新婦や親戚一同やらが往来したであろう廊下に戻る。
廊下はさらに奥へと続いており、行き当たった先には階段が。
降りようとしたとき、なんだか妙に甘いニオイが鼻を突いた。
「!!!!!!!」
そのニオイの原因は直ぐにわかった。粉末消火剤のニオイだ。
そしてそれは階段を降り切った先の光景で裏付けられた。
ピンク色の粉末が一面、絨毯を覆っている。バカタレがどうやらここで消火訓練を行ったらしい。
直ぐ側には安全弁を外した消火器が一つ。まだ新しめのやつだからまだいいが、これが数十年前のアンティークだったら命の保証は無いだろう。
レバーを握った瞬間に、ドカン!
で、終了。暴発した消火器の破片を顔面に受けて、即死だ。
その先のやけに明るい空間は喫茶店またはレストランだった。
テーブルや椅子もきれいに撤去されており、何も無い。
その裏側の厨房は、このレストランと式場にて来客に振舞う食事を一手に引き受けていたと思われる。
ただの厨房にしては相当に広かった。
建物の中に突入して最初に聞こえてきた無気味なキシミ音は、ここの換気扇によるものだった。
食材の搬入口だったとおもわれるドアは固定されており、外に出ることが出来ないので来た道をそのまま一気に戻る。
そして最後に素通りしたあの和室に意を決して突入。
だれも居ない。
しかし直前まで誰か居たような気配はする。
畳の上には従業員の制服や、催し物があった時に着ていたと思われる悪趣味なハッピが放り投げられていた。
そしてその脇にはアルバムが置かれてあり、営業中の賑わいを記録した写真が数多く残されたままになっていた。
建物裏側の広大な駐車場は、その夏ビヤガーデンもやっていたようでそれなりに盛況だったらしい。
それだけに今現在自分が身を置いている状況の異常が際立って体感できた。
外に出る。
野良人との遭遇もなし、隣接する右翼との接触もなくこの物件の探索は無事終了。
結論としては、ここには夜間は来ない方がいいと思う。
唯一遣り残した事は、一階部分の中庭から見えた離れを探索する事をすっかり忘れていたという事だった。

関連画像はこちら。