物件17 廃工場 イシイチキンセンター | ボヤジャントの呟き。

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過去に行った廃墟探索、今後行う廃墟探索を振り返りつつ、政治経済の話題、時事問題、雑談や長年の趣味であるバイクやギターなどについて雑談して行くのです。

2003年 3月30日

コメント・南房総に向かう国道にある。
町名はそのユニークな呼び方でかなりの知名度はある。
ここの探索を行って初めて知ったのだが、この町の至る所に湧き水を汲める場所があり、多くの観光客が日曜日には押し寄せる。
周辺の田んぼもその地下水を引いて水稲を作っているので、日照りの心配がないらしい。
この物件はその名前の通り大手冷凍食料品メーカーが操業を取りやめた食肉加工工場である。
外観の破損の程度は中程度だが、なんと言っても目立つのはその落書きの酷さだ。
例のDQNによる、意味不明判読不明のスプレー落書き、周囲に民家があると言うのにいい度胸である。
しかもこんな田舎町までやってきてまでして、やる事だろうか?
ガラス等は1枚だりとも割られていないので、管理はなされているらしい。
しかし周囲を一周してみると、敷地内部の設備は長年放置されたのがその熟成度合いで窺い知れる。
物件内へは、田んぼのあぜ道を歩き、用水路を渡って裏側の崩落したフェンスから難なく入ることは出来る。
敷地内に目立つ設備と言うと、工業排水を攪拌するシンクナーとそのコントロールルームが入っていたとされるコンクリートの建物位。
そのシンクナーからは塩ビのパイプが取り付けられており、その水は近くの田んぼに直接流れ込んでいる。
「これって我田引水じゃないの?」というものだった。恐らくその田んぼの持ち主が勝手に備え付けたものだろう。
田舎だからそういう所はおおらかである。
敷地内を目立たぬように歩き、侵入口を探す、しかし破壊されている場所が全く見当たらない。
まぁガラスが割られていない所で、それが無理であると言う事は承知の上だったが・・・・・・。
後は、建物そのものはきっちりと施錠されていて内部に入り込むことは出来ないと言う事は間も無く確認できた。
結果、ここは廃虚ではなく空家物件であることが判断できる。
外観だけ撮影して、撤収しようとしたその刹那であった。
管理人との遭遇
当日、近くにバイクを停め撮影を行っていた所、正面の施錠された門の近くに人がうろついているのが見え、鍵を開けて中に入って来る姿が見えたのである。スクランブルが掛かった。
当然、自分は早足で建物の裏側に回りこみ、もと来た方向へまっすぐ戻った。
しかしここで大きな失敗が。乗ってきたバイクを門の近くの空き地に停めてしまったのである。
大きく迂回し、工場正門が見える場所に移動し管理人の様子を伺うことにし、タイミングを見計らってバイクに戻りオサラバするしかないと考えていた。
やがて管理人が門から出てくる姿が見えた。周囲をキョロキョロと見渡している。
「やばいな・・・・変装して何食わぬ顔してバイクに戻るか。それともここで待つしかないか」迷った。
しかしこの後も行く所があったし、明日の出勤も早い。あまり時間が無かった。
と言う事で、来ている服を脱いでカメラを隠し、サングラスを掛けバイクに戻ると言う、苦し紛れの作戦に出た。
物陰で変装が終了し、国道に出ると門に立っていた管理人の姿がなくなっている。
「おや?また中に入ったのかな?」と思い歩きのペースを早め、バイクの止まっている空き地に戻ったその時・・・・管理人がそこに立っていた。
「!!!!!!!!!」
一瞬からだが凍りついたが、視線を合わさぬようにしてバイクの側に寄ろうとしたとき、そこに立っていた管理人が声を掛けてきた。
それは以外なものだった。
「イシイ食品の方かね?」
一瞬返答に詰まったが、ここは正直に答えることにした。
管理人の顔を見ると、ニコニコ笑っている。いや・・・まだ油断できない。「いえ、違います」
と答えると。「なんだ・・・そうかい。オレはてっきりイシイさんが来てくだすったんだべと思ったんだよ~。だって写真撮ってらしたからね~」
「はぁ・・・・すいません」
「おたくどういった用件で来たの?」
「ええ・・・アルバイトです」(とっさのウソだった)
「なんの?」
「空き物件を探して、写真に収めて紹介している仕事です」
「ほう?そうなのかい・・・・休みなのに大変だね~」
「はぁ・・・・・(汗」
しかしこの後、その語り口からして管理人は自分に対して猜疑心を持っていないということが分ってきたので、逆に世間話で盛り上がってしまった。
「ここはいつ閉鎖されたんですか?」
「20年位前だね~。それいらいここの管理はオレがやってんだけどね。夏前には草刈したりしてるんだけど、大変だよ~広いからね」
「裏の排水池からパイプで田んぼに水を引いているのがありましたけど、もともと工業排水をためてた所だったのに、大丈夫なんですかね」
「はははは!もうとっくの昔に止まっちまったからね~、問題無いよ、第一そん事しなくたってここら辺は地下水が豊富だからね、3~4メートル掘って竹ざおをブッさせば水が噴出してくるよ」
「へ~だから街中の至る所で水が湧いているんですか」
「そうそう、ここの(バイクが停めてある空き地の奥を指差しながら)奥にも湧き水が出てたんだけど、工場の方で使わなくなったんでオレが潰してしまっただよ」
「そうすか・・・・」
「でもな、この水で風呂沸かすといいぞ~」
「何でです?」
「だってオメ、そりゃ温泉と同じダベ?体にゃいいぞ~」
「な・・・なるほど(汗・・・・・・ここは取り壊しする見通しは無いんですかね?」
「さあねぇ・・・かれこれ20年経ってるけど一行になにも起きないねぇ。オレとしてはさっさと取り壊してキレイにしてもらった方がいいんだけどね」
「管理大変ですもんね」
「これでも時々イシイさんに電話してるんだよ、草はオレでも刈れるけど、木が伸びきっちゃって歩道を邪魔してるから切ってくれって頼んでるんだけど中々来てくれなくてねぇ・・・年寄りのオレでは無理だっぺ」
「でも一応管理費みたいのは貰ってるんでしょう?」
「そりゃそうさ!こんなのただでなんてったら、放りなげてるべはははは!!!」
「そうですか・・・期待させちゃってすいませんね・・・そろそろ次の物件に行かなければならないんで」
「ああ・・・そうかい?ご苦労様。気をつけてねぇ」

管理人のオッチャンごめんなさい。ウソついてしまいました。ただ趣味で写真撮ってただけです。でももう来る事は無いと思います。

現在この物件に関して分る限りの情報を。
1・所有者のイシイ食品はこの工場を管理している。
2・この廃工場は現在も倉庫として使用している。
3・取り壊しの予定は無い
4・国道を挟んで高台に立つ農家の主人が管理人で、常日頃監視の目を光らせているのでコッソリ侵入は不可能。
5・もし管理人が暇そうに外を歩いていたら、声を積極的に掛けて敷地内部の写真撮影をネゴシエーションしてみてはいかが?

関連画像はこちら。