Botom line, botom job. -19ページ目

Botom line, botom job.

結局のところ、底辺職。

早い風に雲が流れた。

「ぱあっ」と陽が射してジリジリと肌を灼く。

 

今なら撮れる。

 

視界の端っこに次の雲。

10分、いや5分かこの晴れ間。

片付けた機材を大急ぎで出してシャッターを切る。

 

これもう1カット行けるんじゃない?

 

諦めて駐車場に戻ったクライアントを追い駆けて砂利の上り坂を100mは走っただろうか。ゆっくり歩くクライアントとディレクターの背中が見える。

のに、

 

はぁ。はぁ。はぁ。

あぁ。はぁ。はぁ。

ここ。はぁ。そうだ。

 

いくら俺が毎日、全力100本ダッシュをしていても、

いくら俺が肺活量で、全国男子高校生平均を凌駕していても、

肺と心臓が常人より大きくても(ちんこはたいしたことないの)

 

ここ。

標高2500m超えてんだ。

さ、酸素薄い・・し気圧低い・・苦しい・・・

息が出来ないしゃがみ込みたい。

しゃがみ込んだら立ち上がれない(のが人生だ)

ゆっくり一歩一歩、急な坂を上って駐車場のアルファードへよたよた。

 

「kenさんさっき一瞬晴れましたよね」

 

(だからさ・・)

 

苦しくて無言でCanonのディスプレイ見せる。

 

「おーっ」

「kenさん、どんな条件でも天気でも取り敢えず形にしちゃいますよね」

 

(しちゃだめなのかよ?)

(それが俺の仕事だろがよ)

 

「他のカメラマンさんだったら「無理です」で俺達も諦めちゃいます」

 

 

正確に言うと俺もうカメラマンではないからね。褒めてくれんのは悪い気しないけどね。

それよりもね、

明日出勤だよ仕事だよ。

頑張っちゃってるからなぁ。

キツイなー

休みたいな。

休んで撮影来てるのに休めるわきゃないわな。

 

 

 

「外にある6台の車のナンバーを言える。ウェイトレスは左利きで、カウンターに座ってる男は体重98キロで格闘術を身につけてる。銃を手に入れたかったら、外に停めてあるタクシーかグレーのトラックにあるこの高度なら800メートルを全力で走れる。どうしてこんなことが分かる?どうやってわかるんだ?俺はいったい何者なんだ?」

(Bourne Identity)

 

 

内風呂があるのに、

・・違うか。

 

清潔な大浴場に仕切りのある(一蘭か?)洗い場。普通の温泉、ワイン入り温泉、薬湯にサウナと冷水風呂。更に露天が二つ。

なんて高級な温泉旅館に泊めてもらってるんだ俺。

しかも部屋に内風呂あるし景色いいし。

たまに地方の撮影受けるとこういういい思いをしたりする。

 

 

別に要らんのだこんな宿。

 

 

食事も美味いのがなんだっつーんだ。

何度も言うけどさ、

こういう宿は一人で泊まるとこじゃないんだよ。

風呂だってこの他に『貸し切り』が二つもあるんだぜ。しかも『45分刻みで15分インターバル』

そーゆーことだろ?

カップルと夫婦と不倫(かなぁ?)が「ヒソヒソうふふ」しながら廊下ですれ違う。

 

ふんだ。

 

こっちゃあ、風呂も飯も一人なんだよっ

 

つかさ、

45分?

脱ぐ時間、着る時間込みでしょ?

何回戦??

 

 

 

今回のこちらのクライアントの偉い方、理事さんが女性なんだけど、

 

ほぉえぇぇ

 

若い頃美人だったんだろなぁ。いや今でも相当なもんだけど。

だって俺が見惚れ(みとれ)ちゃうもん。

いや勿論どなたかの奥様なんだろけど。

 

いや勿論どなたも俺の奥様にならないんだけど。

 

 

 

ここのところ俺も空気嫁と良く話す。

とうとう妄想はここまで来た。

現実との区別がつかなくなる日も近い。

かも。

 

だからさ、

こうやって男は衰えて行くんだよね。

頭と肩が前に出て猫背になってペンギンみたいに「よちよち」歩く。

いや誰とは言わないけどさ。

こないだラーメン一緒に食べ行ったら帰りずーっと「ぷぷぶぶぶ・・・」おならしてんの。

これ本人気が付いてないのかな?それとも緩んじゃって止まんないのかな?

どちらにしてもなぁ。

つかさ、

皆さんあの、だらしないお腹でよく外、歩けるよなぁ。

衰えて諦めて開き直って頑固になって威張り散らして怒りまくり、

それでも「自分が正しい」

そうやって生産性が無くなって、生きてる意味そこに存在してる意味がなくなるんだろね。

 

もはやそれは男ではないと思うんだよ。

 

普通のこと当たり前のことの「選択肢が狭まる」のではなくて、

「選択肢が無くなる」んだよね。

同時に「選択されなくなる」んだよ。

 

 

ちゃんと筋トレして、

上手くならなくても毎日ギター弾いて、

あちこち痛くても体使って働いて、

どこまでボケずに生きて行けるか?

だね。

 

 

 

「ひとつも実のあることを出来ずに一日を過ごしてしまった」

 

なんてことはもう随分ない。